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「Porky Pie」とは? 思わず口にしたくなるイギリスらしいスラング2選
前回に引き続き、今回も「P」から始まるイギリス英語のスラングを2つ紹介しよう。どちらも事実ではないことを表すスラングだが、異なる出自を持つ。出自は違えど、どちらも非常にイギリスらしい、思わず口にしたくなるような表現だ。
【こちらも】「P」から始まるやや下品なスラング2選: イギリス英語のスラング特集 (18)
■Poppycock
「poppycock」とは、「nonsense」や「rubbish」、つまり、無意味なことやくだらないことを指す言葉だ。単に事実でないことを指す際にも用いられる。
「poppycock」は典型的なイギリス英語のスラングだが、「poppy」(ケシ)と「cock」(雄鶏)を組み合わせた言葉ではない。その語源をさかのぼると、オランダ語に由来する。
「pop」とは、オランダ語で「柔らかい」を意味する「pap」、「cock」とは、同じくオランダ語で「糞」を意味する「kak」から来ている。2つ合わせて「柔らかい糞」だが、これだけで、決して上品な言葉でないことがわかるだろう。
なお、「poppycock」はイギリス特有のスラングだが、オランダ語から英語に取り入れたのはアメリカが先のようだ。オランダからの移民がアメリカに到着した19世紀初頭を、この言葉の誕生した時期とする説がある。イギリスにも19世紀中に輸入され、そのまま定着したようだ。
・His excuse for being late was nothing but poppycock.
(彼の遅刻の言い訳はまったくくだらなかった)
・The conspiracy theory he's talking about is pure poppycock.
(彼が話す陰謀論はまったくのでたらめだ)
■Porky Pie
「porky pie」は「嘘」を意味するコックニーのライミング・スラングだ。
もともとの「porky pie」はイギリスの伝統的な家庭料理、ポークパイのことだが、それがなぜ「嘘」になるのかというと、「pie」と「嘘」を意味する「lie」が韻を踏んでいるからだ。それなら「pie」だけでもよさそうだが、「pie」と同じ「p」から始まる「porky」をつけることでさらに語呂を良くしている。
コックニーのライミング・スラングなので、おもにロンドンの労働者階級を中心に広まってきた言葉だ。起源は19世紀中盤にさかのぼるが、今でも使用されている。
使い方は簡単だ。「lie」と言うところを「porky pie」と置き換えるだけでいい。たとえば、「Don’t tell me a lie」なら、「Don't tell me a porky pie」となる。
ここからさらに派生して、「pie」を省略し、前半の「porky」を複数形にした「porkies」のみでも「嘘」を意味する。「You wouldn’t be telling me porkies, would you?」(嘘をついているんじゃないよな?)のような形で、特に1970年代の警察ドラマにおいて頻繁に使用されていたワードだ。(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る)
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