道路舗装中堅:お堅い企業/三井住建道路の株主対策を評価 株価は10年で2倍のパフォーマンス

2023年11月19日 08:27

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5月に移転した大牟田合材工場。循環型社会への貢献を目指したECOプラントとしている。(画像: 三井住建道路の発表資料より)

5月に移転した大牟田合材工場。循環型社会への貢献を目指したECOプラントとしている。(画像: 三井住建道路の発表資料より)[写真拡大]

 三井住建道路(東証スタンダード)。道路舗装で中堅企業。が失礼ながら社名からして「三井住友グループ系関連の工事に強い」と称されることは、容易に想像がつく。「面白みに欠ける会社だな」と思いながらも、「利益剰余金99億2600万円(2023年6月末。四季報)/無借金(同)」という好財務企業を時には覗き込んでみるかとチェックした。

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 主軸の道路舗装建設をHPで確認した。<実績>として記載されていたのは「発注者:国交省東北地方整備局、工種:現道拡幅工事(2車線を4車線)」にはじまり、7工事の全てが「官」営舗装道路建設。確かに得手技法が活かされているケースも多い。

 例えば、半たわみ性舗装。東日本高速道路関東支社から受注した「首都圏中央連絡自動車道 桶川舗装工事」などに用いられている。アスファルト舗装のたわみ性とコンクリート舗装の剛性を兼ね備えた舗装技術。

 一方「環境整備」にも、積極的に取り組んでいる。アスファルト合材・骨材など建築用資材の製販を展開しているが並行して、「産廃物の収集・運搬・処理」⇔「再生骨材・再生路盤材の販売」事業も主力と位置付けている。

 それは、こんな展開にも繋がっている。「太陽光発電事業(ex、田布施ソーラフォームは気温25度余でCO2を1851g削減の、太陽光)・再生エネ発電事業」や「福岡の大牟田合材工場では、天然ガス由来のGLT燃料の使用でCO2の排出量を従来の半分近くに抑制」といった展開だ。

 株主対応策では「配当原資は利益剰余金」と明示している。また「株式報酬制度導入」などにも説得力を覚える。

 8月9日に『株式報酬制度の継続に伴う第三者割当による自己株式の処分に関するお知らせ』と題する、リリースを配信している。「1株959円で1万6400株/総額1572万7600円」を処分したという報告だ。

 三井住建道路では2019年の株主総会で、株式報酬制度の導入を決議した。その枠組みはこうだ。<<取締役等(執行役員及び一定の要件を満たす者)の報酬と株式価値の連動性を明確にし、取締役等が株価の変動による利益・リスクを株主と共有することで、中長期的な企業価値の増大意識を高める。為に機に応じ第三者割当という形で自己株処分を行う>>。企業価値:株価を意識した経営を取締役等が追求する。

 株式報酬制度を導入する企業が増加傾向にあるが、投資対象を俎上に載せ検討する際に注目に値する。

 本稿作成中の時価は1000円台入り口、年初来高値ゾーン。予想税引き後配当利回り3%強。過去10年弱株式を保有していると、修正値ベースで92%余りのパフォーマンスを残している。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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