関連記事
独身の日の売上で見る、中国景気の現在地
●独身の日の売上が増加
ロイター通信によると、中国の電子商取取引(EC)最大手のアリババグループは、11月11日の独身の日の売上高が前年から増加したと発表したという。京東集団も売上が過去最高だったと発表している。
【こちらも】ギリシャ、格上げで危機は去ったのか?
2020年から続いたコロナ禍が収束し、景気の先行きの不安定さが緩和され、消費に向かうことが期待される。
一方で、中国恒大集団や碧桂園など不動産バブル崩壊への懸念もあり、中国経済は先行きが不透明となっている。
独身の日のセールが中国消費者動向を占うと言われているが、売上増はどのように見るべきなのか?
●独身の日とは?10兆円超の売上も
11月11日は1が並んでいる日であり、1人が並んでいるということから、中国では独身の日となっている。元々、中国語では光棍節(こうこんせつ)と呼んでいた。
中国のECサイトはこの日に大きなセールを行っているが、特にアリババのこの日1日の売上はニュースとなっており、2014年には日本円で1兆円を突破、2019年からは4兆円超となっていた。
2020年からは、それまで1日だけだったセールを10月下旬からに前倒して、11日間に延長。2021年には過去最高の11兆円を超える売上があったが、2022年はアリババが公表をやめて「前年並みだった」とだけ発表していた。
習近平政権が進める大手ネット企業に対する統制強化を警戒し、宣伝などのマーケティングもせず、政権を刺激しないようにしており、その一環が売上の非公表ではという憶測もある。
●2%の増加をどう見るか?
調査会社の星図数据のデータによると、主要ECプラットフォームの流通取引総額は前年から2%増加したという。昨年の伸び率の2.9%からは鈍化している。
アリババも増加したと発表しただけで、今年も具体的な発表は見送られた。アリババが今後も発表を見送るのであれば、指標としての価値が無くなるという声も多い。
中国の中央銀行が今年の4‐6月期に実施したアンケートでは、消費を増やすと答えた人の割合は貯蓄を増やすと答えた人の割合の半分以下となり、節約志向が国民の間で広がっている。
若者の失業率の高さも深刻で、若者が中心のECが振るわなくなるのは自然な流れかもしれない。海外旅行などが解禁され、消費が分散されていることも考えられる。
コロナ禍の昨年ほどの閉塞感がなくても、消費が順調に回復していないのが現状だろうか。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
スポンサードリンク