タクシー運転手の減少進む インバウンドで不足が深刻化 帝国データバンク

2023年11月7日 07:43

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 帝国データバンクは2日、「全国タクシー・ハイヤー業界」動向調査の結果を発表した。タクシードライバーの数は、高齢化とコロナ禍の退職で10年前より大きく減少し、1割のタクシー事業者は半数以下まで減った。一方、インバウンドが盛り上がっており、全国的にタクシー不足が深刻化している。

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 内閣府は2日、新たな経済対策を発表した。「ライドシェア」の文言は使用しなかったが、第4節には「地域の自家用車・ドライバー活用検討」との記載があり、いわゆるライドシェアを指すものと考えられる。

 岸田首相はライドシェアについて、10月27日の衆院予算委員会で「本格的に制度を考えなくてはならい」との考えを示していた。また、10月24日のテレビ東京「WBS(ワールドビジネスサテライト)」では、「河野デジタル大臣を中心に日本にあった制度を早急に検討してもらいたい」とコメントしていた。

 ライドシェアは、一般のドライバーが自家用車に顧客を乗せ移動することで報酬を得るサービスを指す。米国など多くの国で普及しているが、日本ではタクシー業界が反対し規制改革が進まず、新しいサービスが生まれないままでいる。一方、コロナ禍とタクシー運転手の高齢化に加え、インバウンドの急回復を受け、地方を中心にタクシー不足が深刻化するなど、環境は変わりつつある。

 かかる状況下、帝国データバンクは2日、特別企画「全国タクシー・ハイヤー業界」動向調査の結果を発表した。調査対象2,428社のうち約7割に当たる1,691社のタクシー・ハイヤー事業者が10年前より従業員数が減ったと回答し、352社においては半数以下になったという。1社当たりの平均従業員数も10年前の66人から52人まで約2割減少した。

 背景には、コロナ禍で転職・離職した元ドライバーが戻ってこないことや、ドライバーの高齢化が進む中で定年退職や体調不良で退職するケースが増えていることが挙げられる。タクシー会社の中には、配車アプリの活用を進め「流し」を止めるほか、歩合制を廃止するなどドライバーの採用や維持に向けた改善を続けるところもある。一方、コロナ禍でついたマイナスイメージもあり、若手の採用は容易でないとの意見が多い。(記事:dailyst・記事一覧を見る

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