為替週間見通し:ドルは伸び悩みか、米インフレ鈍化の可能性残る

2023年10月7日 15:16

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記事提供元:フィスコ

*15:16JST 為替週間見通し:ドルは伸び悩みか、米インフレ鈍化の可能性残る
 

【今週の概況】
■ドル下げ渋り、米追加利上げの可能性残る

今週のドル・円は下げ渋り。10月3日発表の米国の8月JOLT求人件数は減少予想に反して増加し、年内追加利上げ観測が広がったことからリスク選好的なドル買い・円売りが強まり、昨年10月以来となる150円16銭までドル高・円安が進行した。しかしながら、150円突破直後に日本の円買い介入に対する警戒感が高まり、ドル売り・円買いが急拡大したことから、一時147円43銭まで反落。その後、追加利上げを想定したドル買い・円売りが再び強まり、ドル・円は取引終了時点にかけて149円台に戻した。4日の欧米市場では9月ADP雇用統計の悪化を受けて米ドル売り・円買いが再び優勢となったが、148円台後半でドルは下げ渋った。

6日のニューヨーク外為市場でドル・円は148円97銭から149円53銭まで上昇した。この日発表された9月米雇用統計で非農業部門雇用者数は市場予想を大幅に上回ったことを受けて年内追加利上げ観測が強まり、米長期金利は上昇したことから、リスク選好的なドル買い・円売りが優勢となった。ただ、9月失業率は横ばいとなったことや平均時間給の伸びが市場予想を下回ったことから、ドル買い・円売りは一服。149円30銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:147円43銭-150円16銭。

【来週の見通し】
■ドルは伸び悩みか、米インフレ鈍化の可能性残る

来週のドル・円は伸び悩みか。日米金利差拡大が予想されているものの、米インフレ率の鈍化や日本の為替介入の可能性は残されているため、リスク選好的なドル買い・円売りがただちに拡大する可能性は低いとみられる。10月31日-11月1日に開催される次回連邦公開市場委員会(FOMC)に向け、米連邦準備制度理事会(FRB)のメンバーからインフレ抑止に前向きな見解が相次いでいる。市場は年内あと1回の利上げを予想し、長期金利は騰勢を保っている。

一方、日本銀行による緩和政策修正の思惑は後退し、将来的なマイナス金利解除の可能性は消えていないものの、米ドルを含めた主要通貨に対する円売りが続いている。ただ、来週発表の米インフレ指標は伸びの鈍化が予想されている。9月消費者物価指数(CPI)はコア指数を含め前回を下回り、ミシガン大学消費者信頼感指数・期待インフレ率も弱い内容なら金利高・ドル高は抑制されよう。
10月3日の海外市場でドル・円は11カ月ぶりに150円を上抜けたが、その直後の円急伸で一時大きく下げた。日本政府は明らかにしていないが、為替介入が行われた可能性が高い事を示唆する相場展開だったため、リスク選好的なドル買いは慎重になりやすい。

【米・9月消費者物価コア指数(CPI)】(12日発表予定)
12日発表の9月消費者物指数(CPI)は前年比+3.6%、コア指数は同+4.1%とインフレ率は鈍化の見通し。市場予想と一致または下回った場合、インフレ沈静化の思惑からドル買いを弱める材料となろう。

【米・10月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値】(13日発表予定)
13日発表の10月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)は67.5と、前回9月の68.1を下回る可能性がある。市場予想と一致、または下回った場合、期待インフレ率も低下が見込まれ、ドル売り要因になりやすい。

予想レンジ:147円00銭-151円00銭《FA》

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