大和コンピューター、ソフトウェア開発の受注が堅調に推移 企業からのシステム改修のニーズ増

2023年9月29日 08:50

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記事提供元:ログミーファイナンス

大和コンピューター、ソフトウェア開発の受注が堅調に推移 企業からのシステム改修のニーズ増

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業績サマリー

中村憲司氏:本日は株式会社大和コンピューター2023年7月期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。さっそくですが、進めていきたいと思います。

まず、2023年7月期の業績サマリーです。売上高は前期比4.4パーセント増の30億500万円、営業利益は前期比6.8パーセント増の5億300万円と、増収増益でランディングできました。30億円を超える売上高は過去最高の数値です。

2024年7月期については、すでに短信等で業績の見込みを発表しています。昨今の足元の状況を勘案しても、人材投資を含め、各事業分野における先行投資や、さまざまなかたちでの投資案件が必要だと考えています。また、連結対象の子会社によるコストも勘案し、計画値を策定しました。今期についても増収増益の計画で進めていきます。

また、投資家・株主のみなさまへの還元については、2023年7月期は計画を上回りました。したがって、配当は1円増配の18円を予定しています。

事業概要

当社の事業概要についてです。当社の一番の幹となるのはソフトウェア開発関連であり、売上構成比は約77パーセントとなっています。その構成内容は、ソフトウェアシステムの解析や、お客さまの課題を解決するソリューションサービス、ソフトウェア開発です。

ソフトウェア開発は、当社が用いている「CMMI」のコンサルティングを行いながら、他のお客さまにもサービスのよいところをお伝えしていきたいと思っています。

また、サービスインテグレーション関連は約21パーセントの売上構成比であり、スポーツクラブや各種学校、スクール等においてインターネットサービスやクラウドサービスを提供しています。もちろん、このサービスを提供するにあたり、プロダクトの開発や運用サービスを行っています。

また、その他カテゴリーの売上構成比は約3パーセントです。当社はIoTを使った農業のことを「i-農業」と称し、登録商標にもなっています。農業分野だけでなく、さまざまな物流等での効率化や事業革新等の分野において、無線ICタグの技術であるRFIDを用います。お客さまからはさまざまなご要望をいただくため、メーカーを問わず、できる限りのサービスや商品を調達し、提供していくこともこの分野の1つです。

2023年7月期連結決算概要

具体的な数字の中身についてです。売上高は30億500万で、計画比2.9パーセント増、前年比4.4パーセント増となりました。営業利益は5億300万円で、計画比4.9パーセント増、前期比6.8パーセント増となっています。経常利益も5億1,500万円、計画比3パーセント増、前期比1.6パーセント増となっています。

また、親会社株主に帰属する当期純利益は3億2,900万円、計画比1.8パーセント減、前期比3.1パーセント減となりました。税務上の会計に対し、その期間中の対象となる費用に関する税率が前期と異なっているため、前期に計画していた数字よりも600万円減となりました。

この結果、1株あたりの利益は84円92銭、総資産は57億5,900万円、純資産は47億8,300万円と、いずれもプラスとなりました。また、自己資本比率は83.1パーセント、1株あたり純資産は1,234円9銭というかたちでランディングしています。

セグメント別実績

セグメント別の実績です。メインのソフトウェア開発関連は、売上高が23億2,000万円、営業利益が3億7,300万円と、いずれも前期比で増収増益となりました。

サービスインテグレーション関連については、売上高が6億1,000万円、営業利益が1億7,000万円となりました。売上高は3.1パーセント増でしたが、利益は4.5パーセント減となっています。

また、その他の売上高は8,000万円、営業利益は3,600万円の損失となっています。

増減要因

増減要因についてです。前半はスローペースでスタートしましたが、堅調な受注活動により後半から開発案件を受託でき、売上高は前期比4.4パーセント増となりました。

利益については、販管費や物価高、人件費等への対応などにより前期比8.1パーセント増となりましたが、売上高の増加により前期比6.8パーセント増加しました。

得意先の状況

得意先の状況です。当社の2大得意先はSCSKさまと大塚商会さまです。両社の直近の業績発表から堅調に推移していると承知しています。

当社は、両社にコアなパートナーと位置付けしていただき、順調にビジネスを進めています。受注案件やその内容、規模、期間などは各年により多少の変動はあるものの、ここ数年は50パーセント前後で推移しています。

キャッシュ・フロー状況

キャッシュ・フローについてです。営業活動によるキャッシュ・フローは3億2,400万円となりました。プラス要因としては、税金等調整前当期純利益が5億1,500万円、減価償却が3,200万円です。マイナス要因としては、売上債権の増加が9,000万円、法人税等支払額が1億4,400万円です。

投資活動によるキャッシュ・フローは、マイナス1億3,000万円となりました。投資有価証券の取得による支出で1億600万円となっています。また、今回連結対象となった子会社の株式取得等による支出は1,300万円です。

また、財務活動によるキャッシュ・フロー1億2,100万円の内訳は、短期借入金の返済が3,000万円、長期借入金の返済が2,500万円、配当金の支払額が6,500万円となっています。

自己資本と有利子負債

自己資本比率と有利子負債の状況です。東日本大震災の際に借り入れをしましたが、順調に返済が進み、有利子負債は3,000万円前後まで進んでいます。2023年7月期は5,000万円ほど増加していますが、これは先ほどの連結子会社に入れた会社の借入金処理による数字です。

2023年7月期のレビュー

2023年7月期のレビューについてです。ようやくアフターコロナモードに入りました。当社のソフトウェア開発関連については、この3年間のコロナ禍を経て、オフィスワークとリモートワークを巧みに活用して家庭生活の充実と生産性の向上を行い、よい循環になるようにいろいろ工夫してきました。

当社は、コロナ禍前からリモートワーク率を常時約30パーセントと掲げていたため、働き方の変化に難なく対応でき、結果として、今期の売上や後半の受注につながったのではないかと考えています。

受注内容については、インボイス制度や電子帳簿保存法の改正に伴うシステム改変の需要が多く、その要望に対応しました。

また、クラウドサービスにおいては、昨今話題となっているセキュリティの強化に注力しました。また、インフラやソフトウェア開発と同様に、インボイス等の対応の機能強化にも注力した1年間でした。

農業関連に関しては、滋賀県の東北部にある浅小井農園を子会社化しました。

2024年7月期 連結業績予想

2024年7月期の連結業績予想です。売上高は30億5,000万円、対前期増減率1.5パーセント増、営業利益は5億1,000万円、対前期増減率1.3パーセント増、経常利益は5億2,200万円、対前期増減率1.3パーセント増、親会社株主に帰属する当期純利益は3億4,100万円、対前期増減率3.7パーセント増をそれぞれ目指しています。

この数字については、毎年「ちょっとコンサバティブじゃないのか」「ステディじゃないのか」というご意見をいただきます。現状の先行き不安や不透明な経済状況、地政学的な状況、自然環境、そして足元の物価、インフレ、金利などの不確定要素も多いですが、必ず達成するという強い気持ちで目標達成を目指します。

アフターコロナとなり、IT投資を控えていた企業、特にコロナ禍でダメージを受けた企業からのニーズが増えています。これは投資や業務効率化、無人化等々への期待だと考えています。

売上推移(1977年~)

売上推移についてです。会計年度を3ヶ月にしたり、2度、3度と会計年度を変えていることもあり、その分が落ち込んでいます。バブル崩壊やリーマンショック、直近では3年前のコロナ禍の影響も出ていますが、みなさまのご支援により堅調に推移しています。今年もその流れを飛び出さないようにしたいと思っています。

1株あたりの配当金の推移

株主さまへの還元については、上場来、増配または維持を基本ベースとしています。直近ではしばらく実施できていませんが、市場の状況次第では株式分割というかたちで株主さまに還元したいと考えています。

上場当初から持ち続けていただいている株主さまは、1株が4.31倍になっています。今後もそのようなことができるように、足元を見ながら努力したいと思っています。

ただし、肝要なのは企業価値の向上とその水準の維持ですので、その点を見失わないようにがんばっていきます。

直近では、先ほどお伝えしたように1株あたり17円から18円の増配を予定しています。

経営理念

経営理念としては、一言で言うと「魅力ある会社」にしていきたいと考えています。「勤めたい」「取引したい」「製品・サービスを買いたい」、そして「投資したい」と思ってもらえるような会社を目指しています。その実現のためには、品質を第一にしていきます。この考えは1年や2年で大きく変わるものではありませんので、毎度同様ではありますが、お伝えしました。

大和コンピューターの特徴

大和コンピューターの特徴についてです。ソフトウェア開発関連は派遣が多い傾向にあります。しかし、当社は創業より受託開発に注力しています。特に昨今はパートナー会社にもご協力いただき、自社の製品開発に努めています。

その他の特徴は、スライドに掲載しています。先ほどからお伝えしているように、なによりも品質を第一にしています。

オフィス環境

品質維持のために、オフィスや開発ルームの環境整備についても注力していきます。

中期的な目標・戦略と状況

中期的な目標・戦略と状況についてご説明します。先ほどお伝えした経営理念にもとづき、特にスライドに記載した6つの点に注力し、粛々と遂行していきます。後ほど1番から4番についてもお話ししますが、直近では特に5番目、6番目に力を入れています。連結子会社にした浅小井農園をはじめ、サステナブルな環境や経営を続けていく考えです。

1. ソフトウェア開発関連事業の強化

まず、中期的な戦略として、ソフトウェア開発関連の強化を掲げています。当社は品質第一主義であり、社員やお客さまからも「大和コンピューターは品質に気を使っている」とのお言葉をいただきます。その信頼を裏切らないようにがんばっていきます。

ソフトウェアは人間が開発しているため、完璧ではありませんが、限りなく100パーセントに近い、ミスのないソフトウェア開発を目指したいと考えています。さらに、DXやAIなどの新技術や、それらに対する取り組みも強化します。弊社のできる範疇で、他社とは違った切り口からさまざまなことにトライしていきます。

2.CMMI関連ビジネスの強化

「CMMI」は、カーネギーメロン大学と国防総省による品質を維持するためのスタンダードモデルであり、当社では自らレベル5を取得しています。また、「関連会社や同業他社に品質の高いソフトを作ってほしい」という思いで、「CMMI」のコンサルティングや伝播に努めています。もう20年近く「CMMI」に接しており、アプレイザル実施数は国内1位を維持しています。今後も品質の向上に留意していきます。

3.クラウドビジネスの推進

クラウドビジネスの分野においては、「健康」と「学び」という2つのキーワードを掲げて展開していきます。この分野のビジネスにおいては、おかげさまで弊社の売上規模は約20パーセントまでに成長し、利益率は3割を占めるところまできています。

お客さまにサービスを提供するかたちでビジネスを展開しています。現在はフィットネスや学校、塾が中心ですが、介護や社内教育等の分野でも使っていただく状況になってきました。さらに一歩進んだサービスを提供すべく、不可欠である先行投資等も十分に行いたいと思っています。

4.「RFID」ビジネスの推進

RFIDに関するビジネスは10年くらい前から本格的に導入し、お客さまに使っていただいています。当社の取り組みの1つの特徴として、国際機関GS1が提唱する世界標準「EPC」あるいは「EPCIS」をベースにしていることが挙げられます。世界標準を使用することにより全世界で同じ言語が通じるため、注力しています。国内においてRFIDに対応したサービス提供の実績を積んでいる点は、誇れることだと考えています。

4.「RFID」ビジネスの推進

RFIDビジネスの推進としてユニークなところでは、日本酒業界への普及があります。蔵元からの話では、良い日本酒を海外に出しても、中身がすべて抜き取られたり、入れ替わったりすることがあると聞いています。そのようなことを防ぐため、また、世界に本当においしい日本酒を提供するために、RFIDをつけて海外へ進出する取り組みです。

また、これは農業の部分ともつながりますが、日本酒に使用する米の育成管理にも取り組んでいます。どのような肥料でどのように育成した米が日本酒になるのか、また、日本酒がどのように物流に乗り、消費者に運搬されるのかなど、安全を届ける一助になればと思い、日本酒業界と一緒に取り組んでいます。

4.「RFID」ビジネスの推進

RFIDを利用して、さまざまなかたちの社会貢献事業に取り組んでいます。我々の持っている技術を使っていただきたいということで、数年前から「Loopach」を提供しています。

4.「RFID」ビジネスの推進

RFIDに関わるその他のソリューションです。こちらも積極的に取り組んでいきます。

5.農業に関する活動

有価証券報告書や決算短信等の文章ではお伝えしにくい、当社の農業に関する取り組みについてお話しします。「日本の農業を強くしたい、安全を守りたい」という思いから、また「弊社社員のライフワークバランスを維持したい」との発想から、農業に関する取り組みを行ってきました。

5.農業に関する活動

生産への取り組みとして、2009年にはメロン栽培を開始しました。ソフトウェアの会社が農業に取り組むのは非常にチャレンジングなことであり、知らないことも多くありました。農業はIoTが不可欠な分野であり、ITが介入する余地があることを実感しました。技術の進展とともに、このような取り組みを行っていかなくてはなりません。スライドでは生産に関する取り組みを時系列で記載しています。

5.農業に関する活動

生産にも関わることとして、当社は「i-農業」を提唱しています。これはInformationの「I」、私という意味の「I」、Loveという意味の「愛」のすべてで農業を考えていくというものです。

スライドの①から④までは、当然ソフトウェアに関わる分野です。しかし、直近で特に力を入れているのは⑤から⑦です。特に養液潅水システムに関しては、多様化・転用化できるようなソフトのコントロールを中心に取り組んでいます。

また、昨今は天候不順などのさまざまな天災があります。重油ではなくLPガスのほうがCO2削減に繋がるため、エネルギーに関するソリューションにシステムを導入できないかを研究しています。

さらに、AIの活用としては、静岡大学と連携して、メロンの等級判断にAIを導入できないか取り組んでいます。

5.農業に関する活動

こちらには、農業に関するその他の取り組みを挙げています。

5.農業に関する活動

直近の活動です。前期の売上にはごく一部しか計上できていませんが、浅小井農園にて「朝恋トマト」というブランドトマトをすでに販売しています。この農園では、これまでに廃油を使った暖房システムを導入するチャレンジなどをしていました。そのようなところを受け継ぎ、ブラッシュアップしていきたいと思います。

また、同農園は農業生産工程管理基準のJGAP認証も取得しています。弊社の農業分野でも子会社においても安心して提供できるような、また、SDGsにつながるような仕組み作りを進めていきたいと考えています。

6.持続可能な成長を目指して

人材の育成も不可欠です。2017年に「DaiwaComputer 未来プロジェクト」を立ち上げ、若手社員を中心に10年後、20年後に向けて持続可能な成長を目指したビジョン構築を検討してきました。

しかし、6年間のうち後半の3年間は残念ながらコロナ禍により十分に活動できませんでした。仕切り直しやブラッシュアップをするためにも、人材の育成が必要だと考えています。知識の伝承や新しいテクノロジーの取得、社員のキャリアプランも踏まえ、横断的な支援ができる人材育成センターを設置しました。

直近では自己認知力を向上する目的で、全社員に人材アセスメントを実施しました。その結果から、適性あるいは興味を持ったやりがいある分野への配置や、自分の興味があることにチャレンジしてもらいたいと考えています。また、持続可能な目標の見直しも検討したいと思っています。

最後に

安心・安全・信頼をベースに絆作りを追求し、お客さまのニーズに応えていきます。品質第一を掲げ、ソフトの開発、サービスの提供、農産物あるいはそれを支援するシステムや仕組みを提供していきます。その過程で得た技術を横展開できないかと考えながら進めていきます。

今期も引き続きご支援いただければと思います。どうぞよろしくお願いします。

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