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資産運用特区創設で重要性が高まる「ゴールベースアプローチ」
岸田文雄首相は、ニューヨークでの講演において、資産運用特区を創設することを表明した。日本における資産運用業を強化し、日本への投資を呼び込むほか、国内投資家が投資できる商品を増やすことを目的としている。
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具体的には、海外の運用会社が参入することを促すため、規制や日本独自慣行の見直しを図る。従来は、海外勢にとって参入障壁が高く、それがゆえに日本の資産運用業は遅れていると言われていた。政府が後押しすることで、「貯蓄から投資へ」のスローガンが進展することは望ましい動きと言える。
投資家にとっては、海外の資産運用会社が参入することにより、投資する商品が増えることにつながる。また競争が促進されることで、国内の運用会社の商品の改善や、日本だけで実施される基準価額の二重計算といった無駄な慣行撤廃も期待される。
だが急に投資商品が増えても、金融商品知識が不足したままでは何に投資すべきかということや、リスクを把握することが難しくなる可能性がある。このような時に有用なのがゴールベース・アプローチと呼ばれる投資手法だ。
ゴールベース・アプローチとは、投資家が思い描く将来像から逆算し、投資金額、運用期間、許容できるリスク等を描き、それに基づき投資商品を選択。運用を中・長期的に行う投資手法である。
ここで重要なのが、投資、運用において伴走者となるアドバイザーである。投資家自身が多種多様な金融商品の情報を収集することや、リスクを把握することが難しい場合があるため、投資家と対話しながら運用方法を提案するアドバイザーは重要な役割を持つ。
従来より、証券会社の営業マンがアドバイスする慣行があるが、自社の商品だけを推奨する点や、手数料を稼ぐための悪質な回転売買を勧めてくることがあるため、避けるべきと言える。
現在は、IFAと呼ばれる独立系のアドバイザーも増えており、ゴールベース・アプローチを実践する上での相談先となる。但し、IFAも人によって知識やレベルに差異があり、裏に特定の証券会社がついている場合もあるため、注意が必要である。
IFAには対価が発生するが、資産運用に関するアドバイスは有償であることは当然であり、証券会社から無償でアドバイスを受けられるという発想は、投資家側で変えるべき点であろう。
「貯蓄から投資へ」の流れが進む中で、投資家も必要な情報や知識を習得し、使えるサービスは使うことで、賢く運用を行う必要がある。(記事:Paji・記事一覧を見る)
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