キリンHDがラベル不要のリサイクル対応印刷技術を開発、ペットボトルに直接印刷できる

2023年8月30日 08:49

印刷

記事提供元:日本インタビュ新聞社

■「プラスチックが循環し続ける社会」の実現に貢献

 キリンホールディングス<2503>(東証プライム)のパッケージイノベーション研究所は29日、ペットボトルに直接印刷できるリサイクル対応ペットボトル ダイレクト印刷技術(Recyclable Direct PET bottle Printing technology:RDP技術)を開発し、PETボトルリサイクル推進協議会(※)に申請したと発表。

※ 1993年(平成5年)にペットボトルを製造するメーカーなどからなるPETボトル協議会と、ペットボトルを利用する飲料メーカーなどからなる複数の業界団体が合同で設立した任意団体。日本のペットボトルリサイクル推進に取り組んでいる。

■技術開発の背景

 ペットボトルのラベルは、ブランドを訴求するとともに、商品として販売する際の製造者情報や賞味期限、原材料など定められた表示のために必要なものである。使用済みペットボトルを回収してペットボトルに再生する「ボトルtoボトル」を推進するためには、ラベルを分別して回収をする必要があるが、特に駅や商業施設など家庭以外から回収されるペットボトルは、分別する手間や回収の負担からラベルが分別されない場合が多く、ペットボトルの資源循環の課題となっている。

 同社は、「プラスチックが循環し続ける社会」の実現に向けて、必要な表示は残しながら、ラベルやシールに使うプラスチックを削減し、同時にお客様がラベルを分別する負担も軽減する技術として、日本ではまだ実用化されていないRDP技術を開発した。

■開発技術

●インク剥離技術

 従来のインクでペットボトルに直接印刷した場合、リサイクル工程でインクが剥がれず、リサイクル後のPET樹脂へ着色が残ったり、透明性や品質が損なわれる恐れがあった。そのため、PETボトルリサイクル推進協議会の定めるガイドラインでは、直接印刷を禁止している。この技術課題に対して、当社パッケージイノベーション研究所は、富士フイルム株式会社が開発した剥離インク(樹脂との密着力を制御することで、リサイクル工程の洗浄液中で剥がれ、樹脂と分離できるインク)を使用し、そのインクをリサイクル工程で剥離できる技術を開発した。この技術により、RDP技術で印刷した表示やバーコードなどは、お客様の飲用時には剥がれず、リサイクル工程の洗浄時に剥がれ、分離させることに成功した。

●独自のデジタル印刷技術

 同RDP技術では、同社独自の「デジタル印刷技術」を採用しており、従来のラベル印刷に必要な製版が不要である。これにより、ペットボトル一本ごとに個別のデザインの印刷も可能であり、多様なニーズに対応できる。またペットボトルに直接印刷できるため、これまでのラベルに比べて、基材となる樹脂フィルムが不要となり、ペットボトル一本当たりのプラスチック使用量は約8%、ラベルの使用によるGHG排出量のうち約84%(シュリンクラベルとの比較:同社比)の削減が可能である。高度なデジタル印刷技術により、原材料表記やバーコードじみた微細な印刷も可能で、ペットボトルの透明感も損なわれない。フルカラーで視認性やデザイン性に優れた表現も可能である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

【関連記事・情報】
【株式市場特集】東証マザーズ・グロース市場銘柄で勝負するならこの株!低金利時代の投資セオリーを覆す(2023/08/28)
【株式市場特集】9月中間期末の高配当利回り株と分割株を狙え!トリプル権利取りでトリプル安を乗り切る(2023/08/21)
【株式市場特集】塗料・舶用機器・砂糖株の3セクターが狙い目!業績相場でも夏枯れ相場でも出遅れ訂正のチャンス(2023/08/14)
【株式市場特集】サマーラリーもサマーセールも夏枯れも関係なし!上方修正銘柄の逆行高を狙え(2023/08/07)

※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

関連記事