人手不足原因の倒産が急増、1~7月で2022年の年間件数超える

2023年8月20日 07:28

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 東京商工リサーチが2023年1~7月における「人手不足」関連倒産の状況を発表し、運輸業やサービス業、建設業などを中心に人手不足を原因とした倒産件数が急増しており、過去最多の倒産件数を更新しそうな勢いとなっていることが分かった。

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■年間最多件数を更新しそうな勢い

 17日、東京商工リサーチが2023年1~7月における「人手不足」関連倒産の状況を発表した。同期間の人手不足を原因とした倒産件数は83件となり、前年同期(32件)の約2.5倍となっただけでなく、2022年の年間件数62件を上回った。

 これまでの年間最多は2019年の156件であり、2023年の月平均倒産件数が11.8件であることから12倍すると約142件となるため、19年に迫る勢いとなっていることが分かる。

■コロナ後の求人が埋まらない中小企業

 倒産の要因別で最も多かったのは「求人難」の35件で、前年同期の20件から75%増。次に多かった要因は「人件費高騰」の29件で、こちらは前年の発生はゼロ。また今期19件だった「従業員退職」が前年同期の12件から58.3%増となっている。

 新型コロナの感染拡大による市場の縮小から従業員を削減した後、コロナが鎮静化したことで従業員の採用を再開する動きが出ている。しかし大企業と比較して賃金や労働環境の厳しい中小企業では人材が集まらないことで、中小企業を中心に人手不足を原因とした倒産が増えている。

 倒産の形態別では「破産」が79件と全体の95.1%を占めている。その他は「私的清算」の「取引停止処分」が3件、「民事再生法」が1件となっており、過去と同様に破産が大半を占める傾向は変わっていない。

■2024年問題の運輸業で倒産が急増中

 産業別で最も倒産件数が多かったのは運輸業の24件で、前年同期の4件から6倍に増えた。運輸業ではドライバー不足となる2024年問題が叫ばれているが、それが前倒しとなっているように倒産が増えている格好。また業種別倒産件数でも一般貨物自動車運送業が19件で最も多くなっている。

 産業別で次に倒産件数が多かったのはサービス業他の23件で、前年同期の13件から約1.8倍、そして建設業の17件で、前年同期の7件から約2.4倍となった。以下は建設業が8件(前年同期の4倍)、情報通信業が5件(同5倍)、小売業が4件(同2倍)、卸売業が2件(同50%減)と続く。一方で、農・林・漁・鉱業、金融・保険業、不動産業の3つの産業では人手不足を原因とした倒産は発生していない。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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