1万個超の太陽系外惑星系で知的生命体を探索 UCLAらの研究

2023年8月15日 08:18

印刷

UCLAが観測に用いたグリーンバンク望遠鏡は世界最大の操縦可能な電波望遠鏡 (c) Jee Seymour

UCLAが観測に用いたグリーンバンク望遠鏡は世界最大の操縦可能な電波望遠鏡 (c) Jee Seymour[写真拡大]

 SETIは、地球外知的生命探査活動の総称で、世界中で多くのプロジェクトが進行中である。最も古いプロジェクトはアメリカのオズマ計画で、惑星を伴う可能性がある規模で、地球に比較的近い十数光年の距離にある2つの恒星(くじら座τ星、エリダヌス座ε星)をターゲットにして行われた。

【こちらも】年間10万個も地球に降り注ぐ、太陽系外惑星由来微粒子に生命の痕跡? 東大の研究

 当時は太陽系外惑星を直接観測によって捉えた事例もなく(科学的観測に基づいて初めて太陽系外惑星が発見されたのは1988年)、知的生命体発見に科学者たちはそれほど期待していなかっただろう。

 だが現在は、2023年8月1日時点で5,481個の太陽系外惑星が確認され、恒星には惑星が伴っている確率が高いことが認識されている。またこのところの地球外知的生命体探索活動は、ターゲットとなる恒星系を観測的根拠に基づき、より具体的に絞り込んでいる。

 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)らの研究者は、TESS object of interestにある恒星から62個をピックアップ。その周辺にある合計約11,680個の恒星と惑星系からの電波放射をトレースし、知的生命体が発したメッセージ電波だけでなく、テクノロジーに起因すると考えられる電波源の詳細な探索結果を公開した。

 TESSとはトランジット系外惑星調査衛星の略称で、TESS object of interestは、TESSによって太陽系外惑星が存在する可能性が示された恒星に与えられる天体カタログだ。

 電波捕捉はアメリカのグリーンバンク望遠鏡(直径100m)のLバンド受信機(1.15~1.73 GHz)によって実施され、5,385光年から1万8,173光年離れた約11,680個の恒星とその惑星系からの電波源探索が試みられた。

 結果的にこれらの恒星系から知的生命体が発した電波源の検出はできなかったが、○か×かだけではなく、具体的な確率論的数字を伴った結論も示されている。

 つまり、知的生命体の存在は×だっただけにとどまらず、M8よりも古い星のうち、探索で検出可能な送信機をホストしているのは、約0.014%未満である可能性が高いことが示されたのだ。最終回答が0%でなかったのは、知的生命体がいないと断言できないという含みのあるものだと考えるのは、偏見だろうか。(記事:cedar3・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事