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NYの視点:米7月雇用統計で9月の利上げの行方探る
*07:37JST NYの視点:米7月雇用統計で9月の利上げの行方探る
連邦準備制度理事会(FRB)は7月の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げを再開した。インフレ鈍化の基調が続くものの、ペースが鈍く、また、FRBのインフレ目標達成には程遠いとの見方で、今後も利上げの可能性を除外しなかった。同時に、パウエル議長は労働市場は依然力強いが、一部では鈍化の兆しが見られると、タカ派色を弱めた。9月FOMCでは正当化されれば利上げ、されなければ金利を据え置くと、データ次第で政策を決定する方針を明確化した。鍵を握る雇用統計で9月の利上げの可能性を探る。
米労働省が発表する7月雇用統計の市場エコノミスト平均予想で、非農業部門雇用者数は前月比+20万人の伸びが見込まれている。失業率は3.6%と、6月に続き約50年ぶりの低い水準が維持される見込みで、労働市場の鈍化の兆候があまり見られない可能性がある。
ただ、パウエル議長が指摘しているとおり、求人件数や労働者の雇用市場に対する自信をあらわすとされる自主退職者数が減少しており、労働市場の圧力が徐々に緩和しつつある兆候も見られ、賃金の伸びは一段と鈍化が予想されている。
最近の消費の底堅さは労働市場の強さが基本となっている。もし、労働市場のひっ迫緩和が見られると、FRBが望む通り、消費も鎮静化、インフレも鈍化が継続、FRBの利上げも打ち止められることになる。
雇用統計の先行指標のひとつである民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の7月分は+32.47万人と、6月に続きポジティブサプライズとなった。ただ、ADPの結果に対し、6月雇用統計は安定した伸びにとどまったため、7月分も市場予想を大幅に上回るような伸びはないと見る。
製造業の雇用は依然冴えず。全米供給管理協会(ISM)が発表した全米の製造業活動を示すISM製造業の7月雇用は44.1と2カ月連続の50割れ。6月から一段と悪化し、製造業は景気後退域。7月NY連銀景況指数雇用者数は4.7と、-3.6からプラス改善もフィラデルフィア連銀景況指数雇用は5カ月連続のマイナス。
コンファレンスボードが発表した消費者信頼感指数の現在の雇用状況で十分は46.9と、前年同月に比べては低いが6月45.4からは改善。労働市場への信頼は依然強い。
■7月雇用先行指標
ADP雇用統計:+32.4万人(予想:+19.0万人、6月:+45.5万人←+49.7万人)
ISM製造業雇用:44.4(6月48.1)
NY連銀景況指数雇用者数:4.7(-3.6)
週平均就業時間:0.3(-5.8)
6カ月予想
雇用者数:+13.2(+15.1)
週平均就業時間:‐5.9(+1.0)
フィラデルフィア連銀景況指数雇用:-1.0(-0.4)
週平均就業時間:-3.0(-8.2)
6カ月予想
雇用者数:+21.3(+13.1)
週平均就業時間:+16.5(0.6)
週次失業保険申請件数
07/22/23| 221,000| -7,000| 233,750| n/a |n/a
07/15/23| 228,000| -9,000| 237,500| 1,690,000| 1.1%
07/08/23| 237,000| -12,000| 246,750| 1,749,000| 1.2%
07/01/23| 249,000| 13,000| 253,500| 1,721,000| 1.2%
06/24/23| 236,000| -29,000| 256,750| 1,718,000| 1.2%
06/17/23| 265,000| 1,000| 256,000| 1,733,000| 1.2%
06/10/23| 264,000| 2,000| 247,250| 1,761,000| 1.2%
06/03/23| 262,000| 29,000| 237,500| 1,772,000| 1.2%
コンファレンスボード消費者信頼感指数
現在の業況
雇用
十分:46.9(6月45.4、前年同月49.2)
不十分:43.4(42.0、38.4)
困難:9.7(12.6、12.4)
6カ月後
雇用:
増加:16.4(15.4、15.1)
減少:14.8(16.7、21.1)
不変:68.8(67.9、63.8)
所得
増加:16.3(18.6、15.3)
減少:9.7(11.8、15.5)
不変:74.0(69.6、69.2)
■市場予想
・米・6月非農業部門雇用者数:予想:+20万人、6月:+20.9万人)
・米・6月失業率:予想:3.6%、6月3.6%)
・米・6月平均時給:前年比予想:+4.2%、6月:+4.4%)《CS》
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