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進みつつあるミドル・シニアのキャリア支援
ミドル・シニアのキャリアを、研修やリスキリング でサポートする企業が増えてきている。従来は、40才代後半に研修を1回行い、その中で危機感を煽り個人で何とか道を切り開くよう促す程度の施策であった状況が、変化してきている。
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具体例として、ANAでは、50~58才の社員にキャリアコンサルが伴奏しながら、社労士や会計士といった専門資格の取得を支援する制度がある。住友商事では、今後求められるデジタル関連の知識の取得研修や、セカンドキャリアの作り方を学ぶ機会がある。ソニーでは、シニアインターンシップ制度で経験の取得をサポートする。
企業がこうした活動に力を入れるのは、ベテランのやる気と活力を引き出すことにある。ベテランは会社や仕事に慣れていることで、ある程度の業務がこなせてしまうケースが多いが、学びを続けないとスキルの陳腐化は避けられない。若手向けの研修は多いが、ミドル・シニア向けのリスキリングの機会は限られているのが現状だ。
企業にとっては、スキルを高めた人材が転職で流出してしまうリスクもある。しかしこのようなサポートが広がることは、同時に他社からの人材獲得チャンスの拡大にもつながる。
日本の企業の多くがミドル・シニア向けのサポートをすることで、人材の流動化による慢性的な人材不足の解消や、異業種スキルとの融合による新サービスの開発といった形で、経済の活性化につながる可能性があるだろう。
一方で、気になるデータもある。転職にあたって行った準備活動に関する厚労省の調査では、資格取得やキャリアコンサルの支援を受けるといった活動をせず、何の準備もなく転職した人の割合が約7割となっている。
これは、自身のキャリアについて見直すことや、スキルアップへの意識が低いことを示していると推察される。シニア・ミドルと対象層も異なるので、この調査結果と同じことが示唆されるわけではないが、個人レベルでの意識や活動の見直しは、企業によるサポートにも増して欠かせないだろう。(記事:Paji・記事一覧を見る)
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