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「2024年問題」に翻弄の物流業界 ヤマトは仇敵日本郵便と協業、コンビニも配送回数見直し・・
いま物流業界は大忙しだ。コロナ禍が本格的に招き寄せた通販はますます盛んになり、その中でも「送料無料」を謳った業者の調子が良さそうだ。
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現実的には、販売業者と消費者を結びつけるために物流事業者の存在が欠かせないし、物流事業者が善意で無料の宅配サービスを提供している訳ではない。満足できる金額かどうかは別にして、どんなものを運んでも、物流事業者には見返りの送料が支払われる。
つまり「送料無料」としている通販商品の価格には、知恵と工夫に溢れた送料が含まれている。目に見えないから、つい「送料無料」を選ぶ消費者が多い構図が見えてくる。
そんな物流業界は、対応を間違うと事業の継続すら困難になりかねない「2024年問題」という、深刻な時限爆弾を抱えている。
「1億総活躍社会」へ向けた働き方改革の大きな柱となっているのが、「長時間労働の是正」だった。裏を返せば、今まで長時間労働が当たり前の労働環境があったから、問題視されたと言える。その働き方改革関連法は24年4月に施行される。
ドライバーについては、年間の時間外労働の上限が960時間になる。1カ月単位で考えると80時間で、1カ月20日間の勤務と考えると、1日当たり4時間が時間外労働の上限だ。
毎日朝早くから、深夜まで配送に追われる人も珍しくない業界と聞いていたから、ドライバー個々人にとっては時間外の収入が減るのは痛いにしても、肉体的には余裕が生まれて一息つく人もいるだろう。
問題なのは配送事業者だ。会社全体の実動時間が減少すれば、売上げとしての配送収入も減少する。配送事業者はドライバーを増員しなければ、現在の事業規模を維持できないことになるが、現在は深刻な人手不足が進行中だから、ドライバーの増員は容易でない。
相当数の配送事業者(40%程度という声もある)が、倒産するか廃業するかという瀬戸際の判断を迫られている。
コンビニ業界では、セブン-イレブン・ジャパンが店舗への配送回数を、従来の1日4回から同3回に減らす。輸送費や輸送時に排出するCO2の削減という副次的な効果もあるが、何よりも配送車ドライバーの拘束時間を減らすことが目的だ。ローソンも24年3月までに配送回数を従来の1日3回から同2回に減らす。
19日、ヤマト運輸はメール便の「クロネコDM」便と小型薄型荷物「ネコポス」を終了すると発表した。日本郵便と協業して守備範囲を絞り込むということだ。「クロネコDM」便は日本郵便との過去の対立から生まれた曰く付きの商品であり、「ネコポス」はメルカリ等のフリマアプリによる利用増加が期待された商品だった。
生き残りをかけた経営判断の結果、メンツで抱え込むよりも割り切ってたどり着いた結論だろう。何よりも、敵同士で激しい鍔迫り合いを演じてきた両者が協業に転じたところに、「24年問題」の深刻さが浮き彫りになっている。「佐川急便はどうするのか」と連想するのは、お節介だろうが。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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