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生体分子モーターを試験管内で簡単に合成 ナノテク分野など応用に弾み 京大ら
(a)キネシン生体分子モーターと微小管の模式図。(b)微小管上をキネシンが二足歩行する様子を示した模式図。(画像:京都大学の報道発表資料より)[写真拡大]
京都大学、九州大学などは20日、生体分子モーター「キネシン」を試験管内で簡単に合成することに成功したと発表した。今回研究グループが用いた方法によれば、その構造・機能を改変することも容易だ。細胞が機能する仕組みの理解を深めるために役立つだけでなく、ナノテクノロジーなどの工学分野でも研究開発に弾みがつくことが期待されるという。
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■キネシン生体分子モーターとは?
キネシン生体分子モーターはタンパク質の一種だ。微小管細胞骨格と呼ばれる細胞内に張り巡らされた繊維に沿って二足歩行で移動しながら、さまざまな物質を輸送している。
このキネシンは、化学エネルギーを高い効率で運動エネルギーに変えることができる。例えば、キネシンを人間サイズに引き直した場合、その移動スピードは新幹線よりも速く、その出力は、一般的な電磁モーターの20倍にも匹敵する。
そのためキネシンは、細胞の機能の仕組みを理解するために重要であるだけでなく、ナノテクノロジーの分野では、微小な動力パーツとして注目されてきた。
ただその合成は、遺伝子組み換え大腸菌を使った方法が一般的で、非常に難しかった。キネシンの抽出・精製に専用の設備と熟練したスキルが必要になるためだ。
■試験管内で簡単にキネシンを合成することに成功
これに対して、今回研究グループは、無細胞タンパク質合成系を用いてキネシンの合成に成功した。この方法ならば、試験管内でDNAと試薬を混ぜ合わせるだけで、簡単にキネシンを合成することができる。基本的にその抽出・精製は必要ない。
しかも遺伝子組み換え大腸菌を使うには、国の許可だが、この方法ならその必要もない。
研究グループによれば、今回合成されたキネシンは、遺伝子組み換え大腸菌を使って合成されたキネシンよりも高性能。さらに機能や構造を改変することも、容易だという。
今後は、キネシンを幅広い研究者が利用することが可能になり、さまざまな分野で研究開発に弾みがつくことが期待されるとしている。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る)
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