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ECB、近々利上げ終了か?
●15日にECB理事会
ECB(欧州中央銀行)は、6月15日の理事会では利上げを継続することが確実だが、その後の利上げが注目される。米FRBは13、14日のFOMC(連邦準備理事会)での利上げは見送られるという見方が強い。
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ECBは5月に利上げ幅を縮小しており、ユーロ圏のインフレ率も鈍化している。
景気悪化が顕著となっており、これ以上の利上げは得策でないと判断する可能性が高い。
FRBは6月の利上げを停止しても、7月以降は続けるという見方が強く、利上げの終わりが見えないが、FRBより後に利上げを開始したECBは先終了するのだろうか?
●ECBによる利上げのこれまで
ECBは、2022年7月にマイナス金利を解除し、同9月と10月の会合で、いずれも0.75%の大幅利上げを行い、その後は3会合連続0.5%の利上げを続けていた。
だが5月にはインフレの高止まりが顕著で、実質GDPの低下も見られ、0.25%に上げ幅を縮小した。
一方で、資産購入プログラム(APP)を7月に停止するなど、金融引き締めの方は強化して、バランスを取っている。
ラガルド総裁は5月の理事会後の記者会見で、「利上げは停止しない」と明言しており、追加利上げの姿勢を明確に示していた。
●利上げの停止は近いか?
インフレ率は高止まりしているが、まだユーロ圏のインフレ率は5%を超えており、決してインフレを克服したとは言えない。
だが6月に発表された第1四半期のユーロ圏域内生産(GDP)確報値は、前期比0.1%減少しており、ドイツの景気後退(0.3%減)が響いた。
物価高の継続がドイツ経済を下押ししているという見方がある。
ECBは欧州各国の思惑が入り混じっており、一枚岩にはなりにくい。だが物価高の継続という問題はどの国も共通しており、景気後退とのバランスを取ることが難しくなっていくだろう。
金融市場では利上げの終着点が下方修正されており、利上げが近く終了するという見方が強い。
輸入物価を下げるためにはユーロ高になった方がいいが、米国が利上げを続けるならば相対的にユーロ安にならざるを得ず、米国の出方も気になるところだろう。
ここから大幅な利上げには慎重にならざるを得ないが、小幅な利上げは当面続けざるを得ないかもしれない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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