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現在の株高はバブルと言えるのか
6月2日の日経平均株価は、終値で3万1,524円となり、バブル以降の最高値を更新した。5月末から複数回に渡り最高値を更新しており、この基調は続くと見られている。ではこの株高はバブル経済と同じく飽和した後、弾けてしまうのだろうか。
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バブルであったかどうかは過ぎてみないと分からないが、現時点では分析の切り口によって見方が変わるだろう。
ウィキペディアによると、バブル経済とは、「概ね不動産や株式をはじめとした時価資産価格が、投機によって経済成長以上のペースで高騰して実体経済から大幅にかけ離れ、それ以上は投機によっても支えきれなくなるまでの経済状態を指す」。
これによれば、実体経済も成長することで株高につながっているのであれば、バブルとは言えないことになる。経済を観察する方法は一般的に国内総生産(GDP)であり、他にも国内消費や貿易等、様々な観点があるが、ここではタイムリー性から企業業績を見てみることにする。
2022年度の上場銘柄の企業業績は、3月6日時点の野村證券の見通し発表では、前年度比16.7%増収、同6.5%営業増益、同8.2%経常増益となっていた。SMBC日興証券が3月10日に発表したレポートでも、経常利益は同9.7%増と同水準のものとなっている。
好調な企業業績は、現在の株高に貢献していると言えそうだ。更に、日銀の金融緩和継続や、インバウンド需要の回復、投資の神様と呼ばれる有名投資家のウォーレン・バフェット氏による日本株推し等もあり、株価には将来の期待も折り込まれていると考えられる。これだけを見れば株高はバブルとは言えない。
一方、株価を考える上で重要な点は、海外投資家の動向である。実際、2023年5月第4週における海外投資家の売買比率は69.5%となっており、短期的には最も株価に影響があると言える。
先進国で唯一金融緩和政策を続ける日本が、行き場をなくした世界マネーの受け皿となり消去法的に日本株が選ばれているだけという見方もある。もし海外投資家が一斉に日本から資金を引き上げれば、途端に株価は急落し、振り返ってみればバブルだったと言われる可能性もある。
今年度後半から景気後退に突入すると言われるアメリカに端を発する、世界同時不況のリスクもあり、現在膨らんでいる日本株の泡が膨らみ続ける可能性は高くないだろう。だが日本が安定的な政策を継続し、企業が好調を維持することができれば、株価は暴落せず維持されることが見込まれる。(記事:Paji・記事一覧を見る)
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