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先進的な?EV車と自動運転
●世界初のEV車専門拠点で
メルセデス・ベンツ日本と正規販売店契約を結ぶシュテルン世田谷は2022年12月6日、世界初のメルセデス EQ専売拠点「メルセデスEQ 横浜」を横浜市神奈川区にオープンした。メルセデス EQ つまりEV車専門の拠点である。
【こちらも】自動運転と車内エンタメ
これを紹介するTVで、デモカーに乗り込む報道関係者が、ボディと一体化して埋め込まれたドアハンドルをタッチし、ドアハンドルが飛び出して来て、車に乗り込んでのレポート開始で、こんな子供騙しみたいな装備については「未来的」とか言っている。
本来、ドアハンドルをボディに埋め込む(ヒドンドア・hidden doorと言う)理由は、「デザイン=見てくれ」だけだろう。
●意味のあったドアハンドルの改善
大昔、ボルボのドアハンドルがグリップの様な形状で、車体から飛び出しているだけで「全幅」が小型車枠の1,700mmを超過して3ナンバーとなり、当時の税制では極端に自動車税が高くなった。
当時の代理店である「帝人ボルボ」だったかが、メーカーにドアハンドルを車体幅に収める様に要望し、埋め込み式の「プルアップ式」に変更し、最終的にはこの形状の方が安全だと、世界展開した経緯がある。
このケースは、安全性能の向上と、ユーザーの声を反映しての負担軽減効果があった。
●ドアハンドルは先ず車外からドアを開けられること
ドアハンドルがボディから飛び出していることによる「空力」問題は、250km/h超の世界でも無い限り無視できるだろう。
少なくとも、アンダーフロアの空気の流れに対策する方が、余程「空力」の効果は上がる。それよりも、何等かの理由でドアハンドルが飛び出して来ないことの方が重大だ。
●テスラ火災の救助活動時
テスラもEV車御用達の、同じ様な「ヒドンドアハンドル」構造を採用しているが、こちらも発火事故を引き起こした際に、外部から救助を試みるのに機能しなかった。外部からドアを開くことが出来ず、ドライバーは車内から窓ガラスを蹴り破って脱出したが、車内で失神していたら、焼死は免れなかった。
ドアハンドルなんて部分は、万一の際に如何に外部からドアを開けられるかが最大の役目であり、「必要時にだけ顔を出すからカッコいい」みたいな、子供騙しに用いるものでは無い。
「EV車ユーザー=私は先進的で環境に配慮している=ドア開閉もヒドンハンドル式だ」なんて考える様な、「走っていても排気ガスを出さないから環境に優しい」と思い込むユーザーへの、受け狙いだろう。
●自動運転と車内エンタメ
最近ではEV車に関しては、「自動運転」と「車内でのエンタメ」が多く論議されている。
1月6日付の日経新聞に、『米ラスベガスで1月5日開幕するテクノロジー見本市「CES」でゲームなどの車内エンターティンメントを充実させたEV車の発表が相次ぎ、車が娯楽の空間に変わり、今後は「ソフト力」が競争軸になる』との記事が掲載された。
「自動運転」は、EV車に限らず、全ての自動車が目指す技術革新のテーマである。従って「車内でのエンタメ」とEV車だけを結び付けていることに、違和感を覚える。
「車内でのエンタメ」とは、運転者(車を操縦する者)が、運転業務から解放された際に、移動時間の「時間つぶし」に車内で何をするかという、単純なテーマでしか無い。
昔のリムジンの様に、運転操作は運転手に任せて後席で寛いでいる際には、眠ったり、書類に目を通したり、読書をしたり、同乗者と打ち合わせたりと、いろいろなことをして過ごしていた。
その際に、TVを見たり、DVDを見たり、ゲームをする様なジャンルを充実させるだけのテーマを、さもEV車の専売特許で、「EV車=先進技術=自動運転=エンタメソフトの充実」と「風が吹いたら桶屋が儲かる」みたいな論を展開している訳だ。
●自動運転のイメージ
西部劇で、街の酒場で酔いつぶれた仲間を、友達が、彼が乗って来た馬に乗せて尻を叩くと、馬は主人を乗せて勝手に持ち主の家に帰って行く場面がある。
自動運転なんて、酔いつぶれて寝ながら、馬に任せて自宅に帰るのと同じことだ。
ここでお断りしておくべきは、日本では「馬」は(道路交通法2条1項11号)では「軽車両」となる。従って、西部劇の様なシチュエーションは飲酒運転となるから、やってはいけない。
いずれにしても、「EV車」、「自動運転」と「車内でのエンタメ」は別のテーマだということは、忘れないで欲しい。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る)
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