ピックルスホールディングスは調整一巡、24年2月期増収増益予想

2023年4月25日 12:24

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 ピックルスホールディングス<2935>(東証プライム)は「ご飯がススムキムチ」シリーズを主力とする漬物・キムチ製品の最大手である。さらに野菜・発酵・健康の総合メーカーを目指してEC・外食・小売・農業領域への展開も推進している。23年2月期は減収減益(持株会社設立前のピックルスコーポレーションの22年2月期実績との単純比較)だった。収益認識会計基準適用、巣ごもり需要の反動減、インフレに伴う消費者の節約志向、光熱費・物流費の高騰などが影響した。24年2月期は拡販、製品価格見直し、生産性向上などを推進して増収増益予想としている。積極的な事業展開で収益回復基調だろう。株価は2月の高値圏から上値を切り下げる形だが、低PBRも評価材料であり、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。

■漬物製品の最大手で「ご飯がススムキムチ」ブランド力向上

 ピックルスコーポレーションが株式移転で設立した持株会社ピックルスホールディングスが22年9月1日付で東証プライム市場に上場した。漬物・キムチ製品の最大手である。独自の乳酸菌Pne-12(ピーネ12)(15年10月特許取得済)を使用した「ご飯がススムキムチ」シリーズや惣菜などを主力としている。さらに野菜・発酵・健康の総合メーカーを目指してEC・外食・小売・農業領域への展開も推進している。

 23年2月期の品目別売上構成比は製品66.6%(浅漬・キムチ40.1%、惣菜25.4%、ふる漬1.1%)および商品(漬物、調味料、その他)33.4%、販路別売上構成比は量販店・問屋等76.3%、コンビニ15.3%、外食・その他8.4%だった。セブン&アイ・ホールディングス<3382>など大手量販店・コンビニが主要取引先である。収益面の特性としては、個人消費動向のほか、天候不順などによる野菜(特に胡瓜と白菜)価格の影響を受ける傾向がある。

■成長戦略として新規事業も推進

 中期経営目標値としては、26年2月期売上高430億円(浅漬・キムチ170億58百万円、惣菜109億41百万円、ふる漬4億88百万円、商品145億12百万円)、売上総利益89億50百万円、売上総利益率20.8%、販管費71億50百万円、販管費比率16.6%、営業利益18億円、経常利益19億30百万円、親会社株主帰属当期純利益12億30百万円を掲げている。設備投資は24年2月期からの3年間で合計89億円を計画している。25年2月期には関東でキムチ専用工場、26年2月期には関西で工場新築を検討している。

 成長戦略として、製品開発の強化(キムチ製品、惣菜、ドライ商品、調味料)、販売エリアの拡大(特に西日本エリアでの販売拡大)、販売先の拡大(ドラッグストア、量販店、配食事業などの開拓)、新規事業(BtoC事業、農業事業など)を推進している。

 製品開発では、主力の「ご飯がススムキムチ」シリーズの新製品、成長分野である惣菜製品の開発に加えて、冷凍食品関連商品(冷凍ご飯がススムキムチ鍋など)、サツマイモ関連商品(あいすやきいもなど)、長期保存が可能なLL(ロングライフ)ガス置換(容器内を一度真空にして不活性ガスに置き換える方法)惣菜などの開発も推進する。

 販売エリアの拡大では全国ネットワークを活かした営業戦略を推進し、特に西日本エリアでの販売拡大に注力する。販売先の拡大では既存分野以外の売場への商品展開を推進する。

 新規事業では、BtoC領域の外食・小売事業に参入し、20年10月に運営子会社OHが、埼玉県飯能市に複合型観光施設として、発酵のテーマパーク「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」を開業した。日本の伝統的な食文化「発酵」を発信していく。EC販売については22年9月に「OH!!!」のサイトと統合し、施設紹介とEC機能を併せ持つ複合サイト「OH!!!オンラインストア」にリニューアルした。統合により、ブランドを横断した購入が可能になる。

 22年3月には子会社ピックルスファームを設立し、埼玉県内で農業事業を開始した。所沢工場向けの小松菜や「OH!!!」向けのさつまいもを生産する。野菜の生産に関わることで安全・安心な原料野菜を安定的に調達するとともに、農業を通じた雇用創出や地域活性化にも貢献することを目指す。

 SDGsへの取り組みとしては、太陽光発電の導入、LED電灯の100%導入、子ども食堂への支援、オリジナルエコマーク「ピックルスのECO」の導入などに加えて、野菜残さを餌としたウニの養殖研究にも取り組んでいる。また23年2月には健康経営宣言を策定し、健康経営を推進している。

■23年2月期減益、24年2月期は増収増益予想

 23年2月期の連結業績(22年9月1日に単独株式移転で設立した純粋持株会社が新規上場したため22年2月期実績はなし)は、売上高が410億52百万円、営業利益が15億38百万円、経常利益が16億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が11億38百万円だった。

 純粋持株会社設立前のピックルスコーポレーションの22年2月期連結業績(売上高450億06百万円、営業利益29億42百万円、経常利益30億68百万円、親会社株主帰属当期純利益21億28百万円)との単純比較で減収減益だった。配当はピックルスコーポレーションの22年2月期実績比2円増配の22円(期末一括、普通配当20円+持株会社移行記念配当2円)とした。配当性向は24.8%となる。

 売上面では、主力の「ご飯がススムキムチ」の20g増量キャンペーンなどを実施した効果があったものの、収益認識会計基準適用、巣ごもり需要の落ち着きによる反動減、インフレに伴う消費者の節約志向などが影響した。利益面では原料野菜価格が安定的に推移し、生産効率向上も推進したが、減収影響に加えて、調味料・包装材や光熱費・物流費の高騰などが影響した。収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が27億17百万円減少、売上原価が1億30百万円減少、販管費が26億05百万円減少、営業利益、経常利益、税金等調整前四半期純利益がそれぞれ12百万円減少している。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が105億17百万円で営業利益が6億72百万円、第2四半期は売上高が107億91百万円で営業利益が4億99百万円、第3四半期は売上高が98億98百万円で営業利益が2億36百万円、第4四半期は売上高が98億46百万円で営業利益が1億31百万円だった。

 24年2月期連結業績予想は、売上高が23年2月期比2.8%増の422億円、営業利益が5.3%増の16億20百万円、経常利益が6.3%増の17億55百万円、親会社株主帰属当期純利益が1.0%増の11億50百万円としている。配当予想は23年2月期と同額の22円(期末一括)としている。23年2月期の22円には持株会社移行記念配当2円が含まれているため、普通配当ベースでは2円増配の形となる。予想配当性向は24.1%である。

 拡販、製品価格見直し、生産性向上などを推進して増収増益予想としている。品目別の売上高は製品が2.0%増の279億05百万円(浅漬・キムチが1.6%増の167億46百万円、惣菜が2.6%増の106億79百万円、ふる漬が2.8%増の4億79百万円)で商品(漬物、調味料、その他)が4.4%増の142億94百万円、販路別の売上高は量販店・問屋等が2.8%増の321億88百万円、コンビニが3.0%増の64億95百万円、外食・その他が2.2%増の35億15百万円の計画としている。

 営業利益の要因別増減分析(予想)は、商品原価改善による売上総利益の増加5億37百万円、製品増収による売上総利益増加1億21百万円、商品増収による売上総利益増加1億13百万円、販管費減少10百万円、製品原価増による売上総利益減少▲7億01百万円としている。

 収益力向上に向けた取り組みとして、野菜調達の地域ごとの調達、不採算アイテムの見直しおよびアイテムの集約、カップから袋への容器見直し、生産の機械化・省人化、グループ内物流や事務処理の効率化、消費期限または賞味期限の延長に向けた製造技術の研究などを推進する。さらにESGやSDGsへの取り組みも強化し、事業を通じてサステナブルな社会の実現に貢献するとしている。積極的な事業展開で収益回復基調だろう。

■株主優待制度は毎年2月末の株主が対象

 株主優待制度(詳細は会社HP参照)は毎年2月28日時点の100株(1単元)以上保有株主を対象として商品詰め合わせセットなどを贈呈する。21年9月1日付株式2分割後も100株(1単元)以上を対象として実施しているため、実質的に株主優待制度の大幅拡充となっている。

■株価は調整一巡

 22年12月27日付で発表した自己株式取得(上限45万株・5億円、取得期間22年12月28日~23年11月30日)については、23年3月31日時点の累計取得株式総数が27万6100株となっている。

 株価は2月の高値圏から上値を切り下げる形だが、低PBRも評価材料であり、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。4月24日の終値は1103円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS91円40銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の22円で算出)は約2.0%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1362円11銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約142億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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