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世界のポリグロットから学ぶ、外国語学習で重要な8つのポイント パート2
外国語習得は長く険しい道のりで、多くの人は途中であきらめて放り出してしまう。それなのにポリグロットと呼ばれる語学の達人たちは、いくつもの外国語を次々に習得していく。
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彼らは特殊能力の持ち主でもなければ、特別恵まれた環境に育ったわけでもない。ただ、正しい努力を正しいタイミングで行うことで、1つ1つ着実に言語を習得しているのだ。
それならば彼らの経験をシェアさせていただこうと、前々回より彼らが語る語学学習のポイントについて紹介している。
多言語話者たちが異口同音に語る外国語学習のポイントは下記の8つに集約できる。
1. リラックスして楽しく学ぶ
2. 習得言語の発音表記を1から正確に覚える
3. 初期段階でリスニング洪水を浴びる
4. 頻出単語から習得する
5. 顔が筋肉痛になるまで練習する
6. 良き先生を見つける
7. 間隔反復で効率よく記憶する
8. しっかり間違えて正しく覚える
前回は1つ目の「リラックスして楽しく学ぶ」ことの重要性について、専門家の示す根拠などを元に詳しく解説した。これは外国語学習に成功するための大前提になるので、参考にしてもらいたい。
今回は2番目のポイント「習得言語の発音表記を1から正確に覚える」について説明していこう。
日本語には外国語を日本人に聞こえる音に直してカタカナで書き記す、外来語という便利な表記法がある。日本にはない物質や感情表現を即時に変換できて、大変便利だ。
外来語という簡易変換機を持つ日本人は、外国語を学習するとき、ついついカタカナに直して発音する癖がある。長年便利に使い続けてきたカタカナで覚えると、記憶に定着しやすいという良さもある。
しかし問題は、それが現地ではすでに通じない、日本にしかない音のカタマリになってしまっていることだ。
人間が単語の違いを聞き分けるのに必要な最小限の音の単位を、「音素」という。例えば「りんご」という言葉を音素に分けると「r/i/n/g/o」の5つに分けられる。このように、音素は大きく母音と子音に分けることができる。
日本語の大きな特徴としてあげられるのは、この音素が少ないことだ。日本語には母音が5、子音が12しかない。しかし英語には母音が15、子音が24あるという。研究者によって諸説あるが、各国語の母音と子音の数を比較すると下記のようになる
日本語: 母音5、子音12
英語: 母音15、子音24
フランス語: 母音19、子音17
中国語: 母音36、子音21
韓国語: 母音21、子音19
日本語の音素は、他の多くの言語に比べると圧倒的に少ない。ほとんどの言語と比較して半分以下、音素の多い中国語と比較すると3分の1以下しかないのだ。
外国語を音素が少ない日本語のカタカナ表記に変換したとたん、外国語の音素の半分以上が失われてしまうことになる。これでは通じなくなるのも無理はない。
多くの言語はアルファベットを発音記号として利用しているが、英語やローマ字の発音とは一致しないので注意が必要だ。
例えば、「U」は日本語では「う」でしかないが、多くの言語では多種類の「U」が存在する。英語の「u」は日本語の「う」に近い、口をすぼめて前に突き出して発音する。そして英語にはもう1つ「ʊ」という発音記号があり、唇をやや丸くして、唇と舌を緊張させずに軽く「ウ」と発音する。
中国語にも2つの「ウ」があり、「u」の発音記号は口をすぼめて前に突き出して発音する。もう1つ、頭の上に2つの点々がついた「ü」という発音記号では、「ユ」の口で「イ」と発音する。
フランス語の「u」は、舌を下の歯ぐきにつけて口をたてに開ける感じで「ユ」と発音するという。このようにアルファベットを発音表記として使う言語でも、言語によって、口の開き方や舌の位置、息の吐き出し方など細かなルールがあり、耳に届く音もバラバラなのだ。
発音に加えて日本人にとって再現が難しいのが、強弱やトーンだ。英語のアクセント、中国語の四声がこれにあたる。日本語には英語や中国語ほどはっきりとした強弱やトーンはないが、外国語ではこれもセットで1つの意味を表すのでとても重要だ。
もし発音、強弱、トーンがダブル・トリプルで不正確だと、推定能力の高い人でも正しく意味を聞き取ることは難しいだろう。
正確に発音できないと、リスニングの習得にも影響する。人は自分が発声できる言葉でなければ正確に聞き分けることができないからだ。結局、学習の最初の段階でその言語に特化した発音のルールを徹底的に学び、正しい発音をしっかりと覚えることが必要不可欠なのだ。
母語話者の音、口の形、息の出し方、舌の位置、アクセント、トーンなど正確に習得しよう。後々の学習の効率アップに確実につながってくる。(記事:薄井由・記事一覧を見る)
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