年間10万個も地球に降り注ぐ、太陽系外惑星由来微粒子に生命の痕跡? 東大の研究

2023年3月31日 15:55

印刷

太陽系外の惑星系から生命痕跡を含んだ微粒子が放出され、地球に到達するまでの概念図 Image credit: NASA/Don Davis (隕石衝突の想像図), NASA, ESA and G. Gilmore (University of Cambridge); Processing: Gladys Kober (NASA/Catholic University of America)(背景の宇宙画像)(画像: 東京大学の発表資料より)

太陽系外の惑星系から生命痕跡を含んだ微粒子が放出され、地球に到達するまでの概念図 Image credit: NASA/Don Davis (隕石衝突の想像図), NASA, ESA and G. Gilmore (University of Cambridge); Processing: Gladys Kober (NASA/Catholic University of America)(背景の宇宙画像)(画像: 東京大学の発表資料より)[写真拡大]

 従来宇宙での生命探索は、火星を代表とする太陽系内の星に探査機を送り込んで直接探査するか、巨大望遠鏡を用いて、太陽系外惑星観測で生命が居住しうる環境なのかどうかを探る間接的な探査以外に、方法はなかった。

【こちらも】探査機による火星での生命痕跡発見は困難 スペイン宇宙生物学センターらの研究

 東京大学は3月22日、宇宙から地球に降り注ぐ太陽系外惑星に由来する微粒子を直接観測することで、太陽系外惑星における生命の痕跡を直接確かめるという方法を発表した。

 これによれば、太陽系外惑星に由来する直径1ミクロン前後の微粒子は、地球に年間で約10万個も降り注いでいるという。そのような微粒子が地球に降り注ぐ原因は、隕石衝突にある。

 例えば約6600万年前に恐竜絶滅をもたらしたチクシュルーブ隕石の衝突で、地球由来の大小様々な粒子が宇宙空間の様々な方向に大量に放出された。このような粒子が、とてつもない年月の末に太陽系外のはるかかなたの宇宙に浮かぶ惑星にたどり着いている可能性がある。その逆の事象を人類が捉えようというのが今回のアイデアだ。

 宇宙空間で生命を生かしておくためには、最低でも1kg以上の岩石の塊である必要がある。だが生きたまま捉えるのではなく、生命の痕跡を捉えるだけならば、1ミクロン程度の微粒子でも十分に可能なのだ。

 また太陽系内に存在している1ミクロン程度の微粒子のほとんどは、太陽風の影響を受けて太陽系外の宇宙空間に放出される可能性が高い。逆に太陽系外の恒星が、太陽系外惑星由来の1ミクロン程度の微粒子を別の宇宙空間に拡散放出させる可能性も非常に高いわけだ。

 今回の研究で明らかにされたのは、太陽系外惑星由来微粒子が地球にどの程度やってきているのかという数値(年間10万個)だが、無数に飛来する微粒子の中からこの10万個をどのように識別分類するのかについては、まだ全く技術的なめどが立っていない。だがこれが可能になれば、太陽系外で生命が誕生した証拠を直接捉えることができるため、その意義は計り知れない。

 研究の成果は、英国の雑誌「International Journal of Astrobiology」に掲載されている。(記事:cedar3・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事