キノコの菌糸ネットワーク使い植物間でシグナル伝達か 京大らの研究

2023年3月30日 16:06

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オオキツネタケのキノコに設置された電極(画像: 京都大学の報道発表資料より)

オオキツネタケのキノコに設置された電極(画像: 京都大学の報道発表資料より)[写真拡大]

 京都大学や東北大学などの研究グループは27日、キノコが張り巡らせた菌糸のネットワークにおいて、我々の神経細胞と同じように、方向性をもって電気シグナルの伝達がおこなわれている可能性があることを、野生のキノコで初めて確認したと発表した。植物間において、地下のキノコの菌糸ネットワークを介して電気シグナルを伝達している可能性があるという。

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■植物間のコミュニケーション

 植物はさまざまな手段を使ってコミュニケーションしている。例えば害虫の被害を受けると、特殊な香り物質を放出する。すると、この香り物質を受け取った周囲の植物は、害虫に対する防御の準備をすることが知られている。

 キノコの菌糸ネットワークは、このような植物間のコミュニケーションの手段の1つとして、現在注目を集めているが、これまで科学的なデータは少なかった。

 なおキノコの菌糸とは、細胞が細く糸状に連なったキノコの部位で、キノコ間での複雑なネットワークを形成。植物における根のような役割を果たしている。

■キノコの菌糸ネットワークで電気シグナルを伝達

 研究グループは、森林に生えているキノコ(オオキツネタケ)6個に電極を設置し、電位の変動を測定。すると、はじめは電位の変動はほとんどみられなかったが、雨が降り始めると、やがて活発な電位の変動がみられるようになったという。

 そこで研究グループは、降雨後の電位変動のデータを詳しく解析したところ、キノコ間の電位変動のパターンに、統計的に有意な因果関係があることが確認された。

 しかもこの電位の変動の伝播には方向性があることが示唆された。例えば、キノコAの電位の変動はキノコBに即座に伝わるが、キノコBの電位の変動がキノコAに伝わるのには数秒を要したという。

 今回、研究の対象となったオオキツネタケなどの菌根菌は、植物の根に菌糸を侵入させ、栄養をやり取りするなど植物と共生している。研究グループによれば、植物間で、菌根菌の菌糸ネットワークを介して電気シグナルを伝達している可能性があるという。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る

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