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旧国営企業における2023年春闘の結果を考察
2023年の春闘は、岸田首相の年頭会見における「インフレ率以上の賃上げ」要請もあり、大手企業を中心に満額回答が相次いだ。日本労働組合総連合会(連合)の発表では、賃上げ率は3.76%で、比較可能な2013年以降最大の伸び率を示した。
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この結果は労働組合の活動の結果も大きいだろう。中には労働組合の要求を上回る回答をした企業もある一方で、賃上げは業種や企業によってばらつきがある。ここでは、組合の力が強いと言われる旧国営企業で、2023年春闘の結果を見てみる。
国営企業が民営化されたケースは多々あるが、1980年まで存在した「三公社五現業」と呼ばれた政府系8事業の中から、日本たばこ産業(JT)、日本郵政グループ、NTTグループを取り上げる。
まずJTについて、今回の春闘では「全組合員に15万円の一時金支給」を勝ち取っている。月あたりでは12,500円アップとなるため、組合の勝利と言っても良いだろう。JTの業績を見ると、2022年12月の連結決算では当期利益が4,427億円と前期比30.8%増で、2020年から好業績を維持していることもあり、それが春闘の結果にも反映された。
次に日本郵政グループは、ベア4,800円と一時金7万円を獲得している。ベアは民営化以降最大で、定期昇給も含めた賃金改善率は5.11%であり、こちらも政府の示した「インフレ率以上の値上げ」を達成している。
日本郵政グループの2022年4月1日から12年12月31日までの第3四半期の決算を見ると、経常利益は5,336億円で前年同四半期比で31.3%減少している。経営状況が苦しい中で、社員の労働条件改善を会社側も重視した結果となっている。
最後にNTTグループであるが、こちらは労働組合の惨敗に終わっている。春闘の結果は月額3,300円の賃上げで、一時金の10万円要求は実現しなかった。「10年連続増額」や、「満額回答」とNTT労働組合は成果をアピールしているが、1%程度の賃上げしか獲得できなかったのは、他の大手と比較しても惨憺たるものだろう。
NTTの2022年3月期業績は、営業収益、営業利益共に過去最高を更新しており、営業利益は1.76兆円と前期比5.8%増加している。
NTTグループは業績が好調であるにも関わらず、今回の春闘では社員還元が十分ではないという結果だが、労働組合の当初要求の水準や戦略に問題があったとも言われている。賃上げ交渉は、業績だけでなく、経営者の方針や労働組合の戦略といったことで差が出るものとなった。(記事:Paji・記事一覧を見る)
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