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ブラックホールが暗黒エネルギーの源である証拠を初観測 ハワイ大ら
超大質量ブラックホールのイメージ図 (c) UH Mānoa[写真拡大]
宇宙はビッグバン以降、膨張を続けている。しかも膨張は時間の経過に連れて加速している。だが、膨張に加速が加わっているという観測事実は、単純にその理由が説明できない。そこで科学者らは暗黒エネルギーなる概念を提唱し、それが宇宙の膨張を加速させている源であると説明するようになった。
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暗黒エネルギーの本質はまだ何も観測された事例はなく、存在は確実にしろ、それが何であるのかはいまだに不明なのだ。ところが計算によると、暗黒エネルギーの量は宇宙全体の質量の約68%を占めるという具体的な数字まで明示されている。
ハワイ大学の研究者らを中心とする9か国17名の国際研究チームは、この暗黒エネルギーがブラックホールに由来するという、初の観測的証拠を発見したと発表。その研究成果は、「The Astrophysical Journal」と「The Astrophysical Journal Letters」に掲載されている。
研究によれば、巨大楕円銀河は誕生後しばらくの間、恒星の誕生が続くが、やがて恒星の誕生が途絶えて休眠状態になる。巨大楕円銀河の中心には超巨大ブラックホールが存在するが、休眠状態となった銀河では中心ブラックホールの成長は期待できない。
研究グループは、90億年前に休眠状態になった楕円銀河と、66億年前に休眠状態になった楕円銀河で、中心ブラックホールの質量を比較。前者と比べ後者の質量は7から20倍に膨れ上がっており、この規模は銀河同士の合体などでは到底説明がつかないものだという。
また72億年前に休眠状態になった楕円銀河のデータを見ても、前述と同様の中心ブラックホール質量傾向が見られたという。
超巨大ブラックホールの成長は、銀河同士の合体が主ではなく、銀河成長時間が最重要なのだ。しかも宇宙の大きさとブラックホールの質量は比例関係にあることも突き止められた。
これはブラックホールが特異点を持たず、成長過程で内部に暗黒エネルギーを蓄積していることを示す証拠だと研究者らは主張する。
ブラックホールが成長すれば、宇宙空間はそこに吸い込まれ、宇宙はどんどん収縮していくと思われがちだが、ブラックホール内部ではそれとはまったく異なる成長メカニズムが働いているらしい。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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