BeeX、3Q累計は増収増益で着地 クラウドライセンスの大幅な伸びと円安で業績予想を上方修正

2023年1月25日 08:26

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記事提供元:ログミーファイナンス

BeeX、3Q累計は増収増益で着地 クラウドライセンスの大幅な伸びと円安で業績予想を上方修正

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2023年2月期第3四半期決算説明

広木太氏:みなさま、こんにちは。株式会社BeeX代表の広木でございます。本日は2023年2月期第3四半期の決算についてご説明します。少しでも弊社のことを知っていただければと思っていますので、よろしくお願いいたします。

本日お話ししたい内容は、我々の事業概要、直近のトピックス、第3四半期の決算概要、通期の業績予想、最後に成長戦略についてです。

会社概要

弊社について簡単にご紹介します。弊社は2016年3月に創業し、事業としてはクラウド関連のシステム構築を行っています。クラウドというテクノロジーに特化した専業業者として活動しており、この「クラウドに特化している」という点が、1つ目の特徴になります。

BeeXのマルチクラウド対応力

クラウドと言っても、いろいろな製品やサービスがありますが、この中で我々が何に取り組んでいるのかについて、簡単にご説明します。

クラウド事業の中で、日本でも世界でもトップシェアを誇り、高い成長力を持っているベンダーが3つあります。Amazonの「AWS」、Microsoftの「Azure」、Googleの「Google Cloud」です。この3つが世界的にもデファクトスタンダードになっています。弊社の2つ目の特徴は、我々はこれらを3つとも提供しているという点です。

昨今、マルチクラウドという言葉がありますが、マルチクラウドとは、1つのクラウドサービスだけではなく、複数のクラウドを使い分けたり組み合わせたりして使っていくことで、マルチクラウドを取り入れる企業が増えています。

我々はこのようなクラウドの活用を進めているお客さまに対して、さまざまなクラウドを提供できるように、「AWS」「Azure」「Google Cloud」の3つを提供しているのが2つ目の特徴です。

3つ目の特徴は、スライドにも記載しているSAPです。IT業界に馴染みのない方にはSAPという会社をあまりご存じない方も多いかと思いますが、ERPと呼ばれる、会計や受発注を含めたロジスティクス、工場の生産管理、人事管理といった企業のすべての管理を行う基幹システムの、世界的かつ圧倒的なリーダーがドイツのパッケージベンダーであるSAPです。

SAPという基幹システムは、日本の大企業の多くが活用しているものです。大企業を中心としたエンタープライズの、重要な基幹システムの構築や運用を行い、さらに最新テクノロジーであるクラウドを組み合わせている点が、我々の非常に大きな強みとなっています。

事業内容

今お話しした3つのクラウドとSAPを組み合わせて、具体的にどのような事業を行っているのかについて、ご説明します。大きく3つあります。

1つ目がスライド左側のクラウドインテグレーション、つまりクラウドに特化したシステムの構築です。クラウドを初めて導入されるお客さまに向けて、クラウドの標準化のコンサルティングや効果測定、実際のクラウドの導入作業、あるいはその上のアプリケーションの開発などといったシステム構築を、日進月歩で新しくなるクラウドテクノロジーに特化し提供しています。

2つ目は中央のクラウドライセンスリセールで、ライセンスの販売です。ライセンスの販売というと、例えば1,000万円のパッケージなど、大きな額での販売をイメージされる方も多いかと思いますが、クラウドのライセンスリセールは、電気代や電話代に近い、契約すると毎月の利用料に応じて請求していくかたちです。

したがって一過性のビジネスではなく、一度契約すると、そのお客さまから継続して、ご利用に応じた売上が伸びていくのが、クラウドライセンスリセールです。

3つ目は右側のマネージドサービスプロバイダー(MSP)で、運用保守です。先ほどお話ししたクラウドインテグレーション、実際にはSAPのシステム構築を行った後に、24時間365日の監視や障害対応を行います。あるいは、クラウドは日進月歩でどんどん進んでいくため、新機能の導入を運用保守というかたちで提供しています。

さらにこの3つの事業を2種類に大別すると、クラウドインテグレーションがシステムを構築しその対価をいただくフロー型で、ライセンスリセールとマネージドサービスプロバイダーが、毎月利用料あるいは運用保守費を頂戴するストック型のビジネスになっています。

我々はこのフロー型とストック型の両方を組み合わせて事業を行っています。ストック型事業で安定的に売上を確保した上で、クラウドインテグレーションに向けて新しいチャレンジを行うという特徴的なビジネスモデルが、我々の強みです。

ライセンスリセール/MSP新サービス提供開始

直近のトピックスについていくつかご紹介します。1つ目は、マルチクラウドのライセンスリセールとMSPの新サービスの提供開始です。先ほどお話ししたストックサービスにおける新たなサービスとなります。

クラウドを活用することで、コストの削減や最適化につながる側面が非常に多いため、クラウド化を進めているお客さまが増えています。それに加えて、円安やコスト高が進む中、クラウドを使うにあたってのコストを削減したい、最適化したいというお客さまのニーズも増えています。

このようなニーズに対応するために、費用をディスカウントしてご提供するサービスを開始しました。お客さまのニーズに応えるため、競争力のある「AWS」「Azure」「GoogleCloud」の3つともに新しいプランを作り、サービスの提供を行っています。これによってストックのビジネスを伸ばしていきます。

さらに、クラウドを入れたままにするのではなく、コストを抑えつつもいかに安心かつ安全に使っていただくかが大事であるため、MSPにおいても、機械化や自動化を進めコストを最適化した新しいメニューを出しています。

本年度はストック型のビジネスを伸ばしたり、企業のクラウドにかけるコストを最適化したりするためのソリューションの提供を開始しており、新しいビジネスが創出されています。

優秀なIT人材の採用を加速化するための施策を導入

2つ目のトピックスをご紹介します。人材に対する施策です。我々の業界で非常に重要なのは、優秀な人材の確保と育成です。特に日進月歩のクラウドテクノロジーを、どのようにキャッチアップし成長していくのかが大事で、その1つとしてクラウド事業者が出している資格取得の推進を行っています。

以前から、これらの資格を取得した社員に対して、報奨金というかたちで一時金を支払っていました。ただし、新たに採用した方については、資格を持っていてもその報奨金がもらえないことが従来の課題となっていました。

そこで、これから採用する方のうち、すでに資格を持っている方にも資格奨励金を支払うことを決定しました。例えば入社前にすでに3つの資格を持っていれば、入社した際には3つの資格分の報奨金を支払います。

このような施策に取り組むことで、市場にいる優秀な人材の確保を推進していきたいと考えています。

KPIハイライト

第3四半期の決算についてご説明します。まずは、KPIについてです。第3四半期の累計売上高は前年同期比32.9パーセント増の41億3,200万円、営業利益は前年同期比69.6パーセント増の3億円となっています。

その他のKPIについても、スライドに記載のとおり非常に順調に推移しており、前年同期から大きく成長しているというところを強調させていただきます。

業績サマリ 前年同期比較

こちらのスライドは、先ほどご紹介した業績サマリの前年同期との比較を可視化したものです。グラフのとおり、売上高、売上総利益、営業利益、経常利益はともに大きく成長しています。強くお伝えしたいのが、今期は大変順調に推移し、大きく成長している点です。

サービス別売上高

各サービスの業績の内訳をご紹介します。まずはサービス別の売上高です。ご覧のとおり、特に売上高が大きいのはライセンスリセールで、グラフの一番下のグレーの部分となります。そして、中間の青い部分がMSP、一番上がクラウドインテグレーションを示しています。

いわゆるストック型のビジネスであるライセンスリセールは、毎月、定期的にお金をいただきますが、この部分が大きく成長したことが、売上を大幅に伸ばす要因になっています。

クラウドライセンス売上の推移

クラウドライセンス売上の推移です。ご覧のように、昨年度から毎四半期ごとに大きく成長し続けています。また、今年度についても第1四半期、第2四半期、第3四半期と大きく伸びていることが見て取れます。

クラウドライセンスビジネスアカウント数推移

こちらのスライドは、クラウドライセンスのビジネスアカウント数の推移を示したグラフです。ビジネスアカウント数というのがわかりづらいかもしれませんが、お客さまの数ではなく、「AWS」「Microsoft Azure」「Google Cloud」の契約数のことです。

この数が大きくなっているのが第3四半期で、非常に多くのお客さまを獲得することができました。このような新しいお客さまの獲得によって、第4四半期においても売上を伸ばしていくことができると考えています。

マネージドサービスプロバイダー売上、ユーザー数の推移

続いては、ライセンスリセールと同じストック型のビジネスである、マネージドサービスプロバイダーの売上高と契約ユーザー数の推移についてです。

こちらも昨年度と比較すると売上高とユーザー数が増えてきているため、今後も安定的に売上を伸ばせると考えています。

クラウドインテグレーションビジネス推移

クラウドインテグレーションについてです。スライドのグラフは、プロジェクト数の推移を示しています。こちらの売上高はプロジェクトの数とその単価によって算出するため、その数だけでいろいろと判断できるものではありませんが、目安として、非常に多くのビジネスを行っていることは見て取れるかと思います。

ご覧のとおり、昨年度と比べても今年度は多くのプロジェクトを行っており、クラウドインテグレーションに関しても非常に順調に拡大しているといえます。

貸借対照表の推移 ~健全な財務基盤~

貸借対照表です。こちらも昨年度と比較して、非常に健全な成長を続けていることが伝わるかと思います。

2023年2月期 業績予想の修正

2023年2月期の業績予想についてご説明します。第3四半期までの非常に好調な売上高・利益を受けて、上方修正を行いました。

売上高は、特にクラウドライセンスリセールの大きな進展があったため、当初予想と比べて4億2,500万円増、増減率でいうと8.1パーセントの上方修正を行っています。

その他にも、当初予想と比べて営業利益は5,600万円増、増減率でいうと19.9パーセント増、経常利益は5,600万円増、同20.4パーセント増、純利益は4,300万円増、同22.9パーセント増というように、非常に好調な結果になると予想しています。

修正の理由

特にクラウドライセンスリセールの売上高が全体を牽引したことが、上方修正の大きな理由です。クラウドライセンスリセールでは、先ほどもお話ししたように、新しい契約が取れた結果、アカウント数が非常に伸びています。また、既存のお客さまも伸びているという点もポイントです。

さらに、もう1つの理由としては為替の影響があります。円安によって、売上高が大幅に伸びています。

2023年2月期 業績予想(修正後)

以上の修正を踏まえ、過去からの推移を表したものがスライドに記載のグラフです。左側の売上高は前期比30.2パーセント増、右側の経常利益は前期比29.2パーセント増となっており、大きく成長できていることが見て取れます。

2023年2月期 業績予想(修正後) 進捗状況

修正を踏まえた第3四半期までの進捗状況です。ご覧のとおり、修正後の予想に対しても非常に高い進捗率となっています。

SAPシステムのクラウド化・S/4HANA化支援

弊社の成長戦略を3つご説明します。1つ目は基幹システムのクラウド化/モダナイズ化です。先ほどお話ししたとおり、SAPが弊社の事業の柱になっています。

ご存じの方もいるかもしれませんが、このSAPという製品は日本の数多くの企業で導入されており、現行で一番使われている「SAP ERP6.0」または「SAP Business Suite」と呼ばれているバージョンは、標準サポートが2027年に、有償の延長サポートが2030年に終了することがすでにアナウンスされています。多くの日本企業はSAP社の提供する製品を使っているため、この対応が必要になっています。

2027年、2030年というと少し先のようにも感じますが、SAP自体を新しいバージョンに上げるのには、最低1年、場合によっては3年から4年と長い時間がかかります。そのため、今から始めても早すぎることはないということで、いろいろなお客さまがチャレンジしています。

「S/4 HANA」化、それに併せたクラウド化が、継続して大きなビジネスとなっています。今後、当社はSAPにしっかりと注力し、伸ばしていきたいと考えています。

お客様の基幹システムクラウド移行支援

SAPシステムをクラウド化、モダナイズ化すると、当然ながらさまざまな企業のシステムのクラウド化も推進されていきます。特に最近では、サステナブルという点でクラウド化を進めたほうがCO2削減が図れると言われています。

また、クラウドベンダーによってはCO2の使用量を可視化するサービスも提供しており、今後は「サステナブル・マイグレーション」という、継続性のためにクラウド化を図っていくことも非常に重要になってきます。

そのような部分で、SAPのコアとなる企業の部分のクラウド化、その他すべてのシステムのクラウド化を我々は継続して推進していきたいと考えています。

DXを実現するプラットフォーム構築提供

2点目の成長戦略は、デジタルトランスフォーメーションです。デジタルトランスフォーメーションは非常に便利な言葉ですので、何につけても「DX」と言われていますが、我々が非常に重要だと考えている部分が2つあります。1つは、今まで人間が勘で行っていた事業運営や判断を、データ駆動型でデータに基づいて行うことです。

DXの根幹、ファーストステップとして、企業の体質をデータドリブンに変えていくことが大事だと言われており、我々もそれが非常に重要であると考えています。

先ほどからお伝えしているように、我々はSAP社が提供する企業の基幹システムのクラウド化を行っていますが、このシステムには企業にとって非常に重要なデータが集まっています。

我々は「これをいかに解析できるようにするか」や「どのようにしてSAPのデータだけではなく、企業の生産現場や工場のデータ、マーケティングデータを集め、新たな発見を得るのか」といった、新しいデータの集約/分析が可能なプラットフォーム作りを強みにしており、現在非常に強い引き合いをいただいています。

「データドリブンに変えていく」というところは、企業のDX化でどの企業も行っていかなければならない非常に重要なポイントになっています。そのため、まずはこの部分にフォーカスし強化していきます。

もう1つは、モダンアプリケーションの開発です。いわゆるデジタルトランスフォーメーションのためのさまざまなアプリケーション開発、およびシステム作りです。ここは、従来型のSAPのシステムのように、何年もかけて作るというよりは、どんどん新しくリリースし改善していくことが大事です。

DXを実現する上では、スマホのアプリケーションのように新しい機能がどんどんと追加されていくかたちであることが重要になっています。そのためには、これまでのアプリケーションの作り方ではない新しい開発方法が必要です。

我々はクラウドテクノロジーに早くから特化しているため、テクノロジーや進め方に対するアドバンテージを持っています。このような新しいアプリケーション開発も、DX実現の取り組みとして推進していきたいと考えています。

SAPサラウンドソリューション

お話ししたように、我々が注力し得意としているのはSAPシステムのクラウド化に伴うデータ活用の推進です。

解析するためのツールは千差万別で、どのように解析したいのかも企業によって違います。いわゆる「データの民主化」と言われる、いろいろな人たちが解析しやすくするための取り組みについて、非常に多くの引き合いをいただいています。

マルチクラウド対応マネージドサービス

3つ目の成長戦略はライセンスリセールとMSPについてです。先ほどお伝えしたように、ライセンスリセールに関しては、コスト効果や投資効果が高い、新しいメニューをリリースします。こちらは継続して新たなメニューをリリースしたり、コストを可視化したりすることに取り組みます。

最近は「FinOps(フィンオプス)」という言い方をしますが、「今はどのように使われていて、どうすればコストを削減できるのか」ということがわかる、我々独自のツールを新たに開発し、提供しています。その部分をさらにブラッシュアップし、提供することが大事です。

また「運用」の部分では、安心・安全に使っていただくという点において、セキュリティが非常に大事です。クラウドで怖いのは、人間が設定ミスを行うと、そこに脆弱性、セキュリティの穴が発生してしまうことです。

したがって、我々はしっかりと導入するだけではなく、導入後も定期的に問題がないかを確認するセキュリティサービスに注力し、順次リリースしています。このあたりのサービスの提供をさらに行うことにより、ストックビジネスの強化を図りたいと考えています。

これまでお話ししてきた、基幹システムのクラウド化/モダナイズ化と「S/4 HANA」化の対応、デジタルトランスフォーメーションの支援、ストックビジネスの強化の3つが、今後、我々としてさらなる成長ができる分野だと考えています。

広木氏よりご挨拶

先ほど「デジタルトランスフォーメーション」というキーワードを出しましたが、今までと違うのは、データドリブンに変えていくところと、新しいシステムを作っていくところです。

これまでの何年もかけたシステムの作り方ではなく、どんどんブラッシュアップし、ユーザーと我々が共に創る「共創型」で行っていく、内製化をどう支援していくかが非常に重要だと言われています。我々は、このようなクラウドテクノロジーのスペシャリストとして、「共創」を今後もより強化し、推進していきたいと思います。

そのために、新しいエコシステム作りが重要だと考えています。投資家のみなさまの力も借りながら、より強力なエコシステムを作り、企業の改善、改革を進めていきたいと考えています。

本日のご説明は以上です。今後ともBeeXにご期待いただくとともに、ご支援いただければと考えています。本日はどうもありがとうございました。

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