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コロナ破綻の増加と政府の新たな総合経済対策 その効果と課題は?
東京商工リサーチは1月6日、『コロナ破たん、100件以上は15都道府県に 全国の累計は5147件に』と発表した新型コロナウイルスの影響による倒産件数は2022年に増勢を強め、業種では飲食業が最も多く、次いで飲食卸、宿泊業と続く。
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倒産の原因は、コロナにより客足が遠のくことが長期に渡っており、業績回復が図れていないことが大きい。但し、全業種を見渡せば原因はコロナだけではない。ロシアがウクライナに進攻したことによる燃料費の高騰や、2022年の記録的な円安による輸入品の価格高騰等がコストに大きく影響を与えた。日本では最終価格への転嫁が進みにくいことが継続的な収益悪化につながり、破たんを招いている。
だが本格的な倒産の増加はこれからとなるだろう。理由の1つは、「ゼロゼロ融資」の終了である。この支援策の終了は、融資を受けた中止企業の資金繰りにダメージを与えるため、破たんが増えることが予想される。
「ゼロゼロ融資」とは、コロナウイルスによる需要喪失で打撃を受けた企業に対し、無利子・無担保で融資をする政府の支援策である。利子もゼロ、担保もゼロであることから「ゼロゼロ融資」と呼ばれる。最長で5年間は元本の返済が免除されるが、2023年からその返済が求められる企業が増加するため、倒産件数も増加すると見られている。
例えば、政府系金融機関の日本政策金融公庫による「新型コロナウイルス感染症関連の融資」は、2021年3月末時点で80万件を超え、金額も13.8兆となっている(日本政策金融公庫融資実績より)。
この支援により、一部の企業は破産や廃業を免れ、セーフティーネットの役割を果たしことは事実だろう。一方で、日本経済にとってはこの制度は諸刃の剣でもある。それは、本来市場から退場しなければならない、いわゆる「ゾンビ企業」を存続させてしまったことである。
ゾンビ企業は、実質的に経営が破たんしているにも関わらず、政府等の支援だけで生き残っている企業を指す。復活できずに焦げ付いた融資の穴埋めに税金が使われることだけでも大問題だが、ゾンビ企業が多数存在することは経済の新陳代謝を阻害する構造的問題である。
ここで言う新陳代謝とは、競争力のない企業が市場から去り、より収益率の高い企業が参入することや、全く新しい領域のビジネスが生まれるような市場メカニズムを指す。ベンチャー企業の成長はその最たる例である。
日本ではこの新陳代謝が進んでいないと言われる。起業家がそもそも少なく、ベンチャーキャピタルも多くはないため、ベンチャー企業が生まれにくい環境は1つの理由である。また、先のゼロゼロ融資のような政府の支援の在り方も原因の1つである。
中長期的に見れば、経済の発展につながる新陳代謝が進むことが望ましい。しかし、岸田政権の掲げる日本経済再生の政策が効果的であるかは疑わしい。直接的には第三の柱である『「新しい資本主義」の加速』が関連する。(出典:首相官邸 HP)
この中で重点投資分野として「働き手のスキルアップ」が示されている。だが実際問題として労働者が生活のための収入と時間を確保しながら、未経験のビジネスやスキルの学びなおしを進めることが具体的にイメージできるだろうか。
政府には、中身をろくに決めないまま施策に財源を付けるのではなく、人材の高度化、それによる企業の生産性向上につなげる詳細な政策を示すことが期待される。成長分野として定める「DX」1つとっても、その適用範囲は広く、何をどこまでやるかは分かりにくい。
労働者が高度なスキルの獲得=リスキリングを安心して進められるような、個人レベルでの支援制度も必要になるだろう。(記事:Paji・記事一覧を見る)
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