エスプールは23年11月期2桁増益予想

2023年1月13日 11:44

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

(決算速報)  エスプール<2471>(東証プライム)は1月12日の取引時間終了後に22年11月期連結業績を発表した。人材ソリューション事業がスポット業務縮小などの影響を受けたため全体として計画を下回ったが、新規事業も含めたビジネスソリューション事業が牽引して2桁営業・経常増益で着地した。23年11月期は引き続きビジネスソリューション事業が牽引して2桁増益予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調に変化はないだろう。なお、同社の障がい者雇用支援農園サービスに関する否定的な一部報道に対して、1月11日付で「関係機関とも密に連携を取りながら法令順守の元、障がい者の「雇用の安定」と「キャリアアップ」が実現できる環境の構築に取り組み、当該事業の発展に努力する所存」という趣旨のコメントをリリースしている。株価は一部報道を嫌気して急落し、昨年来安値を更新したが、売り一巡感を強めている。好業績を評価して出直りを期待したい。

■22年11月期2桁営業・経常増益で着地、23年11月期2桁増益予想

 22年11月期の連結業績(収益認識会計基準適用だが損益への影響なし)は、売上高が21年11月期比7.2%増の266億50百万円、営業利益が15.9%増の30億91百万円、経常利益が16.7%増の31億18百万円、親会社株主帰属当期純利益が3.8%減の18億09百万円だった。配当は21年11月期比2円増配の8円(期末一括)とした。

 人材ソリューション事業がスポット業務縮小などの影響を受けたため全体として計画(売上高287億70百万円、営業利益32億円、経常利益31億76百万円、親会社株主帰属当期純利益21億33百万円)を下回ったが、新規事業も含めたビジネスソリューション事業が牽引して2桁営業・経常増益で着地した。全体の売上総利益率は2.7ポイント上昇した。親会社株主帰属当期純利益は特別損失(投資有価証券評価損1億93百万円)を計上したため小幅減益だった。

 ビジネスソリューション事業は売上高が32.6%増の102億02百万円で、営業利益(全社費用等調整前)が37.7%増の29億21百万円だった。

 障がい者雇用支援サービスの売上高は25.9%増の57億62百万円(内訳は運営管理費が38.3%増の30億07百万円、設備販売が13.5%増の21億62百万円、人材紹介料が19.4%増の5億92百万円)だった。ESG経営の高まりなどを背景として好調に推移した。新規開設農園は7施設、設備販売は1316区画(計画は1250区画)で、期末時点の農園数は37施設、顧客数は512社、管理区画数は6211区画、就業者数は3105名、定着率は92%となった。

 ロジスティクスアウトソーシングサービスの売上高は6.1%増の13億38百万円(内訳はEC通販発送代行が6.0%増の12億14百万円、物流センター運営が6.0%増の1億23百万円)だった。低採算案件の整理など事業基盤再構築に取り組み、顧客の入れ替えを進めながらも増収を確保した。採用支援サービスOMUSUBIの売上高は5.0%減の5億86百万円だった。通期ベースではコロナ禍影響のため減収だが、行動制限緩和に伴って求人数は回復傾向となっている。

 新規事業の広域行政BPOサービスの売上高は9億09百万円、環境経営支援サービス(ブルードットグリーン)の売上高は7億18百万円だった。広域行政BPOサービスは新規に8センターを開設し、事業開始から1.5年で11センターまで拡大した。環境経営支援サービスは環境情報開示の重要性の高まりを背景に、コンサルティング業務が急拡大している。またTCFD開示支援業務についても初年度50社超の受注を達成した。

 人材ソリューション事業は売上高が3.8%減の165億77百万円で、営業利益が12.7%減の16億69百万円だった。計画を下回り、12期ぶりの減収となった。主力のコールセンター業務の売上高は0.3%減の144億57百万円だった。新型コロナ感染対策関連のスポット案件の縮小、新規案件獲得の遅れなどにより、下期に売上が急減速した。販売支援の売上高は携帯販売業務の回復遅れで25.7%減の12億40百万円だった。

 四半期別に見ると、第1四半期売上高が65億20百万円で営業利益が6億71百万円、第2四半期は売上高が71億45百万円で営業利益が8億94百万円、第3四半期は売上高が63億54百万円で営業利益が7億09百万円、第4四半期は売上高が66億31百万円で営業利益が8億17百万円だった。なお第2四半期は売上高、営業利益とも過去最高だった。

 23年11月期の連結業績予想は売上高が22年11月期比6.1%増の282億88百万円、営業利益が17.1%増の36億20百万円、経常利益が15.3%増の35億96百万円、親会社株主帰属当期純利益が34.2%増の24億27百万円としている。売上高は11期連続、営業利益は8期連続で過去最高更新を目指す。親会社株主帰属当期純利益については特別損失一巡も寄与する。配当予想は22年11月期比2円増配の10円(期末一括)としている。連続増配予想である。

 ビジネスソリューション事業の計画は、売上高が26.5%増の129億08百万円、営業利益(全社費用等調整前)が24.4%増の36億35百万円としている。売上高の内訳は、障がい者雇用支援サービスが19.7%増の69億円(運営管理費が35.0%増の40億58百万円、設備販売が8.0%増の23億36百万円、人材紹介料が14.6%減の5億06百万円)で、ロジスティクスアウトソーシングサービスが10.2%増の14億75百万円、採用支援サービス「OMUSUBI」が8.4%増の6億35百万円、広域行政BPOサービスが2.1倍の19億円、環境経営支援サービスが25.2%増の9億円としている。

 障がい者雇用支援サービスは新規開設が9農園(屋外5、屋内4)で、設備販売は1440区画(第1四半期100~150区画、第2四半期510~560区画、第3四半期240~290区画、第4四半期490~540区画)の計画としている。法令順守の元、障がい者の「雇用の安定」と「キャリアアップ」が実現できる環境の構築に取り組む。ロジスティクスアウトソーシングサービスは事業拡大に向けて千葉県流山市に新センターを開設し、守りから攻めへの転換を推進する。採用支援サービス「OMUSUBI」は経済活動正常化とともに売上回復を見込み、AIによる自動応募受付サービスなど、センターの生産性改善も進展する見込みとしている。広域行政BPOサービスはBPOセンターの積極開設(13~15拠点の計画)によって売り上げ倍増を目指す。環境経営支援サービスはコンサルティング業務が牽引する見込みだ。

 人材ソリューション事業の計画は、売上高が4.7%減の158億円、営業利益が2.9%減の16億20百万円としている。売上高の内訳は、コールセンター業務が5.9%減の136億円、販売支援が4.8%増の13億円、その他が2.3%増の9億円としている。下期からの本格回復を見込み、全体として保守的な計画としている。

 なお、上期については人材ソリューション事業の減収や広域行政BPOサービスの先行投資の影響などで減収減益予想としているが、下期に大幅増収増益を見込み、通期ベースでは引き続き好調なビジネスソリューション事業が牽引して2桁増益予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調に変化はないだろう。

■株価は売り一巡して出直り期待

 株価は一部報道を嫌気して急落し、昨年来安値を更新したが、売り一巡感を強めている。好業績を評価して出直りを期待したい。1月12日の終値は682円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS30円73銭で算出)は約22倍、今期予想配当利回り(会社予想の10円で算出)は約1.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS94円14銭で算出)は約7.2倍、そして時価総額は約539億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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