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【どう見るこの相場】業績上方修正・増配ラッシュの12月期決算銘柄は期末高に期待して助走&離陸を開始
11月中旬に終了した決算発表では、発表会社の3割もが業績を上方修正するラッシュとなった。これ自体、サプライズではあったが、もっと驚かされたのは、目の子でこの上方修正会社の半分超が増配を同時発表する増配ラッシュとなったことだ。なかにはこれに自己株式取得、株式分割を上乗せする株主還元策の3点セット、4点セットにまで踏み切るケースもみられ、相場全体には追い風となった。
この大盤振舞いは、投資家にとってインカムゲイン(配当収益)と同時にキャピタルゲイン(値上がり益)も期待でき大歓迎である。ただいろいろと考えさせられる側面もある。会社経営者のミッションは企業価値の最大化で、業績を上方修正し利益が積み上がれば株主に利益還元をするのは、イロハのイの資本政策である。しかし今回の業績上方修正の大部分は、記録的な円安・ドル高による為替差益の発生と原材料価格の上昇の好影響が占めている。会社全体が、従業員はもちろんグループ会社も含めて爪に火をともすようにして捻り出した企業努力による利益の上ぶれではなく、いわば「棚から牡丹餅」の一過性も否定できない。気前よく増配に踏み切っても抵抗感は少なかったはずだ。
また自社の株価自体も、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な感染爆発)に続く資源価格の高騰、デフレ抑制に向けた世界的な金融引き締め策の発動などアゲインストな環境のなかで苦戦を強いられ、この際、業績上ぶれ分による自社株価の維持効果も狙うモチベーションも働いたとも推定される。
これまでも一過性の特別利益などを原資に大幅増配に踏み切り、株価が大化けしたがいいが、増配一巡とともに大幅反落し一発屋に終わった銘柄は枚挙に暇がない。配当政策は、おのおのの会社が基本政策を策定し業績動向次第でそのたびごとに増配、減配と分かれるが、業績上方修正・増配ラッシュのなか、上方修正要因と増配幅の精査は欠かせないことになる。
ということで今週の当コラムでは、業績上方修正・増配ラッシュにフォーカスすることにしたが、なかでも12月期決算会社に注目することにした。12月期の決算期末まであと約1カ月、増配銘柄の配当権利を取れば、債券投資の所有期間利回り的な感覚からすれば投資資金効率がより高まることになる。また株価面でも、今期末と前期末を比較した高安は、株主の最も注目するところで、会社経営者の株高政策にプレッシャーとなるはずだからだ。
例えば、タムロン<7740>(東証プライム)は、今年11月2日に今12月期業績の上方修正を発表したが、これに次いで11月22日に今期配当の2回目の増配を発表し、年間配当は過去最高の115円とする二の矢を放ち、株価は、前週末25日に年初来高値まで買い進まれた。またやや古い今年7月、8月のケースでは、キヤノン<7751>(東証プライム)は、今12月期の2回目の上方修正したが株価がマイナス評価に終わったことから、1800万株(発行済み株式数の1.7%)、500億円の自己株式取得を発表、8月31日までに早期取得を終了した。期末接近のなかこうした株主優遇策の期待が高まることも想定される。
12月期業績を上方修正し、配当を増配した銘柄は、すでにタムロンのように年初来高値まで買われ助走に弾みをつけ離陸を開始している先行例も少なくないが、なお低PER・高配当利回りと割り負けている銘柄も多く、先発銘柄、後発銘柄が呼応して、師走相場のターゲット銘柄の一角で存在感を発揮する展開も想定される。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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