関連記事
22年産主食用米価格は2年ぶりに上昇・・・が実情は?
農水省は11月18日、「22年度産米の10月の相場取引価格は、全銘柄平均で玄米60キロ当たり前年同月比約6%高1万3898円」と発表した。
【こちらも】コロナ禍でもアニコムHDは増収増益継続、ペット市場の強さを再認識した
既に、共同通信が『コメ価格、3年ぶりに上昇へ、22年度産、外食需要持ち直し』と題する記事を配信している。上昇の理由として「新型コロナウイルス禍から外食需要が持ち直していること」「コメの作付け転換が進んだことで、需給バランスが改善傾向にあるため」と、農水省同様の指摘をしている。が、私は共同通信が主な(コメの)産地を取材した結果としてこう記している点に一抹の「?」を禁じ得ないでいる。
「コメを集荷するJAグループが生産者に前払いする金額の基準となる概算金は、生産資材の高騰で経営が苦しい農家の事情を配慮し、多くの銘柄で増額となっている」。
私はこうした流れを、mit岩手めんこいテレビのWeb配信で目にしていた。JA全農いわては、コメを出荷する岩手県内の各農協に支払う前払い金(概算金)を2022年は「ひとめぼれ」「あきたこまち」で、60kg当たりで21年比1000円引き上げることを決めた。引き上げは3年ぶりだという。
そしてこうした流れが全国的になっているという。
作付け転換の方向は、理解せざるをえない。21年度の主食用米の面積は、前年実績比6.3万ha(約4.6%)減少し130万3000haとなった。飼料用米への転換が主体で全体の7割以上(4.5万ha)を占めている。JA全中では今後について毎年の主食用米の減少率を、10万t減を前提に想定し「新たな作付け転換を図る」としている。
では何故、主食用米は減少したのか。国民1人が1年間に食べるコメは、1962年の118.3kgをピークに年々減少し、2022年は50.7kgに落ち込むことが予想されている。ピーク時の半分水準だ。背景としては「食生活の多様化」「世帯構造の変化」、そして昨今では「少子高齢化」が数え上げられている。
象徴的なのは消費の3割方がコンビニなどの中食・外食で消費されているという点。共稼ぎや単身世帯の増加が、「料理に時間をかけない」トレンドを強めている結果か!?―アジア地域産の米の輸入量は増えているのだが・・・
農業は第一次産業の代表格。「コメは日本文化の象徴的存在」を勘案すると、米作農家の厳しさへの対応は不可欠だ。JA農協の支払い前払い金の増加は不可避の流れだろう。だが結果、コメの店頭価格が上がれば消費者(家計)の負担増となる。
前記したmit岩手めんこいテレビは、「JA全農いわてでは、22年の概算金の上積みでも、コロナ禍前より2割低い水準にとどまる」ともしている。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
スポンサードリンク