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さらなる円買い介入に効果はあるのか?
●10月の為替介入は6兆円超
財務省は10月31日、9月29日~10月27日までの1カ月間の為替介入が6兆3,499億円だったと発表した。
【こちらも】円買い介入に効果はあったのか!?
9月22日に24年ぶりの円買い介入を実施したが、その時は2兆8,332億円だったため、合計で9兆円超の介入となる。
10月20日には32年ぶりに1ドル=150円を超えるなど、急速な円安が進んでいた。
9月の介入により為替介入が意識され、しばらく145円を超えないだろうという予想もあったが、10月に入るとあっさり145円を超え、無駄玉という批判も出ていた。
現在(11月4日)は150円を超えていないが、再び150円を超えることも十分あり得る。為替介入は無駄玉という批判は妥当なのだろうか。
●最近の日本政府の動き
9月の介入では、146円後半になった時に、一気に141円まで上昇した。
10月22日には、151円90銭まで下落した時に介入したとみられ、一気に144円まで上昇した。
その後、岸田首相は為替介入についてはコメントしないとしており、鈴木財務相も9月22日以降の覆面介入について、10月22日の相場変動にも介入のコメントはしないとしている。
さらなる物価高が懸念される中、政府としては円安が進むことは避けたいようだ。
●無駄玉で終わるだけなのか!?
円安阻止という面では、時間稼ぎにしか過ぎず、米国はインフレが収まるまで利上げを続けるとしており、日米の金融政策の違いから介入効果には限界がある。
だが為替介入自体、原資は税金ではあるが、新たに国債を発行して調達しているわけではない。原資は外国為替資金特別会計(外為特会)で、外貨準備高の大部分は外為特会で保有されている。
日本の外貨準備高は先進国の中でも突出しており、原資に余裕はある。
為替介入は過去には100円台で円売り介入したドルなども外貨準備高として残っており、今回の円買い介入は外貨投資で言えば、150円で利確したという見方もできる。
円買い介入は市場から円を吸収し、政府の預金残高を増やすという効果もある。つまり金融引き締めと同じである。
為替介入への警戒感が、心理面での円安への抑止力となるという見方もある。
為替介入の効果は、単純に為替相場だけで判断できるものではない。今後は介入で得た円をどう生かすかの議論も必要かもしれない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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