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相場展望10月31日号 WSJ紙の楽観記事と好決算で上昇、FOMCに注目 NYダウ上昇に後れを取る日経平均
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)10/27、NYダウ+194ドル高、32,033ドル(日経新聞より抜粋)
・市場予想を上回る決算を発表したキャタピラーが+8%上昇し、NYダウの上昇を牽引し、外食のマクドナルドや製薬のメルクも決算を受けて買われたほか、通期見通しを上方修正した機械のハネウェルも大幅高した。企業業績は悪くないとの見方から買いが広がり、NYダウは一時+550ドル近く上昇。
・「7~9月GDPが市場予想から高く、個人消費支出(PCE)物価指数の伸び鈍化とFRBの利上げ鈍化が改めて意識され、相場を支えた」との指摘もあった。
・反面、主力ハイテク株は売られた。10~12月売上見通しが予想を下回った交流サイトのメタが▲2割ほど下げ、業績懸念の売りが他のハイテク株にも波及した。スマホのアップル、半導体のインテル、通販のアマゾン、ネット検索のアルファベットの下げも目立った。
【前回は】相場展望10月27日号 10/27のアップル、アマゾンの決算発表に警戒 中国、イデオロギー主導の経済立て直しに課題
2)10/28、NYダウ+828ドル高、32,861ドル(日経新聞より抜粋)
・スマートフォンのアップルが+8%高など決算が市場予想を上回った銘柄が大幅高となってNYダウの上昇を牽引し、6日続伸し8/25以来の2ヶ月ぶりの高値となった。
・アップルは米株式市場で時価総額が最大銘柄だけに「投資家心理を強気に傾けた」。他のハイテク株にも買いが波及し、ソフトウェアのマイクロソフトも上昇、半導体のインテルにも決算を好感した買いが膨らみ+11%高となった。
・そのほか、前日までに決算を発表した建機のキャタピラーや外食のマクドナルドにも改めて業績期待の買いが向かい、NYダウを押し上げた。
・一方、ネット通販のアマゾンは10~12月の売上見通しが市場予想を下回り大幅安。
・NYダウは週間で+1,779ドル高で、4週連続で上昇。
・ハイテク株比率が高いナスダック総合は、エヌビディアやAMDなど半導体株が上昇。
●2.米国株:
(1)決算発表の好・悪が如実に株価に反映
(2)WSJ紙による、FRBの金利引上げ幅縮小観測記事が楽観論を広げる
1)10/27NYダウの上昇は3銘柄が押し上げ、SP500とナスダック総合は下落とまちまち
・NYダウを押し上げた好決算発表の3銘柄(NYダウ上昇の寄与)
キャタピラー+101ドル、マクドナルド+58、ハネウェル+41
・GAFAMは決算内容が思わしくなかったため、揃って下洛(下洛率)
グーグル▲2.9%、アップル▲3.1、マイクロソフト▲2.0、アマゾン▲4.1、メタ(旧フェイスブック)▲24.6
・特徴は、(1)米GDP7~9月は予想を上回る成長率+2.6%発表、(2)米長期金利が低下したにもかかわらず、SP500とナスダック総合が下洛したこと。要因は、決算発表の内容次第だったということである。アップルの下洛は、大手IT企業の決算悪化に引きずられたものと思われる。
2)10/28のNYダウは+828ドルの大幅上昇
・アップルの好決算発表を受け、ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ紙)の米FRBの金利引上げペースが12月に引下げられるという観測が材料視され楽観論が、米株式相場が大幅上昇へと誘った模様。
3)米中間選挙(11/8実施)後のアク抜けによる上昇を先取りした可能性もあり、今後の相場展開は慎重に見極めたい。なお、中間選挙予想は野党・共和党の勢いが増し、政権与党の民主党がやや劣勢と伝えられている。
4)今週の注目イベント
・11/1 9月JOLT求人件数
10月ISM製造業景況指数
・11/2 米連邦公開市委員会(FOMC):0.75%の利上げ決定の見通し。
・11/3 10月ISM非製造業景気指数
・11/4 10月雇用統計
●3.米GDP7~9月は予想を上回る+2.6%増、消費が堅調で成長を取り戻す(ブルームバーグ)
1)ただ、インフレと金利上昇を背景に、向こう数カ月の経済成長は不安定となる可能性がある。
2)多くのエコノミストは、金融当局の利上げにより米経済は今後1年内にリセッション(景気後退)に陥ると予想している。
●4.メタ(旧フェイスブック)7~9月決算、前年同期比で売上▲4%減の4.1兆円、当期利益は▲52%減の6,400億円(読売新聞)
1)世界的な景気減速やTikTokとの競争で広告収入が減。
●5.キャタピラー、7~9月利益が予想を上回る、世界的な景気減速をかわす(ブルームバーグより抜粋)
1)1株利益が3.95ドルで、予想3.18ドルと好調。
2)出荷増や値上げで、インフレによるコスト増を相殺。
3)中国市場は新型コロナ関連の都市封鎖や、建設活動の減速が足枷となる懸念がある。
●6.米自動車7~9月決算、フォード赤字8.27億ドル、GM黒字33億ドル(共同通信)
●7.サマーズ氏、8%のインフレ低下の願望は「非常に暗い」ことを歴史は示唆(ブルームバーグ)
●8.米金融当局の方向転換にはまだ早い、それでも株に資金流入(ブルームバーグより抜粋)
1)株式に巨額の資金が流入しているが、相場上昇余地は限られるだろうとバンク・オブ・アメリカ(BofA)が指摘した。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ継続方針が揺るがないためだと説明した。
2)BofAのリポートによると、世界の株式ファンドには10/26までの週に約230億ドル(約3兆4,000億円)が流入した。内、米国ファンドには214億ドルが流入した。これは3月以来の大きな流入額になる。
3)しかし、マイケル・ハーネット氏らストラレジストはリポートで、「インフレと雇用の突然の崩壊」がない限り米金融当局の政策転換にはまだ早過ぎると論じ、当局は通常、失業率が5.5%を超えた後にしか利下げを開始していないと指摘した。現在の失業率は3.5%。
4)SP500株価指数は2週連続の週ベース上昇に向かっているが、値上がりは弱気相場の中での反発に過ぎないとBofAのストラテジストらは見ている。
5)同指数は直近の終値に対して約5%高い4,000まで上昇した後に反落し、来年1~3月に底を打つと予想している。
●9.米エクソンとシェブロン、7~9月に原油高騰で計+310億ドルの純利益(ブルームバーグ)
●10.欧州中央銀行(ECB)は、景気懸念よりもインフレ抑制で+0.75%利上げ(ブルームバーグ)
●11.ロシア、ウクライナ穀物輸出合意を停止、クリミア露艦隊攻撃に英国関与と主張(共同通信)
1)ロシアの「偽旗作戦」の可能性も(時事通信)、英国防省は否定(読売新聞)
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)10/27、上海総合▲16安、2,982(亜州リサーチより抜粋)
・中国企業の業績懸念が相場を重くする流れとなった。全国工業企業の今年1~9月利益総額は、前年同期比▲2.3%減の6兆2441.8万人民元(約126兆円)に縮小した。ただ、大きく売り込む動きは見られない。
・中国経済対策の期待感は持続している。
・業種別では、発電の下げが目立ち、酒造・食品も安い。不動産はしっかり。
2)10/28、上海総合▲66安、2,915(亜州リサーチより抜粋)
・中国経済の先行き不透明感が重石となって、約半年ぶりの安値水準に落ち込んだ。
・中国工業企業の1~9月利益が▲2.3%減となり、縮小傾向が続いていることが売り材料視された。
・中国共産党の新指導部による経済対策への不安感も根強い。
・新型コロナ感染再拡大も懸念材料。新規感染者は4日連続で1,000人を超えている。
・業種別では、セメントの下げが目立ち、紡績機械も安く、ほぼ全セクターで全面安。
●2.香港上場の中国本土株、共産党大会後の5営業日の下落率▲8.9%は過去最大(ブルームバーグ)
●3.中国のファーウェイ、1~9月は▲約40%減益、スマホ事業立て直せず(ブルームバーグ)
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)10/27、日経平均▲86円安、7,345円(日経新聞より抜粋)
・前日の米ハイテク株安や、円安・ドル高の一服を背景にトヨタなど主力の輸出関連株が売られ、米金利の低下で銀行株も低調で、運用リスクを回避する売りが優勢となった。
・一方、米長期金利の低下を受け、グロース(成長)株への買い意欲は根強く、日経平均を支えした。
・米株価指数先物が堅調に推移したため、日経平均の下値は限られた。短期資金による日経平均への寄与度の高い銘柄への買いも継続した。
・相場の強弱感が拮抗する中、米アップルなどの決算発表を見極めたいとの雰囲気もあり積極的な売買は手控えられた。
・決算発表したキャノンが大幅安、三菱UFJも安い、東エレク・ファストリ・ソフトバンクGなど値嵩株の一角が上昇。原油高を受けINPEXなどエネルギー関連が上げた。
2)10/28、日経平均▲240円安、27,105円(日経新聞より抜粋)
・前日の米ハイテク株安や、香港株安を受け、投資家心理が下向き、一時▲360円超となったが、200日移動平均(27,197円)を下回った水準では押し目買いや売り方の買戻しが下値を支えた。
・10/27の米株式市場ではハイテク大手の決算が嫌気されてナスダック総合指数が大幅に沈んだ。アマゾンの業績不安も重なって、東京市場でもハイテク株などに売りが出た。
・ファナックが今期業績見通しを引下げ大幅安となった。中国経済の減速懸念が一因で、市場では「中国関連銘柄は今後も先行き業績に警戒感が広がりやすい」との声があった。
・国内企業の決算については総じて堅調との見方が多い。上方修正した企業には見直し買いが入り、相場を下支えした。
・日銀は10/28まで開いた金融政策決定会合で、大規模な金融緩和の維持を決めた。市場の想定に沿った結果で、相場への影響は限定的だった。
・海運株が安く、ZHD・スリーエム・安川電・三菱電が安く、トヨタ・富士電が高い。
●2.日本株:米国株下落時は底堅く推移、最近の米国株上昇に遅れを取り始めた日経平均
1)NYダウと日経平均の推移
・ 9/30 10/28 上昇幅 上昇率
NYダウ 28,725ドル 32,861 +4,136 +14.4%
日経平均 25,937円 27,105 +1,168 + 4.5%
2)上昇の要因
・NYダウは、(1)下落率が大きかったことによる強い反動。(2)企業業績悪化を織込んでいたが、予想以上に悪化しなかった。(3)WSJ紙の報道による楽観感が広がった。(4)株式市場に大規模な資金流入があった。 ためと思われる。
・日経平均は、NYダウ下落に対し底堅い動きだったため、株価反発に後れを取る状況にある。
3)11/2のFOMC会合後の、(1)金利引上げの結果内容、(2)パウエルFRB議長の記者会見に注目したい。米国のインフレ率は高いため、11月は+0.75%金利引上げ可能性が高いが、記者会見の内容によっては相場にマイナス影響を与えるものと思われるので、注視したい。
●3.習近平、尖閣諸島確保は「中国の債務」と発言(共同通信より抜粋)
1)尖閣諸島の確保は「歴史的債務」と軍内部会議で発言。
2)南シナ海の軍事拠点化を指示するような発言もあった。
3)台湾統一と併せ、尖閣諸島の実効支配を加速させる構えと見られる。
●4.企業動向
1)キャノン 工場の「国内回帰」鮮明に、地政学リスクを憂慮(朝日新聞)
すでに今年初めに中国にあったカメラ工場を閉鎖した。
2)HIS 資本金247億円⇒1億円に減資(時事通信)
3)三菱UFJ 自社株買い完了、4.19億株を11/30に消却(ロイター)
●5.企業業績
1)キャノン 1~9月営業利益は前年同期比+24.0%増、2,560億円
2)日東電工 7~9月営業利益538億円、市場予想を▲40億円下振れ(時事通信)
3)ファナック 通期業績予想を下方修正(時事通信)
4)日野自 通期営業利益▲82.3%減の見通し、エンジン不正響く(時事通信)
5)松井証券 2022年9月中間は減収減益(時事通信)
■IV.注目銘柄(投資は、ご自身の責任でお願いします)
・1963 日揮 業績好調。
・7013 IHI 航空機・防衛・原子力に注目。
・9602 東宝 業績堅調。
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