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「フリーランス新法」が「仏作って魂入れず」でないことを、切に望む
今秋の臨時国会に「フリーランス新法(仮称)」の上程が予定されている。フリーランスは2020年時点で、推計462万人。少子高齢化のいま、貴重な労働力である。新法上程に先立ち示された法制度の方向性で、フリーランスは「業務委託の相手方の事業者で、他人を使用していない者」とした。従来の厚労省のガイドラインよりも踏み込んだ、定義がなされている。
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私もそんな定義の範疇に含まれるフリーランスの1人。常々こんな疑問を抱いていた。
「時間や場所に縛られない働き方は出来るが、ITエンジニアやWebデザイナーなど技量を武器にフリーランスを選択する向きは、求められる業務量の多さから1社としか仕事が出来ないケースが多いのではないか。独立性に欠けるのではないか」
「フリーランスは独立した個人事業主。稀な例外を除いて労基法の対象外になる。労働時間規制や最低報酬の対象外となる立場の弱さがあるのではないか」
9月26日に配信された:弁護士ドットコム(東証グロース)ニュースで、第2東京弁護士会が開設している「フリーランストラブル110番」「日本マスコミ情報労組会議」の存在を知った。
前者では「最も問題視されているのが報酬や契約と業務のトラブル。報酬の未払い。突如の契約解除。一方的な仕事内容の変更などの相談が多い」としている。そうした問題点を解決するための「新法」になるわけだが・・・。
後者の事務局長は「契約書の書面交付を義務付けている新法案には意義がある。(契約書は法律の原則を覆すほどの効力がある)」とした上で、「我々が求めてきた点でもあるが、出産・育児・介護などとの両立に対する配慮も新法案には盛り込まれており期待したい」としている。
臨時国会開催を控えた10月3日。そんなタイミングで、委託企業と受託フリーランスのマッチングサービスを手掛けるランサーズ(東証グロース)からリリースが配信された。9月29日~10月1日に登録者(フリーランス)414人から得た、調査結果。
こんな内容になっていた。
(1)【「フリーランス新法」について、知っているか】―「聞いたことがない」人が42.1%。最も多い。「フリーランス新法」で検索を是非勧めたい。例えば『「フリーランス」保護新法制定へ・・・企業に報酬額・業務内容明示義務、一方的な変更防止』とする見出しで、簡潔に内容を把握できる読売オンラインの記事に出会える。
(2)【「フリーランス新法」が施行されることで働き方はよくなると思うか】―「変わらないと思う」41.6%。「よくなると思う」「どちらかというとよくなると思う」が49.8%。「悪くなると思う」「どちらかといえば悪くなると思う」が8.6%。
(3)【変わらない・悪くなると思う理由】―「フリーランスと発注者の関係が平等とはいえない」「企業側の意識は大きく変わらなそう」「適切な契約内容・報酬で仕事を引き受けることはまだ難しそう」「下請法とあまり変わりがないから」「業務委託の開始・終了のトラブルは阻止できなさそう」。
(4)【施行で働き方がよくなると思う理由】―「業務開始・終了のトラブルを阻止できそう」「適切な契約内容・報酬で仕事を引き受けることが出来そう」「新法で企業の意識を変えることが出来そう」
(5)【新法で提言されている内容で業務に関係すると思うもの】「報酬額・契約内容・期間を書面等で伝えなければいけない」「通常相場に比べ著しく低い報酬額を定めてはいけない」「募集内容を正確なものにし、内容・報酬額を明示しなければいけない。その旨を伝えなくてはいけない」
調査結果らは新法に対しフリーランスが、「期待したい。が一抹の不安も・・・」と見ていることが窺える。要は「仏作って魂入れず」では、なんら意義はない。法に定めることが履行されているかを常にチェックし、不履行に対する罰則規定・遂行を厳格に行える体制の整備が肝要であろう。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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