OPECプラス、大幅減産で原油価格への影響は?

2022年10月7日 18:12

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●OPECプラスが大幅減産へ

 OPECとロシアなどの非加盟国で作るOPECプラスは5日、OPEC本部で開かれた会議で、11月の原油生産について、日量200万バレル以上の減産を決定した。

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 世界的な景気減速影響を懸念し、2020年のコロナショック以来の大幅減産となった。ロイター通信の報道によると、米国は決定前にOPECプラスに大幅減産を行わないように働きかけていたという。

 増産から一転して大幅減産となったOPECプラスだが、どんな思惑があるのだろうか?今後の原油価格と世界経済にどのような影響があるのだろうか?

●OPECプラスの思惑は?

 7月にはバイデン大統領がサウジアラビアを訪問するなど、米国は増産への圧力をかけていた。

 しかし、中国の景気悪化や世界的な利上げによる景気減速懸念から、原油価格は下落を続けている。原油価格が上昇し始めた2月末のロシアによるウクライナ侵攻前の価格も、下回っていた。

 OPECプラスとしては価格の低下は避けたいため、10月からすでに日量10万バレルの小幅な減産に入っていた。今回は大幅減産であるが、すでに生産量は計画量未達となっており、そもそも効果が疑わしいとの声もある。

●世界経済への影響

 11月に中間選挙を控える米バイデン政権にとって、今回の決定は痛手になるであろう。

 当初惨敗すると見られていた民主党は、ここにきて盛り返してきているとの予測もあり、インフレ克服となれば、さらに勢いを増す。

 ガソリン価格の高騰は米国内では死活問題であり、バイデン氏にとっても何としてでも防ぎたいところである。

 最近ではインフレのピークアウトの兆候があり、利上げのゴールも見えてきたとの一部投資家の楽観論もあるが、大幅減産による原油価格の上昇はその楽観論を吹き飛ばしかねない。

 ECB(欧州中央銀行)が近々大幅利上げに踏み切ると見られる欧州にとっても、当然のことながらOPECプラスの動向は気になるところだ。

 OPECプラスにとっては、原油価格の上昇はさらなる利上げを強め、景気減速となり、結果的には原油価格の下落に拍車をかけることにもなるかもしれない。

 原油を巡って、これからも様々な思惑が交錯することになりそうだ。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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