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岐路に立つソフトバンクGが、見直すべきこと!
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冴えないのはソフトバンクグループ(SBG)ばかりではないと分かっていても、最近のSBGの値動きには気が揉める。8月末の終値が5562円だったのに対して、9月28日は4938円だ。624円の値下がりだから1カ月で11.3%下落したことになる。こんなペースで10カ月経過することはないと思うが、なんとなく落ち着かない。
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因みに同時期の日経平均は8月末に2万7928円だったのが28日には2万6422円だから、1506円の値下がりで、6.4%下落した。比べることに意味はないが、SBGは日経平均の2倍近い勢いで下落していることになる。
SBGのような投資会社は、世界的な景気拡大期には投資先企業の成長によって、含み益が拡大して大幅な増収に恵まれる。景気が逆回転すると、体力のない新興企業のウィークポイントが拡大して、評価額の減少を招き嘘のような欠損を計上する。21年3月期の決算で、約5兆円の利益を計上して日本企業過去最大と謳われた絶頂の翌年に、1兆7000億円の赤字を計上と騒がれた。
21年3月期の5兆円が利益確定されたものであれば、翌年に2兆円弱の赤字が発生しても「差し引き3兆円が残っている」と言えなくもないが、SBG総帥の孫正義氏は上昇している株式を処分することが嫌いなタチなので、21年3月期の5兆円は幻の評価益のまま終わった。
評価損益だけで終わっているのならばまだ救いはあるが、SBGは10兆円ファンドに約半分の出資を受けているサウジ・アブダビファンドに対して、年7%の利息の支払いを約束している上に、5兆円の利益計上時にはサウジやその他の出資者に対して配当も行なっている。
決算内容に関わらず毎年4000億円近い利払いと、利益計上時の配当という社外流出を考えると、SBGの懐は傍目で見るほど楽ではないはずだ。
8月8日の第1四半期決算説明会で孫氏は、「21年に始めた年間1兆円の自社株買いには約3000億円の未消化分があるが、今回改めて年間4000億円の自社株買いを始めるので・・・」という趣旨の説明をした。
要約すると今後1年で4000億円の自社株買いの枠を設定したが、満額消化するかどうかは財務状況などの諸要因次第として、未達の場合の口実を残した。総額が半分以下に減少し、実施できるかどうかも未定としているから、自社株買いに振り向ける原資を減らす程度に、財務的な窮屈さは生じているようだ。
世界で進む不安定化に終息の兆しがない現在、SBGはアリババの含み益があるうちに利払いが必要な資金を返済して身軽になるべきだ。今までの投資スタイルが隘路にある、と感じるのは筆者だけではないだろう。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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