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目次
荒川滋郎氏:本日はお忙しい中、株式会社ストレージ王のオンライン会社説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。この説明会は、当社の事業および2023年1月期第2四半期の決算について、投資家のみなさまによりご理解いただくことを目的としています。私は代表取締役の荒川滋郎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の説明会の流れをご説明します。最初に、私どもの会社の概要をご説明したいと思います。それに続きまして、2023年1月期第2四半期決算の概要についてご説明します。その次に、現在の事業の進捗状況をご説明します。そして、2023年1月期全体の見通しをご説明していきます。また、今取り組んでいる新たな取り組みについてもご説明できればと思っています。
会社概要_経営理念とミッション
当社の会社概要です。私どもは経営理念に「顧客資産の持続的な価値向上を通じて、人々の暮らしや社会の未来を共創する」を掲げています。人々の暮らしが豊かになるようにということで、トランクルームをメインとした事業を運営しており、みなさまがお持ちのいろいろな資産を大切に扱っています。
ミッションとしては、所有する方がいて初めてトランクルームが成り立ちますので、まずは所有者の資産価値の向上があります。また、トランクルームの利用者に利便性・満足感を感じてもらうことを大切にし、人々の暮らしや社会の未来を豊かにすることを目的としています。
トランクルームといいますと、みなさまいろいろなイメージをお持ちかと思います。コンテナで作ったようなトランクルームもありますが、私どもは空調が効いて、中にエレベーターもあるようなビル型タイプのトランクルームも多数手がけています。
会社概要_経営理念とミッション
私どもが実際にどんなことを行っているのかについて、スライドの写真も合わせてご覧いただければと思います。まず、私どもを支える3つの力についてです。
1つ目は運営力です。お客さまにトランクルームを利用していただく場面において、トランクルームを衛生的に運営しています。また、トランクルームがどのようなものかを利用者に知ってもらい、収益を上げるために稼働率を上げていくことも進めており、これが私どもの運営力です。
2つ目は仕入開発力です。実際にトランクルームをご用意するためには土地を押さえなければいけません。トランクルームに向いている土地を買ってくる、あるいは借りてくることを仕入開発力と呼んでおり、「このようなトランクルームをここに作りたい」という理想を目指して、土地を探しています。
3つ目は物件売却力です。実際にトランクルームを開発したところで、私ども自身がずっと持ち続けるのは、投資としてもなかなか重たいものです。そのため、投資家の方に持っていただくことで、また新たにトランクルームを作り、その数を増やしていっています。このように、作ったトランクルームを投資家の方に継続的に買っていただけるような物件売却力も持っています。
この3つの力によってトランクルームの稼働率を上げ、稼働率を上げるために好適なトランクルームを仕入れ、稼働率の上がったトランクルームを投資家の方に売却するというサイクルを回しています。これにより、トランクルーム全体の数を増やしていくことを私どもの目的としています。
実際には、スライド下段の写真のようなトランクルームを運営しています。一番左の上石神井のトランクルームはビルイン型といって、トランクルーム専用の建物を建てて、運営しているトランクルームです。
また、その右隣の磯子岡村トランクルームは、コンテナで作った2階建てトランクルームです。こちらは郊外型によくあるタイプですが、車で荷物を持ってきて、コンテナの中に荷物を保管してもらうものです。ロードサイドに多いため、大型の荷物を預けていただくことが多いです。
さらに、その右隣の梶が谷のトランクルームは2019年に建てたもので、私どもとして初めてのビル型トランクルームです。こちらは大型のトランクルームで、全館空調を管理していますし、エレベーターで上まで荷物を運ぶことができます。一番右に内部の写真もありますが、廊下にはカーペットが敷いてあるため、クローゼットのようなイメージで使ってもらえるトランクルームになっています。
最近は「大切な荷物を保管するために空調が欲しい」「しっかり整った環境で保管したい」という方がいらっしゃいますので、そのような方へ屋内型のトランクルームをおすすめしています。
会社概要_事業の内容
続いて、今お伝えした運営力について、具体的な内容を事業の構造としてご説明します。私どもがトランクルーム(ハード)をご用意して、それを運営・管理し、利用者の方に利用契約をしていただくことで、利用料を頂戴しています。
そして、いただいた利用料の中から、実際にその建物を持っている投資家の方に賃料をお支払います。あるいは、土地を貸していただいている方に地代をお支払いして、その差額を利益としているのが私どもの事業運営モデルです。
参考としてスライド下段に写真を載せていますが、ご覧のとおり、私どもはいろいろなタイプのトランクルームをご用意しています。また、時代のニーズに合わせて、いろいろなお客さまの声を聞きながらトランクルームを作っています。例えば、一番左の一宮トランクルームは、縦に長い構造になっており、サーフボードが収納できるようになっています。
その右隣の梶が谷トランクルームには宅配ロッカーを設けています。こちらは家庭の荷物を預ける以外に、個人で商売をされている方が在庫品を置くために利用する場合もあります。また、お客さまに商品を配送したり、自分が仕入れた荷物を受け取ったりする時の手助けとして、宅配ロッカーを準備しています。
また、ときわ台トランクルームにはバイク専用室を設けています。昨今、新型コロナウイルスの影響で、あらためて大型バイクに乗り始める方が増えています。しかし、大型バイクはマンションにお住まいの方では駐車場に置きにくかったり、また高価なバイクは盗難に遭いやすかったりします。セキュリティの効いた私どものトランクルームに預けていただければ安心ですし、各バイクの置き場に電源も設けていますので、電動バイクも保管することができます。
一番右の南船橋のトランクルームには、ワインセラーを設けています。こちらは少し変わった特徴になりますが、空調を十分に効かせて14度の温度帯を保ったワインセラーをご用意し、ワインの熟成を楽しまれる方向けの特別な施設として用意しています。
会社概要_事業の内容
私どものビジネスにおいて、売上の約8割を占めているのが、トランクルームを作って、売却することで利益を得るというビジネスモデルになります。
まず、銀行から借入をして土地を買います。そして、ゼネコンにお願いして建物を建てます。そして、できあがった不動産を収益不動産として投資家の方に売却します。その方の意向によっては、信託受益権化することも行っています。
不動産を作って売るということですので、不動産屋としては当たり前のスキームなのですが、仕入開発力と物件売却力を非常に有効につないでいることが私どもの特徴として注目いただきたい点になります。というのも、これまでに開発した物件の中で「作ったはいいが売れずに困っている」という不動産がないのが私どもの自信になっています。
先に投資家の方から「このエリアで、この利回りだったら欲しい」というニーズを聞き取った上で土地を仕入れているため、売れることを前提に土地を買ってくるところが私どもの仕入開発力と物件売却力の大きなポイントかと思っています。現在、全体で30億円強の売上がありますが、その8割程度はこのような物件の開発と売却によって得ています。
会社概要_事業の内容
不動産の特性として、トランクルームと普通のアパート・マンションがどう違うのかについて、簡単にご説明します。一番大きな特徴は、トランクルームは経年による賃料の減少額が小さいということです。
トランクルームの利用者が自分の荷物を預ける時に、きちんと清潔に運営されてさえいれば、「築何年だからこのトランクルームを借りよう」「築何年だからやめておこう」とはなりにくいものです。アパート・マンションですと「新築と築20年なら新築のほうがいい」ということがあり得ます。トランクルームですと、このように商品としての劣化が少ないところが一番大きな特徴だと思っています。
また、一度収納した荷物を動かすのはなかなか大変ですので、テナントの定着率が高く、解約率も比較的低いです。さらに、建築費や原状回復費用も小さいです。そもそもアパート・マンションに比べて水回りがないため、初期投資も小さいですし、5年、10年経った頃に水回りの修繕や、キッチンやお風呂を入れ替えるなどの追加投資が少ないといったところも特徴です。
一方で、トランクルームのマイナス面を正直にお伝えすると、アパート・マンションに比べると立ち上がりが若干遅いところがあります。満室まで時間がかかるため、アパート・マンションに比べると不動産として扱いにくい部分が若干あります。ただし、3年、4年経って安定した稼働状態になれば、追加投資も少ないですし、ボラティリティが小さい不動産投資資産として、昨今、投資家の方にも非常に注目いただいています。
2023年1月期第2四半期決算の概要_PL
2023年1月期第2四半期の決算概要についてご説明します。あらかじめお断りしておくと、前年度は上場前で四半期の財務諸表を作成していなかったため、あくまでも参考値としてご覧いただければと思います。
まず、売上高は第2四半期までで3億1,100万円、前年に比べてマイナス6,000万円という結果に終わっています。スライドには内訳も記載していますが、トランクルームの運営に関わる部分は、順調に部屋数が増えたことで4,200万円増となっています。一方で、開発分譲といった不動産を売る部分は昨年に比べて1億200万円ほど減少したため、売上高としては6,000万円減っています。
不動産の売上を減らしてしまったことにより、営業損益も前年比マイナス8,000万円となり、純損益も前年比でマイナス9,900万円となりました。このように、前年よりも売上・利益とも低くなっている状況です。
ご心配になる投資家の方もいるかと思いますが、先ほどお伝えしたとおり、私どものビジネスモデルは不動産売却による売上高が全体の約8割を占めています。その部分が今のところ実現していないため、赤字が先行しています。
なぜこのような状況になっているかについては、後ほど開発状況のパートで具体的にご説明しますが、土地を仕入れてから物件を売却するまでには、土地を買った後に本格的な設計をして、建物を建てるため約1年かかります。今年度に売却を予定している売上高で32億円の8割ほどですが、その物件の大半が今年の12月もしくは来年の1月といった、私どもの年度末にあたる期間に集中しています。
私どもがトランクルーム用地を仕入れる際は、都内の2億円くらいの土地を買ってくるのが通例ですが、売主さまの都合もあり、12月や3月といった年度末のタイミングで土地を処分することが多く、その時によい出物があったため、仕入を行いました。その結果、今期売却できる不動産の大半が第4四半期に集中しているということです。
そのため、第3四半期までは残念ながら赤字が続いてしまいますが、第4四半期で売上高も大きく上がりますし、利益も上がってくるというのが現状の見通しです。おかげさまで、昨年から仕入れている土地については工事の最中ですので、年度内に売却すべく販売活動をしています。あらためて後ほどお伝えしますが、年度見通しについては年初に発表した数字から修正しない予定です。
2023年1月期第2四半期決算の概要_BS
バランスシートについてです。昨年度末の総資産15億円から10億円ほど増えて、25億円となっています。純資産は7億円ですので、純資産の比率は28パーセントです。
昨年度末から資産が10億円ほど増えたのは、販売用不動産が増えているのが大きな要因です。土地を仕入れて、ゼネコンにお金を払って建物を建てていますので、その分が棚卸資産に上がってきます。加えて、そのための短期借入金も70パーセントまで増えています。
また、純資産については上場による増資部分が含まれるため、昨年度末よりも増えているという側面もあります。
2023年1月期第2四半期決算の概要_CF
キャッシュ・フローの状況です。期首の3億8,900万円から、今のところの税前利益が1億2,200万円ほどマイナスで、棚卸資産が8億円増えたため、営業キャッシュ・フローはマイナスの10億3,200万円となっています。
一方で、それを支える財務キャッシュ・フローとして、10億4,700万円の短期借入金と1億8,100万円の株式発行を行い、12億円ほどを得ました。そのため、期末で5億3,300万円のキャッシュ・フローがある状態です。これは当初の計画どおりで、新しく売却するための資産を確保し、そのための借入をしているという流れです。
事業の状況_運営管理
現在の事業の状況をご説明します。まず、私どもの重要なKPIであるトランクルームの部屋数と稼働率についてです。おかげさまで、順調に部屋数を伸ばしています。
スライドの棒グラフをご覧いただくと、2020年1月期から2021年1月期にかけては6,716室から6,950室ということで、増え方自体は大きくなかったのですが、2022年1月期にかけては7,710室まで増えてきました。
さらに、今年8月末の時点では7,923室まで増えていますが、先ほどお伝えしたとおり、年度末までに物件を開発・売却するために、2022年3月期には8,926室、前期比で115パーセントほど増える計画です。開発が順調に進んでいるため、私どもが運営・管理する資産も順調に増えていく予定で、事業を進めています。
折れ線グラフについては、2年以上の物件の稼働率を示しています。2020年1月期には84パーセント前後でしたが、現在は86パーセントくらいまでしっかり上がっています。先ほど「トランクルームは1年目、2年目は稼働率が上がりにくい」とお伝えしましたが、2年を超えると、このような稼働率まで上がってきますので、安定した運用資産として投資家の方に買っていただけることがおわかりになるかと思います。
事業の状況_開発分譲
次に、先ほどお話しした、現在進めている開発の状況についてご説明します。土地を仕入れ、建物を建てている最中だとお話ししましたが、現在進行中の大型物件が、スライドに記載の東京都新宿区の物件です。こちらは11月竣工予定で、鉄骨造4階建て188室のトランクルームです。
次に、東京都世田谷区の物件で、12月竣工予定です。こちらは鉄骨造4階建ての165室です。また、地元の千葉県市川市にも12月に竣工予定で、こちらは鉄構造4階建ての162室になります。さらに東京都豊島区新大塚の物件は、2023年1月竣工予定で212室です。
以上の4物件が、現在、開発分譲型として工事している最中です。スライド右上には東京都新宿区の物件で、上棟している部分の写真を掲載しています。また、栃木県栃木市の物件については、都内と異なる2階建てのガレージオフィスとなっています。右下に外壁施工の写真を掲載していますが、こちらは郊外型で、ロードサイド型オフィスを新たに開発することを目標としています。
1階がガレージで2階がオフィスになっている物件は、これまでに小岩で1件取り組んでいますが、地方創生やテレワークの推進など、いろいろな面があるため、地方でも展開したいということで、その試金石となる第1号案件を栃木県栃木市で開発中です。栃木県には今月末に訪問し、リーシングに向けて活動していきますが、新しいタイプの案件を開発していきたいと考え、取り組んでいます。
現在、物価の高騰で資材が入りにくい状況がありますが、私どもが土地を買った際には工事の手配がわかっていたため、手に入りにくいエレベーター等は当初から手配していました。したがって、そのような問題による工事の遅れはありません。
変更があった部分として、自動ドアが品薄になってきています。メーカーを変更するなどして手配していますが、その部分についても工事は順調に進んでいます。2022年12月、もしくは2023年1月に売却し、第4四半期で利益を上げることを目指しています。
2023年1月期の見通し
次に、2023年1月期の見通しについてご説明します。繰り返しになりますが、第1四半期、第2四半期、第3四半期と、私どもが運営管理業務でトランクルームを運営している部分は、売上高が着実に上がっています。しかし、金額として小さいというのがスライドのグラフの下側、濃い色の部分になります。
先ほどお話しした、工事中の案件の売却は、売上高25億9,600万円を予定しています。こちらが第4四半期に計上されるということで、当初計画していた売上高32億5,600万円を達成できる見通しで、事業に取り組んでいます。
営業利益も開発分譲の部分において、第4四半期にようやく大きく上がるという計画です。第3四半期まで赤字が続きますが、最後に大きく取り返せるところをイメージしたグラフとなっています。
取り組み_ホテル併設店舗への注力
最後に、当社事業で新たに取り組んでいることについてご説明します。
1つは、ホテル併設店舗への取り組みです。スライドの写真は、茨城県にある石岡北府中トランクルームです。写真の左側に映っている色の濃い部分は「レスキューホテル」といって、グループ会社のデベロップが全国に約57ヶ所、約1,900室展開しているホテルです。
コンテナで作った、車両として動かせるレスキュータイプのホテルに、私どものトランクルームを併設しています。地権者の方から土地を借りる際、その土地に少し余裕があればトランクルームを併設するなど、さまざまな使い方をすることで、グループ間で有効的に土地を使っている事例です。
何をご説明したいかと言いますと、私どもの店舗はオープンしてから約1年で実際に契約率が上がってきます。これは、トランクルーム全体の平均で約21パーセントにあたります。
スライドのグラフで説明すると、一番上の「全体」と書いてある部分が全体の平均値で、1年目は約21パーセントの稼働率です。2年目には5割・6割の稼働となり、3年目には7割・8割になるのが通例です。しかし、ホテル併設型のトランクルームに関しては、稼働率の上がり方が非常に速いです。
例えば、スライドの上部にある茨城県石岡北府中の店舗は2022年4月にオープンした現場です。また、下から2番目の茨城県神栖の店舗は2021年12月のオープンから、まだ半年ですが、稼働率はすでに8割・9割となっています。このように、通例の約3倍のスピードで稼働率が上がっているということです。なぜホテル併設案件の初期稼働率の伸びがよいのか、社内でも驚いている部分です。
実は、郊外型のトランクルームは単体で建っていると、全体の面積が約200坪のため、目立ちにくいと考えられます。それに比べ、ホテル併設のトランクルームは約1,000坪の敷地にホテルと併設されているため、道路から見た際に大変目立ちやすいところがあります。また、ふだんからホテルに人が出入りするため、「こんなところにトランクルームがあるな」と気づいてもらいやすいと考えられます。
加えて、トランクルーム単体では、人の出入りを感じられずに寂しいところがありますが、ホテルが併設されていれば、人の出入りが多く賑わいを感じます。それに誘われてトランクルームの稼働率も上がっているのだろうと、私どもは見立てています。
グループの中で土地の情報なども共有しながら、一緒に開発を進めていくことがうまくいっている事例として、お話ししました。例えば、建設工事でホテルを訪れた方が一時的に資材を置くなど、さまざまな連動の仕方があり、お客さまにも便利な施設ということでご利用いただいている事例です。
取り組み_商業施設内への出店
スライドは、千葉県の「ユーカリが丘スカイプラザ・モール」という、駅に近い商業施設の中に出店したトランクルームです。商業施設の中にトランクルームを出店するのは、私どもとして初めての取り組みです。
何が私どもにとって新しいのかというと、トランクルームといえば、例えば年に数回、季節の衣料品の入れ替えやコタツと扇風機の入れ替えなどで利用するかたちで、年に10回、20回も通うところではありません。しかし、商業施設の中にトランクルームがあると、毎週末とは言いませんが、買い物に訪れた際にトランクルームの近くに来ることになります。
これまでの、衣料品や季節家電などをたまに入れ替えるトランクルームから、日用品や消耗品の収納にも使っていただけるトランクルームへと、使い方が変わってくるのではないかと期待しています。
例えば、オムツやお水、トイレットペーパーなど、家庭の中に置いておくには少しかさばるけれど、ないと困るものや、多めに買っておきたいものを安心して収納でき、買い物ついでに気軽に出し入れできるということで、トランクルームの新しい使い方として、これからも商業施設内出店に取り組んでいきたいと思っています。
取り組み_既存建築物のリノベーション
現在取り組んでいることの1つについてご説明します。現在、コロナ禍で、事務所を縮小・移転する会社があります。SDGsもありますし、建築資材の値上がりなどもあります。
そのような中で、既存の建物を利用することは、省エネ・省資源で開発することにつながり、私どもにとってチャンスだと思っています。縮小・移転した会社の好立地・好条件の不動産を購入したり、借りたりすることができ、新築よりも安いコストで新たな出店ができるため、既存建物のリノベーション案件にも一生懸命取り組んでいます。
スライド左下の写真は、セブン-イレブンの店舗の3階に出店したトランクルームです。既存ビルのオーナーにお借りした場所に、トランクルームを作っています。省エネ・省資源の中で開発ができるということで、このようなリノベーション案件にも期待しています。
以上で、私からの説明を終わります。
質疑応答:滋賀県の状況について
「滋賀県の状況を教えてください」というご質問です。
滋賀県については、先ほどご説明した東近江市の五個荘に出店しているホテル併設の案件や、新たに開発中の案件が1件あります。今後もこのようなホテル併設案件を中心に出店できればと思っています。
質疑応答:株価対策について
「キャッシュ・フロー上、株価が重要なことを認識しました。そうした中で、自社株買い等の株価対策が必要だと思いますが、その点はどのように考えていらっしゃいますでしょうか?」というご質問です。
自社株買いは、現時点で今すぐにとは考えていない状況です。時価総額がまだ約10億円と小さな会社ですので、株価をどうやって上げていくか、株主の方をどのように増やしていくかについては、継続的に検討していきたいと思っています。
質疑応答:売上規模の拡大について
「御社の売上高は、大部分が開発分譲によるものだと思いますが、この部分をどの程度拡大していく予定でしょうか?」というご質問です。
先ほどご説明したとおり、部屋数を期末までに8,926室に増やすということですが、私どもとしては開発の余地があると思っています。なぜならば、東京都内ではマンション価格が未だに上がっているためです。
東京に一極集中している経済構造が大きく変わらない中で、マンションの値段が上がってくると、マンション全体の予算の中で、例えば以前は5,000万円で60平米買えたものが、今は50平米しか買えないとなった時に、収納部分が犠牲になるケースがあると思います。そのため、実際に入居してみると、物が収納しにくいというお客さまがいます。
また、昨今のテレワークで家にいる時間が増えると、部屋をすっきり使いたいということで新たにトランクルームを借りるお客さまもいます。住宅地の中には作れない制約などもあり、トランクルーム向きの土地が見つかりにくい状況ではありますが、開発型の案件は東京都内を中心にまだ増やせると思っています。
お客さまのニーズは引き続きあるということで、新たに開発し、事業規模・売上規模も大きくしていきます。それに伴い、私どもが管理運営できる部屋数も底上げされるということで、これからも拡大していくことを考えています。
また、規模でいえば4億円、5億円という都内の大型案件に加えて、先ほどご説明した地方のオフィス案件など、1件あたりの金額は大きくありませんが、これからニーズが増えていく部分を開発して売却することで、売上を上げることも考えています。開発の売上については、そのような両軸でこれからも増やしていきたいと思っています。
開発の売上について、不動産マーケットの状況を簡単にご説明しますと、先ほど東京都新宿区や豊島区で開発しているとお話ししましたが、不動産投資家の方で「ホテルは買いにくい」「オフィスは買いにくい」といった目線のお客さまもいます。
一方で、「不動産を運用したい」というニーズはある程度ありますし、東京の不動産マーケットを見ると、調達金利と不動産の運用コストの差は、諸外国に比べてイールドギャップが大きいと言われています。そのような意味でも、トランクルームの投資は海外投資家の方からも非常に注目を集めています。
私どもが売却している機関投資家の方にも海外の方がいますが、そのような国内・海外の不動産投資家の方が、いったん稼働率が上がれば非常に安定した収益になるトランクルームに、新しいカテゴリとして注目している部分があります。
先ほどお伝えしたように、実際に都内でのニーズも高く、また不動産として購入したい投資家の方もいるという両面がありますので、私どもとしては開発を進め、事業基盤を大きくしていきたいと考えています。
質疑応答:トランクルーム売却のリスクについて
「施工したトランクルームを投資家に売却することで、会社としてのリスクヘッジになる一方で、中長期目線で見た際の取り壊し、リフォーム等の対応の機動性が低くなるリスクはありませんか?」というご質問です。
トランクルームの売却は、会社として資金回収するということです。当然ながら、既存の建物をリノベーションする案件も増やしていきたいと思っていますし、トランクルーム自体は手間がかからない建物のため、リフォーム対応で苦労することはあまりないと思います。お答えになっているかどうかわかりませんが、トランクルーム自体はハード的には非常に扱いやすい物件だと考えています。
質疑応答:目標達成の可否について
「第4四半期の目標には届きそうですか?」というご質問です。
先ほどからご説明しているように、建設工事中の案件は順調に進んでいます。今まさに売却活動にも入っており、複数の投資家の方に「この物件を買いませんか?」という営業をしている最中です。
投資家の方のトランクルームに対する投資熱は高まっているため、私どもとしては12月、1月に竣工して売却する目標が達成できると考え、業務を行っています。
質疑応答:株価対策について
「株価対策はお考えでしょうか?」というご質問です。
今のところ、自社株買いするという考えには至っていません。これから検討していきたいと思います。
質疑応答:シャトルバスの運営や運営会社との提携について
「キュラーズは、トランクルームへ荷物を運べるシャトルバスなどの運営を行っているそうですが、そのようなサービスの予定はありますか? もしくは、そのような業者との提携関係はありますか?」というご質問です。
常時抱えているシャトル便というものは、残念ながらまだありません。しかし、一部の物件で、キャンペーンサービスの一環として地域の運送会社と提携し、私どもが費用を負担して荷物を運ぶサービスは、中野の物件等で行っています。
全体までには至っていませんが、キャンペーンとして行っている物件もあります。ホームページなどでそのようなキャンペーンがないかをご確認いただき、場合によってはご利用いただけるサービスが出ている時もありますので、よろしくお願いします。
質疑応答:公開価格を下回る株価について
「公開価格を下回る株価について説明してください」というご質問です。
公開価格から今の株価が低迷していることに関して、投資家の方には大変申し訳ないと思っています。今後、私どもが事業を一生懸命進める中で、投資家の方に認めていただき、株価が上がるように企業努力を重ね、事業を展開していきたいと考えています。
質疑応答:ユーザーの定着率が低くなるリスクへのケアについて
「商業施設への出店について、より日用的な用品の収納を目指した取り組みということで、ユーザー目線でも非常に使い勝手がよいと感じました。一方で、他のトランクルームに比べて短期的な利用が増えることが推察されるため、トランクルームのメリットである定着率が低くなるリスクがあるのではないかと考えています。そのあたりのケアをどのようにお考えですか?」というご質問です。
実際に短期で利用される方もあり、当然、短期でのご利用についても考慮しています。トランクルームが埋まってくると、稼動率の高いトランクルームは借りていただくことができないという、早い者勝ちのような側面があります。
短期利用が増えることに関しては、定着率低下のリスクというより、正規料金を確実に受領し、稼動率が上昇することに重きを置いていますので、長期や短期にかかわらず、空いていればご利用いただきたいと思っています。
質疑応答:今後出店していくエリアについて
「工事業者を狙ったホテル併設のトランクルームの発想はおもしろいです。そのためには営業と狙っているエリアが重要かと思いますが、その点はどのようなビジョンを持っていますか?」というご質問です。
こちらはグループ会社のデベロップとの共同開発という部分もあり、実際に狙っている場所は、ロードサイドで車が出入りしやすい場所です。観光地などもよいのですが、ターゲットとしているのは工場や物流施設などのお仕事に関する実需のある場所と聞いています。
実際に、例えば建設工事などで、2ヶ月から3ヶ月ほど連泊されるお客さまもいらっしゃいます。そのような方々が資材の一部を置くためにご利用されることもあります。今、地方で活性化しているような街に、私どものグループのホテルやトランクルームをさらにご提供できればと思っています。
地方でもロードサイドで非常に活性化している場所があるため、そのような場所を狙って出店していくことを考えています。
質疑応答:今年度の物件の売却について
「今年度の物件売却益はすべて第4四半期に計上されるのですか? もし早めに売却できた場合は第3四半期に計上されることはありますか? 契約上答えられないこともあるかと思いますが、売却先の大部分はメットライフなのでしょうか? 新たな売却先の目処は立っていますか?」というご質問です。
第4四半期の前に第3四半期で計上されるかについては、お客さま次第という側面が大きいです。
第1四半期と第2四半期においても、例えば、先ほどご紹介した宇部のホテルは完成してすでに稼働していますが、今はあえて売却せずに所有しています。トランクルームを投資家の方に買っていただく際に、今までは資金繰りの都合もあり、完成してすぐに売るのが通例でしたが、幸い上場させていただき、多少は資金に余裕がでてきました。
宇部のホテルはコンテナで作った案件ですが、これはまだ自社で所有したままにしておき、稼働率が上がり不動産としてのトラックレコードができてから、投資家の方に売却することも視野に入れています。そのため、トラックレコードができたところで、投資家の方が「ぜひ買いたい」という場合は第3四半期に売り上げる可能性があり、反対に第4四半期まで所有するという可能性もあります。
第4四半期の計上については、今取り組んでいる新宿区や豊島区の案件は、金融機関からの借入で建物を建てており、売却して借入を返済しなければならない制約もあるため、こちらは年度内に確実に売却したいと思っています。
また、売却先については、ご質問にあったメットライフを含め、いろいろな投資家の方とお話ししています。最終的にどなたに売却するかは、今まさに折衝の最中ですので、まだ私にもよくわかっていないところです。
トランクルーム投資自体については、新しい投資家の方を含め、今までオフィスやホテルを買っていた既存の投資家の方でトランクルームを買いたいという方も、今は非常に増えてきています。そのため、どの方が最終的にお買い求めになるかは、まだわからない状態です。
ただし、先ほどもお伝えしたとおり、トランクルーム投資そのものが活発化し、私どもの会社だけではなく、他社のトランクルームも買いたいという投資家の方が非常に増えているのは間違いないことだと思っています。確実に売っていきたいと考えていますが、どちらへの売却になるかは未定です。
質疑応答:同業他社に対する優位性と円安の影響について
「同業他社との違いや優位性を教えてください。また、金融政策上、今の円安は追い風でしょうか?」というご質問です。
今のところ、金利については日本国内はまだ上がっていないため、私どもとしては非常にありがたい金融環境だと思っています。ただし、円安については、建築資材が上がっていくというマイナス面があります。特に建設用のコンテナについては値段が上がっており、非常に憂慮している部分です。
トイレなどは使っていないため実際には関係ないのですが、海外から仕入れているいろいろな資材において、例えばエアコンなどは値段が上がると困ることになります。そのような意味で最近の物価高については、建築資材が上がっている点で、若干憂慮しています。
ただし、幸いなことに今期売却する物件については、比較的早期に押さえてありました。私どもは1月決算ですので、1月中に事業計画を立てるのですが、3月の上場前に予算を修正し、資材高騰に備えて原価を多めに見積もりました。しかし、今はそれをさらに超えて上がってきている情勢です。
今年度の売却分については、ある程度の目処が立っていますが、今後さらに資材の価格が上がり続けると非常に困った状況になります。なるべくよい土地を仕入れて価格を安く抑えたいと思いますが、建築資材が上がることについては、あまりよい方向ではないと思っています。
同業他社に対する優位性については、私どもの親会社だったデベロップが建設会社ということもあり、トランクルームの建築に関しては非常に知見があります。トランクルームの建物は、実はカビが一番怖いので、空調や湿気対策が大変重要になってきます。ここから先はあまり細かいことをお伝えできませんが、建築のスペックにおいては、国内のトランクルーム会社の中でも、おそらく相当な上位にあると思っています。
店舗を無人で運営していることなども踏まえて、みなさまに少しでも安い価格でのご提供を目指しているため、価格面ではそれほど高くない水準だと思っていますが、建築のグレードに関しては非常に高い水準だと自負しています。そのような意味で、利用者の方には安心してご利用いただけると思います。
また投資家の方には、建物のスペックなどをチェックした上で買っていただくのですが、私どもの建物は非常にグレードが高いとご好評です。そのため投資家の方への売却に関して、優位性があると考えています。
質疑応答:海外と比較して日本の仕入れと回収の乖離が大きいことについて
「海外と比較して日本の仕入れと回収の乖離が大きいと説明がありましたが、より詳細に説明していただけますか?」というご質問です。
海外と比較して仕入れと回収の乖離が大きいというのは、おそらくイールドギャップの話ではないかと思います。いわゆる不動産の利回りというのは、例えば、東京都心のマンションでの水準では3パーセント台となります。
さらに日本の場合は、ノンリコースローンの金利が安定的に1パーセントであるため、利回りとしては2パーセントから3パーセント開きます。そのような不動産の利回りと資金調達コストの利回りの間に格差のある点が、海外と日本の違いだと思っています。
日本では、特に東京圏の不動産については、海外投資家も注目して買っています。また円安が進んだことによって、海外の投資家が日本の不動産を買いやすくなっている状況でもあります。そのような意味で、海外の方からも日本の不動産が注目されているというご説明だったと思います。
質疑応答:マーケットがどのような規模で拡大するかについて
「今後マーケットは拡大する見込みでしょうか?具体的にどのような規模ですか?」というご質問です。
私どもで統計資料を持っているわけではないため、矢野経済研究所などの資料を参考にすると、直近数年のトランクルーム市場は、5パーセントくらい需要が増えているという統計が出ています。
2021年では約800億円の国内市場規模です。いろいろな推計がありますが、上位推計では2025年で1,039億円まで到達するという発表もあるため、3年後には1,000億円を超える市場規模になると言われています。
私自身としても、トランクルーム需要についてはまだまだ底堅いと思っています。先ほどの説明とも重なりますが、在宅時間も増えている今、住宅環境としてすっきりと部屋を使いたいという方が増えており、新たなお客さまにトランクルームを借りていただけます。
また、昔の私ども世代は、例えば大掃除の時に換気扇を掃除するなどの家事は自分で行い、外注することは考えませんでした。しかし、今の若い世代の方は、家事を外注することに関しても非常に合理的な考えをお持ちです。
このようなアウトソーシングにおいて荷物を別の場所に預けることに関しても、例えば荷物が増えたから、お金を出してトランクルームを借り、自分の部屋からそちらに荷物を預けるという合理的な考え方をする方が非常に増えていると思っています。
そのような意味で、家事代行サービスやトランクルームサービスというのは、今後も消費者の方のいろいろな選択の中で選ばれる可能性が高いと思っています。これからもトランクルーム需要は伸びていくと私自身は思っています。また、いろいろな統計の推計を参考にしても、今後も伸びていく可能性があると考えています。
質疑応答:資材高騰に関しての価格転嫁について
「資材高騰に関して、価格転嫁は難しいのでしょうか?」というご質問です。
私どもとしては、なるべく利用者の方にはお安く借りていただきたいと思っています。しかし、資材の高騰もあるため、一部値上げせざるを得ない状況だと感じています。他社の様子からも、今は値上げしているトランクルーム会社が増えてきているようです。
私どもとしても非常に心苦しいですが、資材高騰分を回収できない部分がでてきているような現状のため、値上げする部分が出てくると思いますが、ご容赦いただきたいと思っています。
質疑応答:シェア拡大について
「市場規模の中で、どのくらいのシェア拡大を目指していますか?」というご質問です。
シェア拡大についての実数を明確にお伝えするのは難しいのですが、私どもとしては先ほどお話しした物件開発において、引き続き年間30億円を超える規模での開発が可能だと思っています。
部屋数に関しては、これからも10パーセントから15パーセント以上増やしていきたいと思っています。具体的な数字ではなく強縮ですが、その中でシェアが少しでも増えていけばよいと思っているところです。
質疑応答:新たなトランクルーム付き物件の開発について
「トランクルーム付き物件は非常によい案件だと思っていたのですが、タスキとの新たなトランクルーム付き物件の開発などは今後されないのでしょうか?」というご質問です。
トランクルームがマンションに併設されている案件については、まだ土地が買えていないため具体的なことはお伝えできませんが、一部検討している案件もあります。
今までのトランクルームは、そこにお住まいの方専用の施設でした。しかし、これからは1階部分のトランクルームのセキュリティラインを調整し、お住まいになっている方を含め、ご近所に住んでいる方や外部の方でも、セキュリティを確認した上で使うというのも非常によい利用の仕方だと思っています。
タスキを含め、いろいろなマンションとの取り組みを今後も広げていきたいと思っています。件数として結果が出てくるのは遅いですが、トランクルームとマンションの組み合わせについては、今後も狙っていく分野として考えています。
荒川氏からのご挨拶
私どもとしては、これからもトランクルーム需要自体が伸びるであろうと考えています。また、実際にできあがったトランクルームを投資商品として買おうとしている投資家の方の意欲も非常に高いと思っています。
利用者の方がより使いやすく、清潔で非常に環境の優れたトランクルームを作り、これを投資商品として売却するという活動については、今後も実需が続くと思っています。また、日本経済が活性化する中で、東京都内に限らず地方においても、さまざまなオフィス需要が伸びていくと踏んでいます。
トランクルーム事業自体はニッチな産業ではありますが、お客さまが少しお困りのところを便利に使っていただくという意味では、非常に役に立つと考えています。
また、日本では四季に合わせて、また物を大切にするためにも、荷物をしまっておく場所が非常に大切だと思っています。これからも私どもとしては、トランクルーム事業を精いっぱい続けて拡大していきたいと思っています。
繰り返しになりますが、私どもの土地の仕入れのタイミングの問題で、第4四半期に売上が集中しているため、第1四半期、第2四半期、第3四半期が赤字で、投資家の方にはご心配な面もあるかと思います。しかし、おかげさまで今のところ事業計画としては順調に進んでいますので、第4四半期を楽しみにお待ちいただきたいと思っています。
本日は非常に長い時間にわたり、ご説明をお聞きいただき誠にありがとうございました。引き続き、私ども社員一丸となってがんばってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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