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欧州最大級「ジャパンエキスポ」、3年ぶり開催 約30万人の来場者で賑わう
3年ぶりに開催され約30万人の来場客でにぎわった「ジャパンエキスポ・パリ」。ジェトロブースでは、日本の伝統技術・カンナ削りの実演や木のストロー製作体験でSDGsを発信。[写真拡大]
世界最大級の日本文化の総合博覧会「Japan Expo Paris(ジャパンエキスポ・パリ)」が、7月14日から17日の4日間、パリ・ノール・ヴィルパント展示会場で開催された。
ジャパンエキスポは、アニメや漫画をはじめ、和食や伝統芸能などを幅広く紹介するヨーロッパ最大級の日本文化の祭典。毎年7月上旬にフランス・パリで開催されていたが、新型コロナウイルスの影響で2年連続中止となっていた。3年ぶりの開催となった今年のジャパンエキスポは、平日の昼間にもかかわらず、
前回を超える約30万人もの来場者が集まり、大盛況のうちに幕を閉じた。
コスプレ姿の若者などが行きかう会場内は熱気に溢れ、囲碁や将棋の体験ブースや、おにぎりなどの日本食イートインコーナーなど、まさに日本文化の縮図。そんな中でも、とくに来場者たちの注目を集めていたのが、独立行政法人日本貿易振興機構・ジェトロのブースで催された、日本の伝統技術である「カンナ削り」の実演と、SDGsを体感できる「木のストロー」の製作体験だ。
同ブースではまず、宮大工の会である「京都番匠保存会」によって継承され、京都無形民俗文化財にも登録されている「木遣音頭(京木遣)」が、同保存会の会長である山口喜由氏によって披露され、高らかな歌声と拍子木の音に誘われて見物客が続々と集まってきたところで、「カンナ削り」の実演が始まった。カンナ削りを実演したのは、木造建築を手がけるアキュラホームの社長である宮沢俊哉氏だ。元大工である宮沢社長は、自社の入社式や学校教育の現場にも赴いて「カンナ削り」を披露する、「カンナ社長」の異名を持つ名物社長なのだ。日本の伝統技術である「カンナ削り」を間近で見られる機会は、日本でもほとんどない。珍しい体験とその高度な技術に見物たちからは感嘆の声が上がった。
カンナ削りを見学した後は、「木のストロー」の製作体験だ。この木のストローは、カンナ削りから着想を得てアキュラホームが世界で初めて開発に成功したもので、間伐材を利用することで世界的環境問題であるプラスチックごみ問題と森林保全に貢献し、SDGsの達成目標17項目のうち14項目に寄与するアイテムとして、国内のみならず海外からも注目を集めている。2019 年に日本で開催されたG20の会合やドバイ万博で日本館のVIPのお土産としても採用されていることもあり、同社の来場者アンケートではブースを訪れた人の約2割がこの木のストローを「知っていた」と回答している。
そんな注目度の高いアイテムだけに、来場者も熱心に製作体験に挑んだようだ。来場者たちはインストラクターの指導のもと、渡された薄い木をゆっくりと型に沿って丸め、筒状にしていく。出来上がった自作の「木のストロー」で飲むドリンクはきっと格別な味がするに違いない。
未だ感染拡大が続くコロナ禍や、戦火の治まらないウクライナ侵攻など、まだまだ世界は混沌とした状況だ。しかし、その一方で、このジャパンエキスポのように以前の暮らしが少しずつではあるものの、戻りつつある。こういう明るい兆しや人の往来が、世界の平和や経済回復へのきっかけになることを祈りたい。(編集担当:藤原伊織)
※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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