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奥村組に覚える「株主、社員へのやさしさ」は、投資銘柄選択の一視点!?
奥村組(東証プライム)。免震技術やトンネル施工技術に定評の、中堅ゼネコンと評される。久方ぶりにエールを贈りたい総合建設企業に出会った。
【こちらも】前期「過去最高益記念配当」のディア・ライフ、今期はどんな展開か!?
前2022年3月期は「9.9%増収、1.8%営業減益」、今期計画は「2.3%の増収(2480億円)、33.6%の営業減益(84億円)」。この限りでは、「エールを贈りたい」を共有してもらえないと思う。が、「エール」の背景一口で言えば、「株主」「社員」に優しい企業である。前期は「32円増配172円配:配当性向51.5%」、今期は「3円増配175円配:74.8%」予想。
こうした株主配当の在り様に関して奥村組では、こう説明している。
「利益配分については経営上の最重要課題と認識している」とし、具体的にこう説明する。『総還元性向(配当総額+自己株式取得総額)÷(当期純利益):50%以上。そのために配当性向30%以上(業績にかかわらず安定配当45円を下限とする)、自己株取得の機動的実施を行う』。
企業の経営環境は、常に一定ではない。例えば今期の33.6%の営業減益は、「土木の手持ち工事は高水準だが、資材高が圧迫。建築は資材高や競争激化もあり粗利益率低下」と説明される。だがそうした環境下でも、前記の「利益配分姿勢の堅持」を打ち出せるのは俗っぽく言えば「財力(有利子負債に対し内部留保は、2.85倍)」ということになろうが・・・
2025年3月期に向けた中計でも、以下の計画を掲げている。
◆資本政策: 連結配当性向70%以上。DOE(自己資本配当率=年間配当総額÷自己資本)2.0%を下限とする。政策保有株式縮減:純資産の20%以下を目指す。売却代金は投資計画の原資とする。
◆投資計画: 総額500億円。
ちなみに収益目標も、「売上高2800億円:前期比15.5%増」「営業利益190億円:50.1%増」としている。
ゼネコンは売上高規模により3ランクに分類される。1兆円以上が「大手」、3000億円以上が「準大手」。そして奥村組が属する1500億円超が「中堅」。ゼネコンは総じて高収入。大手の場合40歳代半ばには年収1000万円を大方が超えている。では中堅ゼネコンはどうか。上位4社(奥村、T、T、T)の平均は853万円水準。中で奥村組は42.5歳平均で918万円。社員にも「優しい」企業と言える。
本稿作成中の時価は2900円台前半。予想税引き後配当利回り、4.8%弱。屈指の好配当率。予想PERも12.5倍と割高感はない。「株主」「社員」に優しい企業も、投資対象の選択肢ではないだろうか!?(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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