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秋から食品値上げラッシュ、値上げ率14% 2万品目に
帝国データバンクが「食品主要105社」価格改定動向調査。急激な円安など、コスト高を背景に価格改定を行うケースは引き続き増加[写真拡大]
この春から食品メーカー各社の値上げ発表が続いている。直近6月の消費者物価指数は総合で2.4%、4月から3カ月連続で2%を大きく超え、消費者の多くも物価上昇を強く実感しているようだ。コロナ禍からの経済活動再開に伴い、エネルギーや穀物価格など原価価格が世界的に高騰、春前は価格を据え置いたまま内容量を減らしたりするステレス値上げなどの企業努力が続いていた。しかし、3月からの急速な円安によって企業努力は限界に達し、春からの値上げラッシュとなった。帝国データバンクが毎月、食品主要メーカーの価格改定計画を調査しているが、これによれば秋以降値上げラッシュはさらに加速する見込みだ。
8月1日、帝国データバンクが「食品主要105社」価格改定動向調査の8月分を公表。副題は「食品値上げ、年内『2万品目』迫る。円安影響で記録的『値上げの秋』に」となっている。既に食品メーカーの値上げラッシュが起こっている中で、「食品各社でも年初に比べて価格改定への抵抗感は低下しており、躊躇なく機動的に値上げを行う企業・品目」が出てきており、コスト増分を価格に転化する動きは強まっているようだ。
上場主要飲食料品メーカー105社の価格改定計画(値上げ、実施済み含む)では、7月末までに累計1万8532品目の値上げ実施・予定が判明しており、このうち8月単月での値上げは2431品目に達し、単月で初めて2000品目を上回り値上げの勢いは増している。この勢いは秋以降も続き、10月には6305品目の値上げ計画が判明しており、現時点で単月としては年内最多となっている。6月1日に1万品目を突破してから2カ月間で新たに1万品目の値上げが判明しており、このペースで行くと8月中に値上げ品目数の年内累計が2万品目を超えるのは確実だ。
価格改定率は平均で14%となり、改定率も上昇傾向となっている。急激な円安を背景に、秋以降、値上げ幅は拡大傾向だ。既に年初に値上げを実施済みの品目で円安を理由に再値上げ・再再値上げとなっているものが秋以降に集中しており、これが秋以降の値上げラッシュを加速させる要因になっているようだ。食品分野別に値上げ率の平均を見ると、加工食品で16%、調味料が14%、酒類・飲料15%、菓子13%、原材料(製粉など)13%となっている。酒類・飲料を除き前回調査までより上昇しており、今後も値上げ率の上昇傾向は続く可能性がある。引き続き食品値上げの動向を注視する必要がある。(編集担当:久保田雄城)
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