大阪中之島美術館で「昭和の暮らし」を体感! 1970年代の実物大工業化住宅展示が話題

2022年8月11日 11:25

印刷

記事提供元:エコノミックニュース

大阪中之島美術館で開催されている「みんなのまち 大阪の肖像」では、1970年代当時の暮らしを再現した、実物大の工業化住宅が話題になっている

大阪中之島美術館で開催されている「みんなのまち 大阪の肖像」では、1970年代当時の暮らしを再現した、実物大の工業化住宅が話題になっている[写真拡大]

 夏休みも後半に差しかかり、宿題や自由研究の課題に取り組みはじめたという子どもたちもいるのではないだろうか。コロナ禍で迎える三年目の夏。春以降に感染が鎮静化していたこともあり、今年こそは、海へプールへと、久しぶりに夏休みを満喫できるかと思いきや、7月に入ってから感染者数がまた急増。物足りない夏休みと感じている子どもたちも多いのではないだろうか。

 そんな子どもたちと、その家族におススメしたいのが「アカデミックな夏休み」だ。

 海やプール、遊園地などのレジャー施設も良いが、こんな状況では感染も心配だし、心の底からは楽しみにくい。そこで人気が高まっているのが、美術館や博物館だ。

 美術館や博物館は室内のため、コロナの感染が気になるという人も多いかもしれない。しかし、これらの施設では当然、感染対策は万全にされている上、密にならないように入場者数の制限などを設けているところも多い。しかも施設の性質上、そもそもコロナ禍でなくても大きな声で会話することがはばかられる場所だ。低学年の子どもが大声を出して走り回るようなことも、ほとんど見られない。その上、学ぶことが目的なので、お出掛けすることへの抵抗感も少なくて済み、気持ちのうえでも、スッキリ楽しめることだろう。

 例えば、大阪では今年2月に開館したばかりの「大阪中之島美術館」が人気を集めている。

 大阪中之島美術館は、美術館構想の発表から約40年、そして1990年に準備室が設置されてから30年以上もの年月をかけて誕生した、19世紀後半から現代までの美術とデザインを専門とする美術館だ。大阪に集積する家電企業・住宅建材企業などの工業デザイン製品の「記憶」と「記録」(製品の情報)を蓄積・紹介する「インダストリアルデザイン・アーカイブズ研究プロジェクト」(IDAP)を推進しており、大阪の精神に倣った既存の美術館の枠にとらわれない展示や活動、さらには新しい創造活動の発掘や支援を行っている。

 そんな大阪中之島美術館でこの夏、開館記念展として開催されているのが、地元大阪をテーマにした「みんなのまち 大阪の肖像」(会期:2022 年4月9日から10月2日)だ。同展覧会は2期に分かれており、 7月3日までの第1期は、明治・大正・昭和戦前の時代を背景とした『「都市」への道標』、そして8月6日からは、昭和戦後・平成・令和時代を彩る『「祝祭」との共鳴』が開催されている。

 現在開催中の第2期の中でも、とくに見どころは、何と館内に実物大で展示されている1970年代の工業化住宅だ。これは同展に特別協力企業として参加している住宅メーカーの積水ハウスが建築した。当時の住空間を再現するため、当時完成した鉄骨を用いた工業化住宅で現在の同社のベースとなる躯体システムや、複数の居室とリビング・ダイニング・キッチンが一体となったプラン展開、さらには住宅建材、設備メーカーらも多数協力し、「新建材」と呼ばれた内装材によるインテリアを実空間で展示。住宅内には当時の家電製品など、当時の暮らしが忠実に再現されており、中に入ってじっくりリアルに体感することができる。

 戦後、家庭向け電化製品を国内外に広く供給し、「家電王国」といわれた大阪。その豊かでモダンな暮らしの象徴の一つでもあり、後の住まいのスタンダードとなったのが大阪発の「工業化住宅」だ。また、1970年といえば、前回の大阪万博が開催された年でもある。同美術館では、大阪万博の太陽の塔で知られる岡本太郎の芸術人生を振り返る「展覧会 岡本太郎」も併催される。2025年に大阪・関西万博を控える中、当時を知る大人はもちろん、当時を知らない世代や子どもたちにとっても、歴史を肌で感じることのできる貴重な機会となるのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)

■関連記事
コロナ禍3度目の夏、「痺れ切らした帰省」が急増。「いつになったら帰省できるかわからない」
コロナ禍3年目の夏。親子で取り組める、SDGsな夏休みコンクールのススメ
今年の夏は電気代がコワイ・・・? 夏の “おうち時間“が増加傾向

※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

関連キーワード

関連記事