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中国人の日本不動産買いの背景は中国の「共同富裕政策」と、円安進行
中国人の「日本不動産買い」が指摘されている。だが実態についての公的資料の類はない。一方で指摘が事実なら、円安進行はかっこうの後押し材料になる。「実態」を知るべく、資料を探し回った。まず、こんな報道を知った。
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中国最大の検索エンジンを提供する百度グループのメディア:百家号が2021年11月19日に、『日本の不動産が頭角を現してきた理由』と題する記事を掲載している。その内容は要約すると、こんな具合になる。
<中国人や香港・台湾の中華圏の投資家が投資先として、日本を強く意識するようになった。これまでの欧米に代わり若い投資家を中心に、日本のホテルや民泊に興味を高めている>。
何故か。
<中国では基本的に土地を購入・保有する権利がない。建屋然り。恒久的に“自分のもの”になるわけではない。が、日本の不動産なら所有権が手に出来、永続が可能だ。子・孫に相続が可能な点が大きな魅力になっている>
<欧米など他の国に比べ、価格も取得税も相対的に割安。外国人の不動産所有に対する規制が、原則的にない>
頷ける。ましてや円安進行が進む中では、魅力は増幅しよう。
ただ、背景はそれだけだろうか。大手不動産業者から、こう聞かされた。
「習近平率いる中国の『共同富裕政策』の結果と、捉えることが出来る」。
共同富裕政策はいわば、かつて日本でも叫ばれた「1億、総中流時代」に相当する。習・中国共産党は「共産主義国にふさわしくない富裕層(ブルジョワ)」を狙い撃つ政策を進めている。その理由は、中間層を厚くするためにだ。
だがこれが富裕層には不満。「せっかく苦労して築き上げた財産を奪われたくない。座して略奪されるのを待つのは、愚の骨頂。永久に自分のものにしたい」という思いが強い。コストパフォーマンスが(円安で)一段と良好になったことから、日本の不動産投資への投資資金として増えているというのだ。
実際にどんな投資が見られるのか。ちなみに不動産サービス大手CBREの調査では、「21年の日本の不動産投資額の約3割を、海外投資が占めている」という。
私も情報を得るために会員登録している「楽待」(ファーストロジックが開発し提供している、国内最大の不動産投資サイトが運営)に、例えばこんな実例が紹介されていた。
<<日本に移住して8年目の丘主(おかぬし)さんは、中国の代表的なSNS「小紅書(シャオホンスウ)」などを使い日本の不動産を買いたい中国人投資家向けに、コンサルサービスを提供している。1カ月に100件近い問い合わせや相談が寄せられる。丘主さんは、上海の物件を買って賃貸で運用しても利回りはせいぜい1%ぐらい。土地が高いとされる東京でも、4%ぐらいには回るとしている>>
中国人による日本の不動産投資は、今後どうなっていくのか!?(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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