関連記事
ハイボット、ヘビ型ロボットで施設点検 三井化学の大阪工場で
ハイボットは12日、三井化学の大阪工場で多関節ロボットアーム「Float Arm(フロートアーム)」による施設の遠隔点検を行ったと明らかにした。Float Armは、複数の関節により密集する設備の隙間を通って画像撮影などを行えるヘビ型のインフラ点検ロボット。欧州にある工場での点検実績を踏まえて実施されたもので、国内施設での点検は今回が初となる。
【こちらも】三菱重工業はプラント巡回点検防爆ロボット「EX ROVR」第二世代機の開発を完了
ハイボットは、先端科学技術の産業応用を目的として2004年に設立された、東京工業大学発のベンチャー企業。主に、発電所や化学プラント、工業用ボイラーなどのインフラ設備の点検・維持管理を担うロボットやAIを自社開発し展開してきた。特に、狭い・汚いなど人が入りづらい場所や、高所など危険を伴う場所、配管などの点検ロボットに強みを持つ。
今回点検で用いられたFloat Armもその1つだ。Float Armでは、バネの弾性力で重さを支える自重補償機構を独自開発し、最大5メートルのアーム長と、9つの関節によるヘビのような動きを実現している。
アームの動作は遠隔操作が可能で、先端には3Dセンサーを搭載、高解像度カメラなどの設置もできるため、狭く見通しの悪い場所でも点検が可能という。また質量は35キログラムと軽く、分解・組立が可能なため、高所作業車など既存設備にも設置しやすい作りになっている。
三井化学の大阪工場では、Float Armを用いて高さ20メートルの鉄塔の高所で点検を実施。Float Armが、点検設備をスキャンして3Dデータを取得し、3次元マップを生成。それをもとに密集する設備の隙間を通り、該当箇所の画像撮影を行ったという。該当箇所は、通常では足場がないと点検が困難な場所だったというが、ロボットを活用し遠隔操作で実施した。
ハイボットでは、AIを搭載した点検データのプラットフォーム「HiBox(ハイボックス)」も展開しており、今回の点検でも提供。HiBoxでは、Float Armなどが点検作業時に取得した画像や、センサーの計測データを収集して分析を行い、点検レポートを出力する。データの蓄積も可能。また測定データに基づいて、AIが故障や不具合を予測する機能もある。
ハイボットがロボットを軸としたインフラ設備の点検サービスを本格開始したのは、2020年3月頃。同社はそこからを第2創業期と位置づけ、みらい創造機構や芙蓉総合リース、東京パワーテクノロジー、荏原環境プラントなどと順次資本業務提携を結び、増資を行ってきた。三井化学でのFloat Armによる点検サービス実施を皮切りに、今後国内展開が拡がっていく可能性も見込まれる。(記事:三部朗・記事一覧を見る)
スポンサードリンク