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夏のボーナス、中小では8割が支給 景況感は戦争・原価高騰で2極化
エン・ジャパンが「2022年の夏季賞与についてアンケート調査」。支給予定の中小企業は77%と21年と同水準に[写真拡大]
コロナ禍、春から経済活動の規制が大幅に緩和され、ほとんど業種で業績の改善傾向が見られ、今夏のボーナス支給の状況は概ね良好のようだ。一方で、世界的な経済活動の再開によって需給ミスマッチが生じエネルギー価格や穀物価格の高騰を中心に原価高騰が起こっている。これに加え日本国内では再び人手不足が深刻化し、人材の確保を目的とした人件費高騰が生じ、さらにウクライナ侵攻以降の急速な円安で輸入原価の上昇傾向が生じている中、十分な価格転嫁ができず、利益を圧迫されている企業が多数派を占めている。にもかかわらず、人手不足を背景に、従業員の引き留めやモチベーションの向上を目的として、中小企業も今夏のボーナス支給には積極的なようだ。
6月上旬、エン・ジャパンが自社の運営するプラットフォーム「人事のミカタ」上で企業の人事担当者を対象(有効回答:365社)に「2022年の夏季賞与についてアンケート調査」を実施、その結果を15日に公表している。「今夏の賞与の支給予定」について尋ねた結果では、77%の中小企業が「支給予定」と回答、昨年21年の同調査80%と僅かに低下したが同水準の結果だ。業種別に見ると、「メーカー」が89%と最も多く、「商社」が82%、「不動産・建設関係」82%、「流通・小売」76%と続いている。円安効果でむしろ利益を受けた業種ほど上位に来ている印象もある。最下位は「広告・出版・マスコミ関連」の54%で業態改善が求められている業種が目立っている。
「景気回復を感じるか」という問いに対しては、「感じる」と回答した企業は31%、「感じない」との回答は35%で、それぞれ3社に1社程度となっており「景況感」は2極化しているようだ。昨年との支給額の比較では、27%が「増額予定」、「代わらない」56%、「減額」12%と回答しており、必ずしも成長の方向への力強い動きは見られない。「増額予定」の理由を聞いた結果では「社員の意欲向上」が56%、「業績が好調」55%となっており、コロナ明けの業績回復の中、人材を引き留めようとする企業の意図も垣間見られる。
景況感を感じない企業の自由回答欄を見ると、「原材料価格の上昇により利益幅の減少が見込まれる」(メーカー)、「急激な円安とガソリン高によるコストの増大」(卸売業)など原価高騰の影響をあげる企業が目立っており、景気回復も原価高で利益が圧迫され賞与支給も積極的になれない企業も少なくないようだ。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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