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トラック運転手が切望する、日本版ウォルマートの出現
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5月22日の時事通信が『日本を襲う物流危機、3割運べず? 損失年10兆円、カギを握るDX化』と題する、岩嶋紀明記者の記事を配信した。
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要約すると、「コロナ禍でネット通販の利便性が再確認された。だがそれを支える物流網はドライバー不足や効率化の遅れで深刻な輸送力低下に直面している。2030年には営業用トラックなどで輸送している貨物の約36%が運べなくなるという推計もある。政府も最大で10兆円を超える経済損失が発生しかねないと危惧している。危機の克服の鍵はDX」というもの。ではDX化はどう進めるべきか、については表題で検索し岩嶋記者の記事で確認して欲しい。説得力がある。
が、私は記事を拝読し、岩嶋氏も指摘している「他業種と比べトラックドライバーの低賃金水準、約2割長い労働時間が敬遠され、不足が深刻化している」という点に着目した。というのも4月14日にフォーブス日本版が発信した『トラック運転手の年収、新人でも最高1400万円に 米ウォルマート』という記事を読んでいたからだ。
深刻なトラック運転手不足は米国も同様。対して米国最大の小売業:ウォルマートが、自社のトラック運転手の年俸を初年度から最高11万ドルを支払うと発表したとする記事だった。
日本の行政はトラック運転手の「過剰労働時間」に、どう対応しているのか。
国交省は『自動車運転業務に係る時間外労働の上限規制の適用に向けた取り組み』を示している。
★上限制限を2019年に設けた。が、24年3月31日までを執行猶予期間とし、以降は法律に基づく罰則規定付きで実施される。上限規制は実に労基法制定(1947年)来、初の大改革。
★残業時間の上限は原則として、月45時間・年360時間。1日当たり約2時間の残業。
★臨時的な特別な事情があって労使が合意した場合でも、「年720時間以内」「複数月平均80時間以内(休日労働を含む)」「月100時間未満(同)」を超えることはできない。また、原則月45時間を超えることができるのは年間6カ月まで。
一方、賃金に関しては「目標」「指導」を含め全く定めはない。民間企業に属する労働者である以上、当然と言えば当然だが・・・
我々が日々の生活の中で最も接するトラックドライバーと言えば、宅配便の運転手。
念のためヤマト運輸の賃金・処遇を覗いてみた。ドライバーは所定のエリアを勤務場所としており、エリアによって差異はある。例えば37歳・勤続18年・豊橋市在住のドライバーの場合:月給37万5000円。賞与年2回(2019年度実績、約6カ月)。ヤマト運輸の発表資料には「退職金は無論、福利厚生面でも業界トップクラスの厚待遇」と記されていた。
全日本トラック協会の調査(21年)では、こんな実態が明らかにされている。特積(不特定多数の荷主企業の貨物を1台の車輌にまとめて積み、全国規模で輸送する)ドライバーが年間賞与1カ月平均額を加え38万4900円(前年比1.8%減)、一般(特積以外)が36万900円(2.9%減)。協会では他業種と比較して云々には、全く言及していない。
物流の危機が指摘される中DX化の推進は不可欠。だが同時にトラックドライバーの収入面にも目を向けざるをえないと思う。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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