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相場展望5月2日 『悪い円安』に誘導する日銀、岸田政権の無策の愚 『米金利高』が、「高PERのハイテク株を直撃」
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)4/28、NYダウ+614ドル高、33,916ドル(日経新聞より抜粋)
・好決算発表のメタが+18%と急伸し、売られていた主力ハイテク株に買いが広がった。
・メルク、マクドナルドなどの好決算銘柄が買われたのも、相場を押し上げた。
・中国経済の減速懸念から売られていた中国売上比率の高いナイキが+5%高、原油高でシェブロンも高く、消費関連のホームデポやビザなども買われた。
・もっとも、市場では「米連邦制度理事会(FRB)の金融引締めへの警戒感に加え、世界経済の不透明感も強く、相場の変動が高い状態は当面続きそう」との指摘がある。
【前回は】相場展望4月28日 米金融引締め効果:ナスダック主導で下落する米国株 市場の特徴:好材料には小さく、悪材料に大きく反応
2)4/29、NYダウ▲939ドル安、32,977ドル(日経新聞より抜粋)
・4/28夕にネット通販のアマゾンが1~3月決算発表したが、赤字決算・売上げも市場予想に届かず・保有株の評価損・4~6月期の見通しも冴えず、株価は▲14%急落。それにより投資家心理が悪化しハイテク株に売りが波及した。米金融引締めや世界景気の減速なども相場の重荷となり、NYダウは取引終了間際に▲1,000ドルを超える下落場面があった。
・インテル▲7%、セールスフォース▲5%、マイクロソフト▲4%、アップル▲4%。
・米連邦制度理事会(FRB)は5/3~4の米連邦公開市場委員会(FOMC)で通常の2倍の+0.5%の利上げと、2005年5月以来の保有資産の縮小開始決定の見通し。積極的な金融引締めに対する警戒感から、リスク資産の株式を売る動きが続いた。
・中国の感染拡大で供給網が混乱、ウクライナ紛争に伴う世界景気先行き不透明も要因。
・投資家心理を測るVIX恐怖指数は33と高く、NYダウ月間下落率は▲4.9%と2020年3月以来の大きさだった。
●2.米国株:FRBによる金融引締め効果による「金利高」が高PERのハイテク株を直撃
1)4/29主要株価指数(前日比):NYダウ▲2.77%、ナスダック総合▲4.17%、SP500▲3.63%、
ラッセル▲2.81%、半導体株指数(SOX)▲4.47%
2)投資家心理を測るVIX恐怖指数は、高値圏入りの20を超え、4/29に33.4となった。これは「売られ過ぎ」として買い戻し? 「売りの過程」としてさらに下落? 要注目。
3)4/29は債券利回りが低下したが、リスク資産の株を売って、相対的に安全資産の債券が買われたため金利低下しただけで、一過性であり、金利上昇基調に変化はない。よって高PERのハイテクは売られやすい傾向は今後も続くと思われる。
●3.米雇用コスト指数、前年比+4.5%上昇過去最大、インフレ懸念さらに深まる(ブルームバーグ)
●4.米3月個人消費支出価格指数(PCE)は前年比+6.6%、前月+6.35%から加速(ロイター)
1)1982年以降で最も高い伸びを記録した。
2)変動の大きい食品とエネルギーを除くコアPCMは前年比+5.2%。
●5.米4月シカゴ購買部協会景気指数(PMI)56.4と、3月62.9から予想以上に低下(フィスコ)
●6.米4月ミシガン大消費者信頼感指数65.2と、予想65.7から下方修正(フィスコ)
●7.米1~3月期GDPは前期比▲1.4%減、2020年4~6月以来のマイナス成長(朝日新聞)
●8.米アマゾン、1~3月期▲5,030億円の7年ぶり赤字、新興EV投資急落で評価損(時事通信)
●9.ロシアvsウクライナ関連
1)英シェル、ロシア産原材料とする石油製品の販売停止(ロイター)
2)日本JT、ロシアでシェア37%の有力事業の売却を検討、現在は停止中(読売新聞)
3)米エクソン、「シベリア1」撤退関連費用4,400億円計上(読売新聞)
●10.ユーロ圏の消費者物価指数+7.5%上昇、過去最大の伸び率更新(NHK)
1)ロシアによるウクライナへの侵攻を背景に、エネルギー価格の高騰でインフレが加速。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)4/28、上海総合+17高、2,795(亜州リサーチより抜粋)
・中国政府による経済対策への期待感が相場を支える流れとなった。
・新型コロナ感染対策による景気冷え込みの警戒感が根強い中、国務院は、雇用の安定化に向け、より強力な政策を講じる方針を確認した。ただ、上値は限定的。
・再び通貨安が加速したことや、コロナ対策の行動規制が長期化するとの不安が重石。
・業種別では、エネルギーが相場を牽引し、不動産・銀行・酒造・自動車が買われた。反面、小売関連が冴えない、医薬品・メディア・素材・保険証券が売られた。
2)4/29、上海総合指数+71高、3,047(亜州リサーチより抜粋)
・中国政府の経済対策への期待感が強まる流れとなった。
・中国共産党は4/29、習近平・総書記(国家主席)の主宰で中央政治局会議を開き、経済情勢と政策活動の検討を行ない、成長促進のための景気刺激策の強化を言明。
・新型コロナ感染対策による景気冷え込みの警戒感が根強い中、政府は雇用やインフラ投資、消費振興などに向けた対策を矢継ぎ早に発表している。
・メーデー連休(本土市場は5/2~4が休場)を控える中、後場に入り一段高した。
・業種別では、消費関連の上昇が目立ち、ITハイテクも急伸、不動産も高い。
●2.中国4月購買担当者景況指数42.7、3月48.8から低下、ゼロコロナ規制で打撃(ロイター)
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)4/28、日経平均+461円高、26,847円(日経新聞より抜粋)
・デンソーやジェイテクトなど好決算銘柄を中心に買われ、日銀の大規模金融緩和策の維持発表で円安が進むと、自動車・機械などの輸出関連株にも買いが入り、売り方の買い戻しも加わって相場を押し上げた。
・中国で新型コロナ感染拡大が一服してきたとの見方から、中国経済の減速への過度な警戒が和らぎ景気敏感株の支援材料となった。
・フジクラ+15%高、アドテスト・TDKが買われ、日立建機・ファストリが下落。
2)4/29、祝日「昭和の日」で休場
●2.日本株:「悪い円安」にしたのは、(1)円安誘導の日銀、(2)無策の財務省、(3)「検討使」の首相
1)5月主な行事
・米国 5/02 米4月ISM製造業景況指数、米4月製造業PMI
5/04 FOMC(利上げ・QT)会見
5/06 4月雇用統計
・日本 5/10 決算:住友商事、伊藤忠商事、三菱商事
5/11 決算:トヨタ自動車、ソフトバンクG
5/13 決算:三井住友FG、みずほFG
2)「悪い円安」にしたのは、(1)円安誘導の日銀、(2)無策の財務省、(3)「検討使」の首相
(1) 約2カ月で▲15円程度の円安。 2020年3/9の102.25円から▲27.83円の円安。
「悪い円安」の定義:
・円安が進むと輸入物価が上昇するが、企業は値上げで転嫁できない。
・賃上げ幅が小さくて、商品・サービスの値上げ幅を超えられない。
「悪い円安の結果」:日本経済は萎縮し、世界の中でさらに沈滞へ
・輸入物価上昇でインフレ急加速 ⇒ 企業収益圧迫、家計負担増(低い賃上げ) ⇒ 消費支出抑制 ⇒ コスト増と値上げ不発で企業活動低迷 ⇒ 日本経済縮小による景気後退 ⇒ 世界の投資家による日本売り加速
(2) 日銀の『大規模金融緩和の継続』と同日の『低金利誘導の実行』が、円売りを呼び4/28の1日だけで▲2円もの円安を招き、20年ぶりの130円台に。
・識者によると135円~150円説まで飛び出てきた。
・黒田・日銀総裁が招いた、急激な円安の流れ
・黒田総裁発言「円安は経済・物価ともにプラスに作用する」(国会答弁)。金利差を意識する投資家たちは「円売りサイン」と敏感に反応する傾向が強まる。
・日銀は4/28、金融緩和継続を決め、驚きの指し値オペで「低金利誘導」も続行 ⇒ 黒田発言と行為は、日銀の意思は「金利上昇ストップ」と表明したということ。 ⇒ 低金利水準維持が日銀方針だと市場に伝える、円安進行を容認したと認識。 ⇒ 日米金利格差はさらに拡大すると市場は見た。 ⇒ 円売りを再び呼び込む。
3)物価目標+2.0%達成が見えた+1.9%になっても、金融緩和継続で「日本売り」、何故?
・黒田・日銀総裁が「円安は日本経済にプラス」と言ったが、根拠の説明を求めたい。
・今の日銀総裁は、大蔵省出身だけに、国債の利子負担(国の財政負担)は見ているのだろうが、国民の生活苦は見ていない。日銀は、財務省の日銀支所。官邸の日銀支局と言われる所以。
4)岸田首相から、多くの国民・国家・企業が苦しむことになる「悪い円安」退治に向かう姿勢が感じられないのは残念だ。発言しても「空念仏」にしか聞こえてこない。「新資本主義」を掲げて昨年秋に首相就任したが、いまだに「検討中」であり、進取の志を持った「遣唐使」ではなく、「検討使」のレッテルを貼られないように願う。
5)日本が高度成長時代には、世界のGDPの18%を日本が占めていた。日本のGDP成長は停滞し、世界の成長は著しく、今や6%程度にまで低下している。その弱った日本に「悪い円安」が追い打ちの鞭となって襲いかかっている。日本企業は、生産性が低くコスト高で競争力の衰えた日本での製造に加え、人口減少・高齢化で消費拡大が望めなく減退する日本を離れ、中国や東南アジアに投資し最新鋭機器を持ち込んで、コスト競争力のある生産活動をしている。日本企業は中国の貿易黒字に寄与したことが、中国の拡張政策・軍事費増大にも貢献した。かつ、日本は日系の中国製品を円安で高価輸入をして日本の貿易収支悪化を招いている。そして、残された日本では耐用年数を大きく過ぎた旧式の生産性の低い製造装置でコストの高い生産をしている。これでは、日本はますます競争力を失い、世界で弱体化していく。
6) 日本の政治家は、悪化する日本の財政健全化を放置して、消費税の増税分も当初目的から外れた選挙対策のバラ巻き財源にしてしまっており、財政健全の先行きは不透明だ。慢性的財政悪化のため、前向きな歳出ができず、日本の構造改革進行を阻害している。そのような日本から日本企業は脱出を加速し、日本から海外に国籍変更したノーベル賞受賞者が増える傾向にある。今、待ったなしの政策の『第一歩』は、『悪い円安』からの脱却ではないか。そして、『日本沈没から脱出』するための『日本再生』が必要ではないだろうか。日経平均の株価動向は、『日本再生』の鏡である。
●3.日銀は4/28、物価見通しを+1.9%に引上げ、現在の大規模金融緩和は継続(読売新聞)
1)ロシアのウクライナ侵攻で、インフレに拍車(NHK)
●4.電気・ガス料金6月値上げ、電気代は5年間で最も高く、7・8月もさらに上昇か(TBS)
●5.企業動向
1)ニップン 家庭用小麦粉やパスタなど156品目を7/1から6.7%値上げ(FNN)
2)ニトリ エディオンと資本提携、商品拡充へ(FASSONSMAP)
3)山崎製パン 141品目を7月に7.1%値上げ、今年2回目(共同通信)
4)王将フード 14品目を5/14から22~33円値上げ(共同通信)
5)リコー 富士通からスキャナー事業を840億円で買収(ロイター)
●6.企業業績
1)JR東日本 2022年3月期純損失▲949億円、前年▲5,779億円、鉄道利用低迷(時事通信)
2)ANA 2022年3月期赤字▲1,436億円、旅客減続く(時事通信)
3)デンソー 2022年3月期純利益+2,639億円、前期比+111.0%増(Response)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・2928 RIZAP 業績急回復。
・3086 Jフロント コロナ規制緩和で業績回復。
・3091 ブロンコビリー 業績回復期待。
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