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ノーベル賞級の研究は、過去の業績に関係なく突然発表される 筑波大の研究
日本は世界有数の科学技術立国とされており、ノーベル賞受賞者も多数輩出してきた。その一方で、期待されたような成果を得られずに消えていった研究も多く、イノベーションに繋がる研究との違いについても明らかとなってこなかった。
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筑波大学の研究グループは21日、ノーベル賞級の萌芽的トピックは、過去の業績に関係なく少人数のグループが突然発表する傾向が強いことが明らかになったと、発表した。研究グループでは、特に生命科学や医学の分野で、萌芽的トピックの原動力になるものについて数量的な解析で調査をしていた。
研究の現場で新たな研究トピックが萌芽することによって、その研究トピックが発展し技術的なインパクトを社会に引き起こす。これまでも過去半世紀に出版された全論文を対象として調査が行われ、ノーベル賞級の萌芽的トピックは他のトピックと比較して異なる傾向が見られていた。
一般的には既存のトピックから新たな萌芽的トピックが創出されることが多いが、ノーベル賞級のトピックにはそれが当てはまらない。そこで、その原動力となるものについて調査を行うため、萌芽的トピック創出前後の5年間に着目して、より詳細な解析が行われた。
その結果、ノーベル賞級のトピックの場合は、ごく少人数のグループが事前の論文発表を介さず発表される傾向が強いことが明らかになった。一般的な萌芽的トピックの場合はそこまでは少人数でなく、事前に関連トピックの論文発表を継続的に行っていることが多い。この結果から、ノーベル賞級の研究成果を創出するためには、過去の研究業績を評価指標として用いるのは有効でないことが示唆されている。
また2000年以降になって出てきた傾向として、別の研究グループが萌芽したトピックに参入することが少ない点が挙げられる。つまり、一度萌芽したトピックは同じ研究グループが継続的に研究する傾向が顕著になってきたということである。
特に生命科学や医学の分野では莫大な資金が必要となるため、投資対効果を考えるうえで今回の調査結果は非常に重要である。また、今後は研究費の大きさと萌芽的トピックの創出との関係についても、調査が進められることが期待される。
今回の研究成果は20日付の「Scientometrics」誌のオンライン版に掲載されている。
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