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過剰な恐怖心を未だに引きずる、「新型コロナウイルス」対策の行方は
国立社会保険・人口問題研究所がまとめた、新型コロナウイルス感染症による死亡者の性別・年齢別の一覧表がある。21年12月20日現在の一覧表には、新型コロナウイルス感染症による凡そ2年間の死亡者が、性別・年代別に記載されている。
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便宜的に男女を合算して年代階層別に死亡者数と構成比を記載すると、0~39歳100人(0.54%)、40代248人(1.35%)、50代713人(3.88%)、60代1312人(7.14%)、70代3462人(18.84%)、80代5905人(32.14%)、90歳以上2940人(16.00%)となっている。別に非公表として3692人(20.1%)が記載され総計では1万8372人になるので、1年平均では9000人強となる。
新型コロナウイルス感染症による死亡者のうち、80代以上の占める割合が合計で48.14%と50%に迫る状況で、70代も含めると66.99%となり、3分の2強を70歳以上が占めている。60代まで幅を広げると、実に4分の3近い74.13%にもなる。
厚生労働省の集計によると、20年の日本人の平均寿命は女性が87.74歳、男性が81.64歳だ。平均寿命とは、新しく生まれた零歳児が平均すると何歳まで生きながらえるかを現す指標なので、現在81歳の男性が1年以内にどうなると意味するものではないにしても、凡その目安として日本人の意識に根付いている。
つまり新型コロナウイルスでの死亡者の半数近くは、平均寿命である80台以上の高齢者だということになる。年齢を積み重ねて基礎疾患という持病を抱える人が増えることを考えると、新型コロナによる死亡者とされている人たちの半数は、寿命を全うしている人達ということになる。
基礎疾患を患いながら新型コロナに感染して死亡した場合、新型コロナが基礎疾患を悪化させて死に至ったのか、新型コロナが直接の原因だったのかを判定することは難しいと思われる。コロナ患者だった死者を解剖して死因を判定した例があったかどうかは不明だが、解剖医が感染する恐れがあることを考えると、そんな例はほとんどないと見るべきだろう。
新型コロナに罹患していた人が亡くなった場合に、死因がほとんど自動的に新型コロナと判定されていると、新型コロナで亡くなったとされる死者数が、結果的に嵩上げされて膨らんでいると見るのが妥当だ。
加えて、毎年冬季間に発生するインフルエンザの患者がこの2年間ほとんど確認されていない。インフルエンザ関連死が年間1万人程度発生していたと伝えられることを考えると、インフルエンザ関連死が新型コロナ関連死に置き換わっただけのようにすら考えられる。
「オミクロン株」に関しても感染力が強い面ばかりが強調され、重症化リスクが低いという面が忘れ去られているようだ。今更「まん延防止等重点措置」の対象地域が設定されるのはポピュリズムに近い。対象地域の住民に阿(おもね)る首長の右往左往に、腰の据わらない政府が動かされているように見える。「新型コロナウイルス」という言葉に、条件反射的な恐怖心を抱かせるマスコミやワイドショーの責任は重い。
政府の分科会でさえ「感染力は強いが重症化リスクは低い」という認識を示したのだから、「ウイズコロナ」へ方針転換する絶好のタイミングだった。海外からの渡航者を締め出して「令和の鎖国」を続ける日本の、夜明けはいつになるのか?(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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