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22年度の賃上げ、「実施予定」5割 「税制優遇あれば」8割
帝国データバンクが「2022年度の賃上げに関する企業の意識アンケート」。「税制優遇幅に関わらず賃上げを行う」企業は48.6%、「税制優遇が大きければ」79.4%。ポストコロナ、人手不足が背景。[写真拡大]
コロナ禍での消費低迷が続いている。一方、世界経済の回復を受け、日本のマクロ経済も回復基調で推移しており、業種により業績は二極化している。景気の回復で企業物価は高騰しており、既に国内の消費者物価もプラス基調で、さらなる節約ムード、消費低迷となりそうだ。政府は2022年度税制改正で賃上げ企業の税制優遇を実施し、消費拡大を促して経済成長につなげようとしている。これに対しては懐疑論も多く、所得増加分の多くは貯蓄にまわり、むしろ設備投資を阻害するとの意見もある。しかし、多くの企業はポストコロナでの需要増を見込んでおり、経済活動正常化による人手不足を克服する観点からも賃上げには積極的なようだ。
11月16日、帝国データバンクが11月上旬に行った「2022年度の賃上げに関する企業の意識アンケート」(有効回答:1651社)の集計結果レポートを公表している。これによれば、22年度中に「税制優遇幅に関わらず賃上げを行う」と回答した企業は48.6%と半数近くに達し、さらに「税制優遇が大きければ行う」(8.5%)、「税制優遇が大きければ検討する」(22.3%)という条件付きも含めると8割近い79.4%の企業が賃上げに前向きだ。一方、「税制優遇幅に関わらず賃上げできない」との回答は8.1%、「分からない」12.5%となっている。
「税制優遇幅に関わらず賃上げを行う」と回答した企業を規模別にみると、大企業では53.6%と半数を超え、中小企業でも47.9%と約半数に達している。しかし、財務力が比較的弱い小規模企業では37.6%と全体の48.6%より10ポイント以上も低くなっており、また「賃上げできない」と考えている企業が13.5%と全体の8.1%を大幅に上回っていて、小規模企業の多い飲食業や観光業などコロナの悪影響を受けた業種ではしばらく苦しい経営環境下に置かれ業種間格差の拡大も懸念される。
この調査によれば、約半数の企業が政府の税制優遇策の程度に関わらず賃金の引き上げを予定していたようだ。その背景については「新型コロナウイルスの影響で緩和した人手不足感が再び高まりつつあるなか、多くの企業では従業員の定着・確保が再び重要な課題として浮かび上がって」いる、とレポートは分析している。また、賃上げが家計の支出拡大を促し、企業の売上増につながり「賃上げの実施で経済の好循環が生まれれば景気回復への道は遠くない」とレポートは期待している。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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