ビットコイン相場は安定期に向かうか ヒストリカルボラティリティが低下傾向

2021年11月12日 08:17

印刷

 2021年4月12日に665万円超えの史上最高値を刻んだビットコインだが、その後大きな調整相場に入り、一次はビットコイン黎明期の終焉などと噂されたこともあった。だが夏場に、エルサルバドルでビットコインを法定通貨化とする法が成立。ツイッターのジャック・ドーシーCEOによるビットコイン導入発言もあり、ファンダメンタルでは良い条件が出たことでトレンドが転換した。

【こちらも】エルサルバドルのビットコイン法定通貨採用、波乱のスタートに

 11月11日現在、771万9592円の高値更新をしつつ同日に740万円を切るという荒っぽい値動きを見せている。この日だけを見るならば、ビットコイン相場は高いボラティリティをもつギャンブル相場に突入したと期待する投資家もいるだろう。

 だが、この1年間の値動きを確認していただきたい。280万円あたりから始まった相場は、4月に665万円の史上最高値でピークアウト。その後365万円を切るまで下落して、そこからV字回復で11日の771万円越えの記録更新を果たす。つまり、年初の280万円から7月の365万円を結ぶ下値抵抗線を描く、右肩上がりのボックス相場を形成している感じだ。

 これは、相場が安定期に見せる穏やかな値動きと言えるかもしれない。しかも、ヒストリカルボラティリティを確認する限り、この1年内のボラティリティがやや低下傾向にある点にも注目したい。

 10月19日のニューヨーク市場で、ビットコインの先物ETF取引が開始された。期待値が高い銘柄の登場で、初日の売買高は10億ドル(約1140億円)に及ぶ勢いだった。これはETF上場史上でも過去2番目の取引総額となる。ちなみに先物では価格が5%押し上げられたが、現物の相場では700万円あたりを横ばいして数日を過ごす結果となった。

 このあたりがボラティリティの低さを物語っており、安定期に入ったとの判断がつくポイントだ。以前のビットコインであれば、このようなキッカケが与えられれば倍々で価格を上げていた。もちろん現物のETFが上場されれば、機関投資筋が動きだし、一段上の相場展開も期待できるだろう。それでも、ビットコインの価格上昇トレンドは年2~3倍程度で推移するのではないだろうか。

 現在、ビットコインの時価総額は9200億ドル強(92兆円程度)と、ポストドルへの道はまだ遠いかもしれない。ただ言えることは、ビットコインは資産運用としては安心銘柄になるかもしれない、ということだ。相場はやや派手目に上がり下がりをするだろうが、相対的には力強く右肩上がりを継続する可能性もある。(記事:TO・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事