配当性向55%以上を基本とする、USSの「これまで・現状・今後」

2021年10月12日 07:37

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 ユー・エス・エス(東証1部、USS)は、企業理念として「配当性向55%以上を基本とする」と明記している。ちなみに2020年3月期:67%、前3月期:344・5%。そして今期予想も55%予想。今期で連続増配は22期間の予定。

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 オートオークションの先駆け(1980年開始)であり、最大手企業。私は車販売関連業者ではないのでオートオークションとは無縁。(新車・中古車)買い取り業者=出展者⇒オークションに参加⇒落札者が小売りに回す、という枠組み。前期末段階でUSSの法人会員は約5万社。オークションは全国19カ所の会場に直接参加する以外にも、リアルタイムで参加が出来る「衛星TV回線」「パソコン回線」を介してでも可能。

 前3月期、USSの収益動向はどうだったのか。「?」を抱いて確認した。と言うのも、こんな事実が発表されていたからである。

 『(中古車需要に影響する)中古車輸出市場は、新型コロナウイルス感染症の影響で104万1000台(前年度比19.0%減)/財務省貿易統計』

 『(オークションの主役になるであろう)中古車の登録台数(軽自動車を含め)は、690万7000台(0.3%減)/自動車販売協会連合会・全国軽自動車協会連合会』

 が、USSのオークションは「出品台数5.2%増(280万台)」「成約台数1.6%増(170万8000台)」「成約率61.0%(3P低下)」。結果「4.2%の減収、0.6%の営業増益、0.1円増配55.50円配」。

 だが決算発表に際し、「22年3月期に関しては、当社のオークション状況は20年5月以降緩やかではあるがコロナ禍の影響は薄れつつある」とし今期を「3.6%の増収(776億円)、6.0%の営業増益(384億円)、過去最高純益更新(265億円)、2.9円増配58.4円配」計画とした。そして開示済みの第1四半期は前年同期比「26.9%増収、58.1%営業増益」と順調な滑り出しを示した。

 以前に企業・産業欄に「増配を前提としてオークションの回数を始め経営の足元を見直している」と記したことがあるが、USSを知るアナリストは、「皆無とは言わないが少なくてもライバルと呼べる存在がいない。環境悪の中でも出店台数はUSSに集中する。それだけのオークションの枠組みが整っている」と口を揃える。

 少なくてもここまでのUSSは、連続増配(好配当利回り)を堪能しつつ株価パフォーマンス(過去9年半余で2.5倍)も楽しめる企業と言える。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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