東証1部のプライム移行、脱落が予想される企業が絞られて・・チャンスはあるか?

2021年8月29日 16:15

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 株式会社は、上場しているか未上場かという違いだけで、社会の見方は全く変わる。

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 誤解を恐れずに簡記すると、上場企業は社会的な信用が高いのに対して、未上場企業の場合は1歩引いて観察される(人によっては:怪しげな)企業ということだ。

 ところが、東証1部に上場している2191社もの中には、業歴は長くともガバナンスが旧態依然として時代にそぐわなかったり、一族の株式保有割合が高いため市場での流動性が低いなど、問題点が指摘される企業も少なくない。つまり、東証1部に上場されている企業には既に相当な格差が生じていた。

 上場企業の見直しは避けられないとの認識から、東証の市場改革が決定され、来年4月以降は新基準でプライム・スタンダード・グロースの3区分に更改されることになった。

 従来の東証1部に相当すると受け止められているプライム市場には、上場維持基準として流通株式比率が5%から35%以上に、流通株式時価総額も5億円から100億円以上にそれぞれ引き上げられることになった。足切りラインが大幅に引き上げられたのだ。

 この決定が持つ意味は大きい。6月30日を基準日とする1次判定で、東証1部の上場企業2191社のうち、664社(30.3%)がクリアできずに終わった。このままでは現在の東証1部企業の3割強が脱落の憂き目に遭う勘定だ。

 プライム市場に移行できなかった企業は、社会的なブランドの毀損と共に資金調達の際の条件も悪化すると見られている。資金が必要になっても、満額の調達が困難になったり、金利が高くなったり、担保の積み増しを求められるといったことが、下手をすると重複して求められる。自ずと業績への悪影響が懸念されることになり、当該企業の株式を手放す株主が増えて、株価が大きく下落する、というシナリオが囁かれている。

 プライム市場に円滑に移行できる先は、今までの信用状態を継続して安定した経営を継続する。

 この結果導かれるのは、プライム市場への移行が難しい企業には株価の下落リスクが発生し、東証1部からプライムへ移行する企業の株価は安定しているという天国と地獄のような違いだ。

 株価が変動するという情報には、怪しげなものが非常に多い。そもそも経営中枢で共有されるほどの極秘情報でなければ情報としての価値は少ないが、真相へ近づけば近づくほどインサイダー取引の罠が待っている。一般人がそんな情報に巡り合う確率は、宝くじの1等に当選する確率と50歩100歩だから、ほとんどあり得ないことになる。

 こう考えると今回の東証の市場改革は、対象となる企業の的を絞り易い稀有な機会ということになる。このチャンスをどんな風に活用するか?

 何があっても自己責任の世界だが、市場感度が試される好機到来であることは間違いない。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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