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デルタ株拡大のASEAN地域、供給ショックに追い打ちか
●デルタ株の感染拡大が続くASEAN地域
これまで新型コロナウイルスの感染拡大を比較的抑え込んでいたアジアで、デルタ株が猛威をふるっている。
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日本や韓国ではワクチン効果もあり、死者も抑えられているが、ASEAN地域(東南アジア)ではワクチン接種率が低いこともあり、被害が拡大している。
各国が厳格なロックダウンをしているが、感染は収まらず、医療体制も逼迫している。各国ではデモが起きており、マレーシアでは首相が辞任するなど、大きな混乱も起きている。
中国と共に世界の工場とも言われるASEANでの感染拡大により、昨年から世界的に続くサプライチェーンへの影響が心配される。
●ASEANとは?
ASEANは1967年に東南アジアの地域協力機構として結成され、タイ、インドネシア、シンガポール、フィリピン、マレーシアの5カ国からスタートしたが、現在は10カ国で構成されている。
中国と共に、人件費の安さを武器に世界の工場としての地位を築いてきた。
ジェトロのレポートによれば、日本にとっても、重要なビジネスパートナーで貿易額は15兆円(2018年)にも及び、貿易総額の約15%を占める。ASEAN10カ国の貿易総額も拡大を続け、今や2兆7000億ドル(2020年)を超える。
世界の貿易額のシェアでは8.1%まで成長し、中国(12.4%)や米国(10.7%)と比べても遜色ない規模だ。
●供給ショックは続くのか?
半導体不足も深刻であるが、トヨタやパナソニックなどの日系企業でも、生産拠点のタイやベトナムのロックダウンの影響で部品不足に陥り、操業停止を余儀なくされている。
電子機器の輸入や半導体輸入にも大きな影響が出ることが懸念される。
低リスクと思われていたASEAN地域の初めてと言っていいかもしれない危機が露呈した。
昨年のコロナ禍以降、パソコンやスマホ、車の需要が急拡大し、供給が追い付かないという現象があり、銅や木材などの物価上昇も引き起こした。
ただし欧米ではワクチン効果もあり、モノ消費から旅行などのコト消費にシフトチェンジしつつあり、需要が落ち着く可能性もあることから、供給ショックについては今後も注視が必要だ。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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